マガジンのカバー画像

3分で心を癒す日記

3
センチメンタルな夜に読みたくなるような、心の中の微かな不安をほんのりと昇華していく、3分で読める日記です。
運営しているクリエイター

#エッセイ

言葉が通じない不安と共に生きた海外旅行

けたたましく鳴り響く電話。 眠りの中で揺蕩っていた私は、その音に叩き起こされた。 見知らぬ天井だ…。 スマホを見ると朝3時、横には妻の姿。私は、自分が置かれている状況を思い出した。 ◇ その前日、新婚旅行4日目となる日のことだった。バルセロナ空港にて、イスタンブールに向かう航空便を待っていた。 ただ、航空便が遅延していた。11時発の航空便が、13時発予定に後ろ倒しになり、さらに14時発に変更となっていった。 航空会社の社員たちがソワソワしていて、嫌な予感がした。

あの日、あの時、パルコ前で待ち合わせをした。

浦和で、友人と待ち合わせをした。 浦和といえば、馴染みがない人には浦和レッズくらいしかイメージがないと思うが、埼玉県人にとっては必ず行ったことがあると言っても過言ではないだろう。 そんな約束の地に、私は学生以来、おそらく15年ぶりに足を踏み入れた。 駅の西口には、昔のような活気はないものの、大きく居座り続ける伊勢丹。 そして、なんと言っても駅の東口の視界いっぱいに広がるパルコ。 あの時から、何も変わっていない気がした。とにかく、懐かしかった。 ふと、涙が出ていた。

明日が来てほしくない、そんな雨夜に。

梅雨の季節。雨が止んだって生乾きのコンクリートの匂いが漂ってくる。 今日も、仕事で夜遅くなってしまった。陰鬱とした気持ちに、追い打ちをかけてくる。 駅から自宅までは、幾分遠い。賑やかなの駅前は嘘のように、周りには誰もいなくなる。 人間関係で何度も苦労してきたはずなのに、それでも私は今でも苦労している。 夜道で一人になると、心の傷は、とても沁みて痛くなる。 その瞬間、私のシャツが血で滲んだ気がした。あるはずもない痛覚が、私の歩みを止めた。 おもむろにイヤホンを鞄から