命
じいちゃんの死期が近いと聞いた。
病室を訪ねるとそこには想像よりも苦しそうに今を生きているじいちゃんの姿があった。
皮下出血がひどく全身を包帯でぐるぐる巻きにされていた。包帯がないとちょっとの刺激で皮膚が切れちゃうんだと、身体常にだるくなかなか身動きもとれない、熱だって38.7ある中で、僕ら娘と孫が来た時には精一杯ゆっくり会話してくれたことに涙を堪えることができなかった。
僕はただじいちゃんの手を握ることしかできなかった。
最近は全然会いに来れてなかったもんね。
いつも人一倍元気だったじいちゃんを見ていたからこそ、今目の前で痩せて細くなった肩幅を見るに見れなかった。
僕が生まれる前に片方のじいちゃんは亡くなっていたので、物心ついてからのじいちゃん
と呼べる存在は病室で戦っているじいちゃんだけだ。
ちっちゃい頃はよくじいちゃんちに遊びに行っていて1人でじいちゃんちに泊まりに行ったこともあった。
だんだん歳を重ねていくと、
僕は大人に近づく一方で、じいちゃんはどんどん活動の幅が減っていった。(それでも、毎日、施設にいるばあちゃんに会いに行ったり、一人暮らしできるくらい元気だった。)相当たくましいじいちゃん。
そんなじいちゃんがこんなにも弱ってしまったのは去年の夏にコロナにかかったせいである。
だんだん歳を重ねることでいずれくる別れは本当に辛いし考えたくもない、
今回の出来事は初めての経験だったし、自分の身近な人が死んでもう会えなくなるのは本当に悲しい。
たのむ。
じいちゃんまだ死なないでくれ。
お願い。
そして、今日は急にきて絶対きついはずなのに話してくれてありがとう。
また来るからね。
その時には元気になってほしいな、
僕のたった1人のじいちゃんだから。
これは僕の自分勝手な願い。
でも、やっぱりまだ生きててほしいんだ
次会うのがお葬式なのは嫌だよ。
この気持ちをどうしても忘れたくなくて書きました。
会いたいと思った時に会いに行ける事。
生きること。
別れは辛い。
当たり前のことかもしれないけど、大切にしたいと思った。
END