5月9日のにっき

演劇サークルの新歓公演を観に行った。

新歓というのは、新人歓迎の略であって、新しいサークル員をなんとしても増やすぞという気持ちで打たれる公演で、定期公演の中で唯一「PR」が目的の公演になる。

詐欺れというわけではないが、「演劇って楽しそうだな」と思わせる意識はないよりはあった方がいい。趣味は学祭で発散すればいいし、学祭で発散するには、一緒にふざけた企画をやってくれる新入生をこの時期にたくさん勧誘することがいい手段ではあると思う。

短編を日替わりで上演するらしい。いろんな劇を見せるのは、めちゃめちゃいいと思う。数うちゃ当たる。

でもそんな、そんな同系統の話ばかりせんでも。
短編だから、サークルの色んな側面見せられていいなって思ったんだよ。
「さっきのは面白くなかったけど、これは好きだな」とかそういう意味でのオムニバス作戦じゃないの?
なんか今日のは、むしろサークルでの異様なこだわりがあるように見えたよ。コメディとかシリアスとかそういうジャンル固定ってレベルじゃない。新興宗教が映画作ってるみたいだった。

これじゃ「このサークルは人がサメに食われる話しかしないんだ」って思われちゃうよ。

悪ふざけにしては、相手が悪すぎる。4月5月の大学一年生はある意味小学生より初心だ。
私だって例外じゃない。一年生の5月に自称ボランティアサークルの学生が突然家に訪問してきて、GWに行われる変なセミナーに参加しかけた。

以下、今日観た短編劇のあらすじ↓

1本目「BANG BANG」
アメリカの警官の話。朝、警官が目覚めると拳銃を盗まれていた。
自分の不手際で盗まれたので、なんとか内密に、犯人に悪用される前に拳銃を取り戻すまでの話で、正義の象徴である警官が自身の失態を隠すために人を欺いたり疑ったり、徐々に犯人に近づいていく過程と警官の内面の独白を交互に繰り返す観客もヒリヒリさせられる人間臭い劇だった。
海辺、警官がついに犯人を追い詰め、犯人が拳銃で警官を撃とうとしたところで、背後からサメに食われる。警官は犯人の手がくっついたままの拳銃をホルスターにしまって暗転、終演する。

2本目「ゴーストライター」
ある作家とそのゴーストライターが次の作品の執筆のためにホテルにやってくるところから始まる。突然ゴーストライターが小説はもう書けないと言い出し、作家と揉み合いになる。ついにはゴーストライターは作家を鈍器で殴り、殺してしまう。そこに霊能力者がやってくる。「ゴーストライターの魂を作家の体に移すことができる」と言い出す。作家本人として、自分の作品を世に出すことができる。ゴーストライターはようやく名声を自分のものにできると喜び、作家の体に自分の魂を移すよう霊能力者に頼むが、そこへ殺した作家の魂が復讐に戻ってくる。作家は近くの海で死んだサメの体に乗り移って、サメとして復讐に戻ってくる。劇の半分はサメになった作家がひたすらホテルの人々を食い尽くしていくという、はちゃめちゃコメディ。


終演後、サークル員になんとなく聞いてみたら、明日の上演予定の劇もサメが出てくるっぽい。
あれか? 結構クオリティの高いサメの着ぐるみが作れたから、衣装先行で企画が決まったんじゃなかろうな?
衣装の使い回しはよくあるけど、そんな印象深いものは使いまわすな。
今更上演を中止しろなんて言えないし、全然企画に参加できなかった部外者が文句を言っていいはずはないが、誰か「なんだかおかしいな」くらいは思わなかったのか? 

めちゃめちゃサメが好きな新入生がいてくれたらいいなと願いつつ、どんな内容でも明日の演目も無事上演できるように祈ります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?