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スタオケキャラ雑感:今帰仁高校(南 乙音)

 スマートフォンアプリ「金色のコルダ スターライトオーケストラ」(通称:スタオケ)の今帰仁高等学校のキャラクター――といっても一人しかいないが――と、彼がフィーチャーされるメインストーリー6章他各種期間限定イベントストーリーについて紹介する。
 現在スタオケでは1.5周年企画の一環でメインストーリー解放応援キャンペーンを行なっている(~2022年9月24日まで)。記事内で紹介するキャラクターの中でお気に召した子がいたらぜひアプリをダウンロードしてゲームを楽しんでいただきたいという気持ちを込め、未プレイの方に向けて書く。

南 乙音(今帰仁高等学校分校 / ファゴット)

ほんわか癒し系のファゴット奏者。
高校3年生だが、可愛らしい雰囲気で幼く見える。
トラブルが起きても「なんくるないさー」精神で受け流す、ポジティブ男子。
過疎化の進む島で、ひとりになりながらも明るく演奏を続けている。
予測不能な不思議な言動で、周りを驚かせることもしばしば。
他の人には見えないようなモノも見えるようだ。

公式サイトのキャラクター紹介より

 ご覧の通り、小動物的な愛くるしさと癒しオーラをまとった琉球男児。ときどき中学生に見間違われる場面もある幼い外見で、ぽてっとした眉毛があまりにもかわいすぎる。ホーム画面に彼のカードを設定すると、端末の画面からマイナスイオンが放たれるかのようだ。一家に一人、南乙音。

南 乙音「うん! どうぞどうぞー」
曇った窓ガラスに猫化したスタオケメンバーの絵を描く乙音&流星。なんだこの楽園は…?

 言動も妖精のようにふわふわしており浮世離れしているように思われるが、他人を振り回して困らせるような幼児性はなく、むしろ気遣いの人であることに驚かされる。彼との会話からは、島の美しい自然と温かな老人たちの関係の中で育まれた優しい精神性がうかがえるだろう。
 一方で、「最上級生」「武道の使い手」というギャップ萌え要素を隠し持つキャラクターでもある。

桐ケ谷晃「ひとつひとつの動きに無駄がねぇ。やっぱあの人すげぇわ」
トンファーの演武。このほかにもヌンチャクも得意

 ギャップ萌えついでにひとつ付け加えると、担当声優の熊谷健太郎氏の地声から遠くかけ離れたふわふわボイスもすごい。乙音の声にすっかり慣れた後で熊谷氏の地声(キリッとした低めのイケメン声)を初めて聞いたときは度肝を抜かれた。乙音と同じ沖縄県出身だそうで、島言葉のイントネーションの再現がうまいのも納得がいく(「スタオケ学園日誌 第8回」参照)。

 沖縄の小さな島に母方の祖母(おばあ)とともにふたりで暮らしている乙音は、島に合宿にやってきたスターライトオーケストラと出会うことになる。

メインストーリー6章「夏だ! リゾートだ! 合宿だ!!」

 水戸で桐ケ谷・刑部、星奏学院で香坂、浜松で凛・流星、宮崎で拓斗・蒼司をメンバーに加え、すっかりにぎやかになったスターライトオーケストラ。大所帯ゆえにまとまらないことも増えてきた頃、沖縄合宿を敢行することになる。
 合宿先の島で合奏練習を行いつつ観光を楽しむスタオケメンバー。そんな中、主人公は海辺で不思議な雰囲気の地元の少年と出会う。

美しい夕焼けの海辺で主人公の前に現れた乙音

 名前も聞かずに別れてしまったものの、その後、夜の合宿所に侵入していた少年と再会。南乙音と名乗る彼はファゴット奏者で、今回スタオケが合宿所にしていた元廃校をしばしば訪れる地元の高校生だった。合宿中に乙音もスタオケの練習に加わることとなり、乙音は喜んで「新しくできた友達」をもてなす。

南 乙音「ボク、こんなにたくさんの友達と朝ご飯食べるの、初めてさ~」
わざわざ朝に合宿所に顔を出して沖縄流の朝ごはんをふるまってくれた

 観光客が訪れては帰っていく沖縄の小島。乙音の通う今帰仁高校の分校も過疎化で生徒が激減し、彼以外の生徒はみな本島の本校に移ってしまっている。しかし乙音は心臓の発作を起こしたことがある祖母と二人で暮らしているため、島を離れられず、合奏クラブに所属しているのにたったひとりでファゴットを吹いている。
 乙音は過疎化の進む故郷に縛られた存在である。父も母も事情があって別れて暮らしている一方、おばあは健康上の不安がある。近年話題になることが増えたヤングケアラーの要素を乙音は持っていると言えるだろう。さらに、島民の年寄りたちは島で唯一の若者である乙音を大変かわいがっているため、乙音の中で「島を出る」という選択肢はますます影をなくしていったのだろう。

南 乙音「……でもな、ボクは、おばあとか、大切な人たちを置いてはいけないから」
こんな無垢な男の子がこんな切ない表情を湛える、そのこと自体がただ悲しい…

 たくさんの観光客と出会いと別れを繰り返してきた乙音は、スターライトオーケストラへの仮加入を喜ぶが、彼らがいずれ島を去ることは理解している。大勢で合奏できる楽しみを感じると同時に、やがて来る別れに心を痛めながら、乙音とスタオケメンバーは島のおじいやおばあを招いたコンサートを成功させる。

南 乙音「みんなと楽しく演奏できて、おじいやおばあにも喜んでもらえて、最高の思い出さー」
音楽が大好きな乙音の祖母にも、スタオケの演奏に太鼓判を押してもらった

 合宿最終日、島を離れるスタオケを見送る乙音。遠ざかるバスを見つめながら寂しそうに手を振る彼に、おばあが荷物を投げつけるのだった。

南 乙音「……バイバイ。また、いつか……」
出会いと別れは表裏一体
乙音祖母「連れてくからにゃ、簡単に島に戻すんじゃないよ」
おばあ自身も、乙音が島でできた観光客の友達と別れるたびに寂しい表情をするのをよく思っていなかったはずだ

 合宿を終えて乙音をメンバーに加えたスタオケは、間もなく国際コンクール代表選抜予選会に出場。合宿を経て磨きをかけたハーモニーで、グランツ交響楽団を含む多数のオーケストラの中での上位10位入賞を目指す。

期間限定イベント「Music and the Bridal Kiss」

 ジューンブライドにちなんだ期間限定イベント「Music and the Bridal Kiss」では、乙音の両親の事情について触れられる。結婚式当日を迎えた花嫁が、事情があって子どもの頃に別れた父と再会する手助けをした乙音。彼の口を通じて聞くことのできる、父や祝い事に対する思いは、寂しく切ないと同時に温かく優しい。

南 乙音「今の、電話ごっこなんさ。心の中のお父さんと」
心の中のお父さん……?

期間限定イベント「間奏曲 秋を奏でるフルコース」

 6章でスタオケに加入した乙音と、7章で加入することになった源一郎。他校のコンビと違って7章で初めて出会ったふたりが、スタオケ全体を巻き込んだ料理イベントを通じて関係性を育んでいくストーリーが、7章の後の物語となる「間奏曲 秋を奏でるフルコース」で示される。
 「大切な人に寄り添うために、いまいる場所に縛られる」「大切な人を置いて去る」という経験を経てスタオケにやってきた乙音。これは源一郎とも共通する要素であり、だからこそこの二人は友人関係になれると言えるだろう。新入りの源一郎の歓迎と慰労を兼ねた料理イベントは、スタオケが彼らにとっての新しい家族であることを示すものだった。

桐ケ谷晃「……思い上がりじゃねぇよ、鷲上。あれは、ハナからお前のための企画だ」
料理イベント「ビストロ・リンデンホール」を終えた後、乙音を筆頭とするスタオケメンバーの心遣いに感謝する源一郎
乙音・源一郎「ぐー……。すー……」
公式コンビ名は「凸凹コンビ」である

 ここまで、南 乙音と彼にまつわるエピソードについて所感を書いた。優しい癒しの力を持っているのにどこか寂しさがつきまとう、そんな乙音に出会って仲間にするために、ぜひともスタオケのメインストーリー6章まで進めてほしい。


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