【前編】往年の良作の良リマスター。『ペーパーマリオRPG (Switch版)』感想
今年の5月23日に発売したSwitch版の『ペーパーマリオRPG』ですが、発売日に購入して5~6月にクリアまでやっていました。
だけどまだ感想を書いていなかったのと、11月7日に『マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!』が出るので、それとの対比にもなるかと思って今から感想記事を書こうと思います。
前の記事で自分の「ペーパーマリオ」「マリオルイージRPG」歴にも触れているので、良ければそちらもどうぞ。
結構言及したい箇所が多いので、まずこの前編記事でストーリーを追いつつ全体に触れて、後編記事ではバトル・BGM・アートなどについて書く形式で行きたいと思います。
プロローグ
ペーパーマリオシリーズの通例となっているプロローグの赤い絵本。
去年9月14日のニンテンドーダイレクトにおけるSwitch版ペーパーマリオRPGの発表時に、この赤い絵本の表紙だけでペーパーマリオだと気付いた人は相当な玄人。自分はその後のマリオの家でようやく気付いた。
クリスチーヌ登場。「あのゆうめいな」扱いされるセルフパロディのノリが外伝マリオっぽい。
2004年のこの時点でも、1985年のファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』発売から約20年だもんね……。現在の2024年はそこから更に20年だけど。あれ、来年ってもしかしてマリオ40周年?
クリスチーヌの「ものしり」。ものしりでフレーバーテキストを読んでると、実はクリスチーヌは料理が苦手だとわかる、みたいな細かいキャラクター付けがペーパーマリオRPGは良い。
ステージ1 ドラドラ平原
ゴロツキタウンの地下から出てきて初めて聴く事になる、ドラドラ平原のBGMが良い。
『スーパーマリオブラザーズ』の地上BGMのアレンジ曲。ニンテンドーダイレクトの今作発表時にも使われてたし、ペーパーマリオRPGのメインテーマ的なところもあるか。
そしてバトルの通常戦闘曲も、同じく地上BGMのアレンジ。通常戦闘曲はゴンババ城に入ると早くもアレンジ版に変わるが、これが序盤ステージの曲とは思えないほどカッコいい。そしてステージが変わるごとに毎回新たなアレンジになるのもスゴいが、そのアレンジがどれも良いのもまたスゴい。
マリオっぽくないこういう選択肢とかストーリーも、ペーパーマリオらしい所で良い。本編の2Dマリオや3Dマリオが万人向けのお利口さんな分、それに反してはっちゃけるのが外伝マリオの魅力と感じる。
世界観をブチ壊していきなり始まるクイズショーが面白すぎる。本当にどんな頭をしてたらこんな展開が思いつくのか。
「第65回」なのは、ニンテンドー64で発売したペーパーマリオシリーズ第1作『マリオストーリー』(2000)でのクイズショーが「第64回」だったからという話。
そしてクイズショーネタは次作の『スーパーペーパーマリオ』(2007)のみならず、最新作の『オリガミキング』(2020)でも継承されてるらしくて、そういう所は嬉しい。
ステージ2 ふしぎの森
ステージ2の舞台はふしぎの森。万華鏡のような地面を踏み締めて進む。まだ王道ファンタジー。
Switch版におけるビビアンの表現変更については、正直自分は否定的。
そもそもゲームにポリコレを持ち込む事自体気に入らないけど、2000年代に流行った男の娘キャラは、見た目は美少女なのに性別は男という男女差の曖昧な奥ゆかしさが良さの二次元のジャンルなのに、それを近年のトランスジェンダーという区割りの明確な現実の定義で上書きするなよ……。
今のテキスト担当者は、20年前の担当者が考えた設定の何が良いかを理解していないのでは。原作の設定をリメイク版で改変するとか、普通やっちゃいけない事じゃないんですかね。はっきり言ってどんだけセンス無いねん。
時代の変化に対応といえば聞こえは良いが、わざわざ原作の設定を改変するのはポリコレ本場のアメリカとかでの売上を伸ばしたいだけの変節では。
あと、この一連のセリフだけだとトランスジェンダーとかじゃなくて血の繋がってない家族だと解釈されそう。
大樹内部。ピクミンみたいなプニ族101体の操作かなり大変だった。
当時流行ってた『ピクミン1』(2001)や『ピクミン2』(2004)とも時期が近いし、意識してるのかな?
このポータル土管エリア、原作では無かったらしい。良い追加要素。
ステージ3 ウーロン街
次は飛行船に乗って、空に浮かぶ中華風の街へ。おや? 世界観の様子が……?
しかもストーリーの題材がプロレスリーグへの参加と来た。ステージ1~2の世界観からのギアチェンジがスゴい。これもペーパーマリオの良い所なんだよな。
しかし、ステージのメインコンテンツとはいえ、ストーリー進めながらザコ戦20戦を繰り返すのはなかなか長くて大変だった……。
2部リーグの隠し部屋の仕掛け、チビヨッシーを使うのはともかく、ジャンプで背景の備品に乗れるというコトに気付かなくて苦戦した。「なかまヒント」もそんな細かいコトまでは教えてくれなくってさ……。
正直攻略見ようかと思うほど追い詰められた。選手たちより強敵。こういう謎解きゲームは、全体通して得てして1~2度は絶望的に詰まる箇所があるイメージ。具体的に言えば『逆転裁判』シリーズとか。
ぜぇ~ったい毒入りケーキじゃんコレ! ちゃんとモブにも話しかけてるからわかるんだよぉ!?
ガンスが黒幕で、キノシコワが味方側なのは正直読めなかった。秘書が黒幕系のヤツかと。ミスリードにしっかりやられた。
でもよく考えたら「プリンス・マッシュ」のマッシュってキノコの事なんだから、キノピオ族は味方側という伏線だったんだな……。
まあそもそも悪いキノピオとかそうそう出てこないか。
大人になると答えにくくなる質問だねぇ……。それでもスキだと言えるピーチには、大人の理想が込められてると思う。子供にとっては何てことない問いかもしれないけど。こういう事は20年前から、いやそれ以上昔から不変なんだろうな。
ステージ4 ウスグラ村
このステージは胸糞シナリオ。ランペルが大暴れして仲間たちが騙されるのまではいいとしても、ニセマリオの正体が露見して仲間たちが戻ってくる時に、謝罪がそれぞれ一言程度しかないのがちょっと……。
もうちょっと何か無いのか、こっちは長時間裏切られてんだからそう簡単に水に流せないよ。キャラが悪いんじゃなくて、シナリオのフォローが足りないだけなのはわかるけどさ。受け手がどう感じるか精密に考えてキャラの言動を書いてほしかった。
ここで裏切った後の印象回復の活躍とかがないから、この4人は正直最後まであまりイメージ良くない。本当にしつこくてゴメン。だけど、キャラへの印象が良くなるのも悪くなるのもシナリオの力次第だから……。
知ってりゃみんなやるよね……。ニコニコでもラソペル弾幕が張られてるレベル。ここだけ文字入力がSwitchキーボードじゃないのおかしいだろ!
オドロン寺院とウスグラ村の直通土管もSwitch版で追加されたモノらしい。ウスグラの道を何回も何回も往復させられるのはゲームとして面白い部分ではないから、非常に助かる。
こいつロマサガ3の町長ばりにヤバいな……。
ステージ5 トロピコアイランド
ウスグラ村で仲間たちにガッツリ裏切られた事を引きずりつつも、次はまたジャンルが変わって、航海と秘宝探索のストーリー。
バレルはかなり好きなキャラ。船乗りのヒゲのボム兵ジジイとかイカすわ~。紺色が目に優しくてマリオと並べた時にバランスいいのも良い。
かも思いきや、唐突にトロピコアイランド漂流。これから冒険ってノリだったのに、いきなり無人島生活が始まるのは草
バトル中ものしりとかでも何となく脅威と認識されてない感じのペケダー。この漫才が良い。
そして土壇場で男を見せるマルコ。脇役に至るまでキャラが立ってるシナリオで素晴らしい。地味によわ虫とへっぴりゴシで韻を踏んでる。
番外編、クッパ軍団対ペケダー軍団。こいつら人の村で何やっとんねん!
ステージ6 リッチリッチエクスプレス
残るスターストーンも少なくなり、徐々に冒険の終わりが近付くのを感じつつ、今度は列車の旅。こういうバリエーションもやはりペーパーマリオらしさ。
本当に映像が素晴らしい。
調子こいて余計なコトしてたらユーレイのイベントでゲームオーバーなって草
あとここでビビアンの消えるアクションを使うのも「なかまヒント」なしでは気付かなかった。追加要素ありがたい。
サックスの音色が印象に残る、リバーサイド駅限定のジャズ風の通常戦闘曲がオシャレで良い。リッチリッチエクスプレス夕方のBGMもなかなか。
列車の上でボスバトルするシチュエーション良い。やっぱ列車が舞台の話はこういうダイナミックな展開がないとね。『バッカーノ』(2007)のアニメとか好き。
ステージ7 サイハテ村・メガバッテンのアジト
本筋のストーリー進行が始まる前に、既に行くだけなら行けるようになってたので先んじてステージ7へ。
そもそもシンボルとバトルになるマップが3つくらいしかないのに、またもや通常戦闘曲が神。寒冷地感やウィンターソング感もあるし、最果てや終盤というイメージまで曲にしっかり込められている。
あとステージ6の最後で「エムブレームL」を取ったからルイージのコスプレしてる。緑と青の寒色なせいで余計さぶい。
前半から姿を見せてたホワイト将軍やゴールドマンの存在を伏線回収しつつ、終盤っぽい今までの街を巡るイベント。いよいよ旅の終わりが迫る感じ。しかしこの反応、ドラクエ2のパロディか~?
これポータル土管が無ければステージ間の移動にかなり難儀しそうだけど、原作ではどうだったんだろうか……。ポータル土管が無かった場合のコトはさすがに考えたくないぞ。
マリオ達が月に向かって大砲で撃ち出されるのはスペクタクルでなかなか好きなシーン。発射シークエンスがロボものっぽい。つくづくなんだけど、こういう色んなジャンルの演出をしてくれるのがペーパーマリオは良い。
実は月に基地があるというスケール感が素晴らしい。これまで急にプロレスの話になったり、オシャレな列車の話になったりとなかなか楽しませてもらったが、まさか終盤は月が舞台になるとは読めなかった。ストーリーテリングに脱帽。
序盤からピーチが探索してたエリアへ、終盤にマリオたちが来るという構成が良い。伏線回収の妙というか。些細な演出だけど、非常にワクワクさせてくれる良い要素。
そしてステージ1振りのクイズショーの天丼ネタ。絶対にプレイヤーに笑ってほしい、という制作者の心意気を感じる。
ステージ8 やみのきゅうでん
このフランクリ絶対偽者やろ! 主人公を誘導してロックを解除させようとする手法のシナリオ死ぬほど見たわ、さすがにわかる。ランペルみたいな変装キャラがいるからどうしてもすべてを疑うよね……。
千年の扉を開けたら即ラスボス戦かと思いきや、ここからがラストダンジョン。ボリュームあるなぁと思いつつ、気を引き締め直す。
道中でのボスラッシュ、ブンババ戦&カゲ三人組戦。
大人だしバトルに自信がないってコトはなかったから、これまでレベルアップボーナスはほぼBPに振ってたけど、さすがにHPが20しかないからこのあたりのボス戦は苦戦。ラスボス戦に向けて緊張感が高まる。
「4つの石 ふたごの部屋」は、同じような2つ目の部屋を見つけるまでがかなり時間かかった。1個の部屋で悩むより、まず全体を探索してみるほうが良かったヤツ。
他の部屋は「なかまヒント」がかなり直接的だったからラクだった。でもヒント使わないほうがやり応えあったかも。まあ、ふたごの部屋みたいに詰まるよりはいいのかもだけど。
これまでの仲間たちの能力を駆使して1ギミック、1ギミック先に進んでいく。仲間たちが代わるがわる助けてくれるダンジョンは集大成感ある。
ここでクッパ戦があるのは正直蛇足感。そんなノルマみたいに挿入されても……。バツガルフやカゲの女王でじゅうぶん話が完結してるだけに。任天堂からのクッパ活躍させてくれって要請か?
まあスーパーペーパーマリオや『RPG3』(2009)での、クッパの味方側での活躍を先に見てるから、わざわざ敵で出す事もないと思うのかもだけど。
ラスボス戦、カゲの女王戦の1戦目は無事敗退。それでゲームオーバーからロードしたら、ダンジョンの入口へ直通のお助け土管が出現した。正直助かる。
これまではジャンプよりはアクションがラクなハンマー主体で戦ってたが、ハンマーで1戦目負けたので色々試してジャンプも使ってたら、ラスボス戦で初めて「レンゾクジャンプ」のエクセレントを決められて嬉しい。
たしかSwitch版では有効フレームが厳しく制限されてて、エクセレントまで行きにくくなってるとかいう話。
そして何とかカゲの女王を倒し、爽やかなエンディングへ。やっぱり最後は明るい王道の終わり方じゃなくっちゃね。映画のクレジット風のスタッフロール、劇場のカーテンコール風の終幕が良い。
ストーリー総評
ここまでプレイ時間は40時間弱。ストーリーやキャラ設定の細部だったりすべての要素を全肯定とはいかないけど、世界観を楽しめた時間は長くて、謎解きもやり応えがあったし良いゲームでした。
ちょっと正道から外れたマリオ外伝っぽいノリや、様々な舞台やシチュエーション、個性あるキャラクターの立て方など、「これぞペーパーマリオらしさ」と思わされる場面が多かった。そんなシリーズの王道作品だからこそ今になってリマスター作品に選ばれたのもわかる。
あとポータル土管やなかまヒントなど、プレイを快適にするSwitch版の追加要素が充実してたのも良かった。ここは間違いなく、原作を研究した上で良さを保ちつつ快適になるよう慎重に追加を検討された要素だと思う。
ひとまずここまでお付き合いいただきありがとうございました。とはいえエンディング後要素やバトル、BGM、小ネタなどに関してはまだ書けていない部分も多いので、そのあたりは後編記事に回したいと思います。
記事を読んでもしポジティブな感想があれば、ぜひコメントよろしくお願いします。
後編記事: