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最近頂いた本たち(2022.6.5)

鈴木綾『ロンドンならすぐに恋人ができると思っていた』(幻冬舎)

日本で働いた後渡英した、外国人女性によるエッセイ。鋭利にユーモラスに国際的に、女性の今を活写する。
アリアナ・グランデを通して、現代の価値観を浮き彫りにする章がイチオシ。
ちなみにエピグラフはウルフ。

山本貴光『マルジナリアでつかまえて2』(本の雑誌社)

大好きな本の続編! マルジナリア(本の余白への書き込みなど)を求めて、ペソア、ディケンズ、神谷美恵子から、理科大に眠る江戸の和算書まで、書物の世界を東奔西走。
「フェルマーがkindleを使ったら」とか章題だけで面白い!

木村朗子『平安貴族サバイバル』(笠間書院)


『女子大で〇〇を読む』でおなじみの著者による新刊。 平安貴族の生活や政治制度、恋愛作法などを通して、彼らの生き様や価値観がグっと身近になる。 古典が分からない原因って正にここなんだよね!
古典嫌いな中高生から大人まで是非!

大前粟生『柴犬二匹でサイクロン』(書肆侃侃房)

注目の小説家による初の歌集!軽やかに入れるのに、一回浸るとなかなか出られない深みが蠢いている。
ここで海見えるでしょうか見えますよていうやりとり海よりでかい
生活を味わうための文体として雪 遅く起きるから降っていて

川原繁人『音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む』(朝日出版社)

言語学者の著者が、娘の言語発達を言語学的に検証してどんどん連想を広げる。
子ども向けのキャラクター名にP音やB音が多いのはなんで?とか、言語理論と人間の本能が繋がっていくのが最高に面白い! イ
チオシ!

林家彦三『汀日記 若手はなしかの思索ノート』(書肆侃侃房)

若手噺家によるコロナ禍の日々を綴った日記。 高度な思索が展開されながらも、ゆったりと遊びのある文章なので、緻密な午睡のような読書になる。
かと思えばだしぬけにハイネと生田春月とが繋がったりと、飽きさせない。

小川公代他『100分de名著 パンデミックを超えて』(NHK出版)

待望!年始に放映され、大きな話題を集めた番組のテキスト。ジジェク、ウルフ、大杉栄、サラマーゴの著作について、基礎知識から今読む意味までが解き明かされる。
4冊とも絶対読みたくなる。特にウルフは本当に泣ける。

中野純『闇で味わう日本文学』(笠間書院)

『「闇学」入門』などで知られる、闇歩きの先達による、暗闇、陰翳礼讃の歴史。 小林一茶の名句「明月を取てくれろとなく子哉」を鑑賞したかと思えば、実際に月を映写する技術の話まで飛ばしてくれるのなんてこの本だけだよ!

安田登『魔法のほね』(亜紀書房)

能楽師の著者による初のファンタジー小説。 小学生の少年が、甲骨文字の刻まれた骨を解読していく物語。 知的好奇心満載で、遊びと勉強と人生をいっぺんに味わえる子ども時代のワクワクを思い出した。 著者を彷彿とさせる「おじいちゃん」が好き。

朝里樹, 御田鍬, 木下昌美『日本怪異妖怪事典 近畿』(笠間書院)


北海道から始まった本シリーズも、東北や関東を経て、遂に近畿。 京都や奈良で生まれた伝説や怪異、それを元にした文化・芸能を一望できる稀有な事典です。能の題材になった酒呑童子と源頼光の死闘など900項目以上。


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