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007 スカイフォール 2008年 イギリス・アメリカ

さて、2012年のロンドン・オリンピックの年に公開された「スカイフォール」です。
オリンピックの開会式で、エリザベス女王を会場にエスコートするジェームズ・ボンドの勇姿はよく覚えています。
彼のボンドもいよいよ3作目となって、世界中がダニエル・クレイグをジェームズ・ボンドの顔として認知した感がありました。

監督のサム・メンデスは、去年公開の「1917」を撮った人。
「スカイフォール」以前に、監督デビュー作「アメリカン・ビューティ」でいきなりアカデミー監督賞を取っている人です。
オスカー・ウィナー監督がこのシリーズを撮ることになるのは初めてですね。
舞台出身の人なので、得意なのはやはり演技の演出。
アクション映画の、007シリーズで、ドラマが重視され、アクションがその分割り引かれるという懸念もありましたが、みてみれば、そこは絶妙なバランスで、うまくまとめていました。
「カジノロワイヤル」「慰めの報酬」では、それまでのボンド・シリーズに対して数々の「型破り」を敢行して成功を収めてきましたが、本作では、色々な意味で、従来シリーズへの「里帰り」がみられました。
ダニエル・クレイグの身体能力を生かした肉体派アクションで押し切った前二作でしたが、本作では、従来シリーズのように秘密兵器も登場。
これに伴い、新しい時代のボンド兵器のコーディネーターとして、Qも復活。
そして、ミス・マニーペニーも、「ダイ・アナザー・デイ」以来、3作ぶりの再登場。
但し、二人とも、びっくりするようなキャラでリブートされていますので、この辺りは是非映画でお楽しみを。


本作では、準主役級の活躍になるのが、Mを演じるジュディ・デンチ。
もはや、ボンド・ガールと言っていいくらいなほど、出演シーンが大幅アップ。
クライマックスの、スカイフォールでの決闘シーンで、最後は殉職。
ここまで、7作連続でMを演じた彼女の花道を、サム・メンデス監督が飾ったというところでしょう。
本作撮影の時点で、彼女は78歳でしたから、これは頑張りました。お疲れ様です。

というわけで、本作のストーリーは、Mが中心にドーンと置かれています。
冒頭のトルコでのミッションでは、MI6の工作員の名簿が収められたハードディスクを奪った敵の傭兵を追うボンド。
列車上の対決で、ボンドに命中するリスクもある展開で、Mは女性エージェントのイブに発砲を命令します。ライフルの銃弾は、ボンドに命中し、彼はそのまま急流の中に墜落。

ボンドは、九死に一生を得ていましたが、MI6には戻らず、行方をくらませてしまいます。
Qは、音信の途切れたボンドの殉職報告を政府に提出。
そんな時、Mのパソコンがキッキングされ、MI6の本部が、爆破テロに遭います。
そして、ハードディスクのリストから5名の名前が、インターネットで公開され、Mは、その危機管理能力を問われることになります。
そんな中、ボンドが突然戻ってきます。
この間に、00メンバーの諜報活動に最低限必要な基礎能力は、明らかに低下。
復帰テストの結果は、不合格であるにもかかわらず、Qはボンドを復職させる決断をします。

今回の敵は、組織ではありませんでした。
元MI6の優秀な工作員で、Mのかつての部下だった男ラウル・シルヴァ。
香港での活動で、不正な情報収集を行い、イギリス側から中国政府に通報された男です。
その密告をしたのがM。
イギリスに見捨てられ、Mに裏切られたという恨みが、彼をとんでもない怪物にしていました。
マカオで、ハードを盗んだ傭兵を仕留めたボンドは、ラウルに通じる女セブリンと接触。
ラウルのいる廃墟の島へ向かいます。
(予定では、日本の軍艦島でロケされるはずでしたが、結局はセットをつくって撮影)
ここで、ボンドは守備よくラウルを捉え、MI6本部に連行しますが、これは彼が仕組んだ罠でした。
MI6は、ロンドンの地下に、本部を移設していましたが、この本部に入り込むために、ラウルは計画的に捕まっていたのです。
彼は、監禁された部屋からやすやすと脱出すると、勝手知ったるMI6本部のセキュリティを突破して、内部を破壊。
Mが出席している政府の公聴会議場へ仲間と共に向かいます。目的はもちろん、Mの抹殺。
会議場へなだれ込んだラウル一味ですが、危ういところでボンドがMを救出。
ボンドは、ラウルのサイバー攻撃を受けることのない戦闘の場として、かつて自分が幼少期を過ごした屋敷スカイフォールへ、Mを連れて向かいます。
そこは、、荒涼としたスコットランドの原野に佇む屋敷。
屋敷の番をしていた、キンケイドと共に、ボンドは、ラウル一味を迎え撃ちます。そして、その戦闘の中でMは・・

このラウル・シルヴァを演じたのは、ハビエル・バルデム。
「ノー・カントリー」でもアカデミー賞主演男優賞を獲得した、バリバリのオスカー俳優。
シリーズの中で初めて、組織ではなく、「個人」として、MI6が戦った男ということになります。
ネット社会の発達で、ほんの20年前なら予想もできない敵が現れたということですね。
Mは、映画の中で、彼らを「シャドー」と呼んでいました。
彼が拷問の末、崩壊した素顔を、Mに晒すシーンは、数多くのホラー映画を見ている僕でも、かなりゾクゾクしました。

ボンド・ガールは、ラウルの愛人セヴリンを演じた、かなりセクシー系のベレニス・マーロウ。
本来なら、クライマックスでは、ボンドと危険を共にするのがボンド・ガールのお勤めなのですが、本作ではそれをジュディ・デンチに持っていかれてしまったので、印象が薄くなって、ちょっと可哀想でした。

そうそう。
アデルが歌った主題歌は、007の香りがしてよかったですね。
これは、久々にカラオケで覚えようという気になったのは覚えています。

さて、次は「スペクター」!




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