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2021年、阪神タイガースのV逸のこと

色々、データ見比べたんですけどね。阪神のV逸の原因は山程あるんですよ。何がどう悪いとかそういうレベルじゃなくて、「よく貯金20以上も作って2位で終わったな」というのが正直な感想です。実際にピタゴラス勝率という総得点と失点の関係性から見られる今年の統計的な阪神の実力は勝率.531なので、ややラッキーもあった上振れの結果が今年の結果だということができます。本当はヤクルトとはもうちょっと差があったかもと思っています。

そもそもからいうとね、開幕投手に指名した藤浪が3勝で終わった時点でもうローテ構想が崩れているわけです。まずはその穴埋めから今年の先発陣は始まっている。で西も後半大変な不調で。そんな中で青柳・伊藤・秋山が10勝以上。突き抜けた成績ではないけど、大変立派な成績ではないでしょうか?伊藤なんて望外の成績なわけですよ。青柳の最多勝も予想できた人はどれくらいいたのでしょうか?

打撃においても佐藤がいなかったら、おそらくあんなに4月・5月で貯金作れてないですよ。当たれば甲子園の浜風関係なくスタンドインですからね。こんなバッターは金本以来?パワーだけでいったら松井レベルかもしれないルーキーなんて「当たり」どころか「とんでもない僥倖」だったわけです。その佐藤が攻略されて不振になれば自然と白星も減ります。当然の帰結です。ここで入れ替わるようにクリーンナップが好調になればよかったのですが、サンズとマルテが冷え、大山が目覚めたタイミングも遅く、後半戦はなべると低調な打線になっていました。それをなんとかしてたのが近本と中野と糸原なんですけど、特に中野は望外の活躍でしたね。彼もまた二位に大きく貢献していると思います。

そんなこんなで、まとめると先発とクリーンナップの中に望んでいた程の成績ではなかった人・崩れた人がおり、本来ならこんなチーム成績を収めること難しかったはずです。それを2位・貯金20以上に導いたのは間違いなく近年のドラフトの成功がもたらした若手の台頭にほかなりません。若い力が主力層の崩れを補ってあまりあったぶんだけ貯金があったということでしょう。

逆にいうと、毎年毎年クリーンナップと先発がコンスタントな成績を収める、「主軸」「エース」的な絶対的な存在がいるチームにまで成熟していないといことの裏返しでもあり、これがどっしりできたら阪神は黄金期を迎えることができるかもしれません。岡本も柳田も毎年30本・100打点をある程度の確率で計算できるバッターです。村上も今年その域まで達したかもしれません。阪神にはそれがありませんでした。そのことがいま一歩であった理由かもと私は考えています。

阪神はスマートに戦っていたんですけどね。10勝以上の先発が3人いるし、全チームに負け越していないし、本当にセオリー通りのペナントレースなんです。ヤクルトはすごく極端です。勝ち越す球団に徹底して勝ち越し、10勝以上の先発はいません。その代わり146もホールド数上げてますが。

ピタゴラス勝率では高津監督の采配巧者ぶりというのはあまりわかりませんが、先発が不十分な中、このホールド数で貯金20以上あるというのは高津監督のゲームメイクが非常に優れていることを指しているような気がしてなりません。中継ぎ抑えの投手出身であり、定形にこだわることなく、思い切りよくその時いい投手を縦横無尽に組み替えて「万年投手力が弱い」というのを乗り切ったとすれば、来年以降も高津監督の采配は大いに脅威になると思います。ひょっとすると野村ID野球の一番の申し子は高津氏かもとすら思っています。

あと、梅野はどうするんでしょうね。FAで移籍は規定路線でしょうか?坂本がマスクかぶった方が防御率良かったことは事実ですが、結果移籍となればなんとも言えない気持ちになります。

藪さんの総括です。守備とか精神的支柱とかよく言われてることなので、あまり目新しいことはないですが(阪神の86に対し、ヤクルトも79やらかしているので、これをV逸メイン要因とは思わない等)、「大山一塁・佐藤三塁固定」はなんとなく賛成です。確かにサードは最近でいうと新井さん以降は鳥谷を経て大山まで飛んでいます。新井さんの前となると今岡とか片岡までさかのぼってしまいます。ファーストは外国人ばかり、何年も継続して守った日本人選手となるとなんと遠井吾郎までさかのぼるという「生え抜き不毛地帯」です。この2つが固定できていない=長距離を期待するクリーンナップが安定しないというのは確かに納得できます。

大山も若さよりはキャリアを生かした年齢になってくるし、守備も佐藤の方が上手い、外野の方が選手層が厚いとなれば、確かにこの案は魅力的です。やっぱり回り回ってクリーナップの固定が競り合う厳しい戦いに勝ち抜く条件かもですね。広島も丸と鈴木誠也の時代は強かったし、古い話ですが横浜の鈴木とローズ、巨人の松井と落合、近鉄のローズと中村、オリックスのイチローとニール、3番・4番がしっかりしているチームはいつの世も打線がつよいですねえ。来年は阪神も固定した3・4番で戦い抜くのを見てみたいです。そうすると甲子園での勝率もきっと良くなるはず。



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