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哭声/コクソン 2016年韓国

コクソン

「パラサイト 半地下の家族」「新感染 ファイナル・エキスプレス」「グエムルー漢江の怪物」などなど。
ここ最近見てきた韓国映画には、ハズレがなかったので、期待して本作をチョイス。
日本の俳優國村隼がキャスティングされています。
2016年製作の映画。監督は、ナ・ホンジン監督。
コクソンとは、泣き叫ぶという意味の「哭声」と、韓国に実際にある町「谷城」のダブル・ミーニング。
精神錯乱を起こした男が、家族を惨殺するという殺人事件から映画はスタート。
殺人事件から始まるミステリーで、やがてストーリーは、オカルトチックに展開。
そして映画のタイトルが田舎町の名前とくれば、まず思い浮かんだのが、デビット・リンチの「ツイン・ピークス」ですね。
ホンジン監督が意識していたかどうかはわかりませんが、ストーリーがどう転ぶのかまるでわからないミステリアスな展開は、ちょっとあのドラマを彷彿させました。
次に、悪魔祓い師が登場する展開。
これは、やはり「エクソシスト」でしょうか。
悪魔祓いの儀式は、韓国のシャーマニズムに乗っ取った儀式でしたが、キリスト教文化も巧みに取り入れていました。
神父も登場して、悪魔と対峙していく展開は、あのホラーの名作も意識していたはず。
悪魔に乗り移られた女の子が、人が変わったように家族に向かって、罵詈雑言を喚いたり、今まで食べられなかったはずの魚を、旺盛な食欲でバリバリと食べるシーン。
この辺りは、1970年代のオカルト映画でよく見かけたシーンでした。
悪魔祓いのシーンで、女の子が、海老反りになって、歯を食いしばって呻くシーン。
これは、1980年の日本映画「震える舌」を思い出しました。
監督は野村芳太郎。オカルト映画ではありませんでしたが、破傷風菌に犯された少女が、発作を起こすシーンは、ホラー映画級にショッキングなシーンでした。
そういうば、ヒジョンという女の子は、あの映画の女の子にどことなく似ていました。
まだまだ、僕が気がつかないだけで、他にも色々な映画のエッセンスが盛り込まれているような気がします。
とにかく、韓国映画は、古今東西のあらゆる映像作品を、とことん学習しているなあということは、つくづく感じます。
そして、それを確実に韓国映画の基礎体力にして、レベルアップしています。
映画を面白くするためには、貪欲に、世界中の名作映画のエッセンスを、韓国テイストにアレンジしてエンターテイメントにする姿勢が徹底しています。
国をあげて、映画産業のボトムアップを図っているのが韓国。
国民の生活や、文化芸術などには、まるで関心がなく、お金持ちと自分たちのお友達だけで利権を分け合う事だけに熱心なのが我が国の政府とは大違い。
政治がそんなことだから、我が国の経済成長率は、世界最低レベルのまま。
映画産業も、過去の栄光に胡座をかいているだけでは、韓国映画に抜かれて当たり前という話でしょう。
本作で、得体の知れない日本からの「ヨソモノ」を演じたのが國村隼。
彼は、この村を悪魔から救いにきたシャーマンという説明がセリフにありましたが、あのラストです。
彼がいったい「ナニモノ」だったのかというあたりに、韓国の日本に対する微妙な本音が隠れているような気がします。



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