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短編小説集

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2,000~5,000文字程度の短編小説をまとめています。
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#文学

はなむけ

「本当に呪いたい人がいたら、その人に自分の髪の毛が四本入ったお守りを渡すの。一番良いのは、おめでたい日にね」 「たとえば結婚式とか?」 「そゆこと。美希、呪いたい人いる?」 「いないよ! あ、でも理科の茂木先生は超ムカつく……」 きゃはは。 終業式の帰り道、私たちはおまじないとか呪いとか、最近得た知識を交換しあっていた。 呪いの話でジメジメした空気になったのを変えたのは、親友の真由子のほう。 「貝殻のおまじないって知ってる? 上は自分が、下は相手の筆箱に忍ばせるんだって。そ