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超感染 ファイナル・デッド 2018年・中国

超感染 ファイナル・デッド

韓国映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」が、かなり面白かったので、便乗映画とは思いつつも見ることにしました。
しかし、冒頭のクレジットがハングルではなく、漢字でしたので、まずビックリ。
韓国映画でなく、本作は中国映画でした。
なるほど、経済成長著しい中国は、エンターテイメントにおいても、アメリカに迫ろうという意思は感じました。
まず、オリジナル・タイトルは「末世人间道」。
今は、便利なアプリがあるので、翻訳するとこれは「この世の終わり」という意味。
英語タイトルは、”Lost In Apocalypse”で、こちらだと「失われた黙示録」みたいなことでしょうか。
ですから、2018年製作の本作は、タイトル的には、やはり「新感染 ファイナル・エクスプレス」のヒットに便乗したのは、邦題をつける日本の映画配給会社の確信犯ということになりそうです。
設定も、あちらが特急一本貸切撮影なら、こちらは、ホテルが舞台。
主人公は、若い富豪に仕える運転手。
ボスの会議を地下駐車場で待つうちに、ゾンビに襲われているホテルの異変に遭遇。
ゾンビ映画のお約束で、ゾンビ出現の説明は一切ありません。
御一行様を助け出して、最後は、自分とボスとの一騎討ち。
中国映画ですから、最後はカンフー映画の見せ場も踏襲。
これは韓国映画にはあまりない見せ場。
役者の顔を全員知らないので、最初は誰が主人公なのか、わからないのですが、次第に彼にスポットが当たっていきます。
決して、イケメンではない、「普通のニイチャン」をヒーローにするあたりは、「ダイ・ハード」狙いだったかも。
そういえば、彼は途中から、ジョン・マクレーン刑事よろしく、ランニング・シャツ一枚で奮闘していました。
アクションの見せ場も、ビルの中でしたから、アクション映画のお手本として、大いに参考にしたかもしれません。
途中で、女の子を救い出して、守っていく展開は、「エイリアン2」でしょうか。
ハリウッド映画をお手本にしている感じが伝わってきます。

とにかく、中国の目覚ましい経済発展の原動力となったのが、徹底的に行われた海外技術の吸収でした。
オリジナル創作力においては、我が国同様乏しい中国は、元々「コピーする」「真似をする」という文化においては、えげつないまでのエネルギーがありました。
その是非については、分別くさいことも言いたくはなりますが、何よりもそうして吸収した技術をさらに自国内で発展させて、今やアメリカと肩を並べようかという、経済大国に躍り出た中国ですから、経済においても、文化においても、今や三流国以下に成り下がろうとしている落ち目の我が国が文句を言っても、もはや僻みにしか聞こえないというもの。
個人的には、中国映画といえば、中国オリジナルの香りを持ったチャン・イーモウ監督の「初恋のきた道」などが好みなのですが、本作のテイストは、完全にハリウッド・エンターテイメント。
おそらく、中国映画は、この分野においても、アメリカと肩を並べようと本気で企んでいるのかもしれません。

韓国映画は、ハリウッド映画に追いつけ追い越せとばかり、若い映画人たちを、国費でハリウッドに映画留学させて、積極的に映画文化の向上を、国策として力を入れてきました。
そんな若い監督の一人が、ソン・ガンボで、彼は韓国に戻ってから「半地下の家族 パラサイト」で、アメリカのアカデミー賞を受賞して、その期待に応えました。
もしかしたら、中国の若き映画人たちの多くも、ハリウッドで、「世界で売れる映画の作り方」をせっせとコピーしているかもしれません。
そうなれば、今や経済力では、はるかに韓国や我が国の上をいく中国ですから、そのうち「アリババ」や「ファーウェイ」のように、映画コンテンツにおいても、世界で通用する作品を作ってくるようになる日が来るのかもしれません。

まあしかし、それはそれ。
とりあえず、現段階においては、ゾンビ映画の実力においては、韓国の方が上だと言っておきましょう。

ん? 日本にも、世界に誇るゾンビ映画がある?
そうか、先日「カメラを止めるな!」を見たばかりでした。
うーん。
本作と「カメ止め」の比較は微妙ですね。
ちょっと、乗っている土俵が違う気がします。
「カメ止め」は、製作費が少ないことを逆手に取ったアングラ映画的アイデアで勝利した作品。
中国は、本作を見る限り、本格的なエンターテメントで挑んできていますな。

まあ、映画ですから、つまるところ「面白い」が全てではありますが。

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