あらためて「カープは誰のものか?」を

スクリーンの衣笠さん

カープのチケット販売抽選券問題。

もちろん抽選券を配布することが目的でないのはいうまでもありません。公式戦チケットの販売が毎年のように混乱し、残念なことになっているので、そんな事態を回避しようという「手段」です。

その「手段」のために去年は大混乱を招いているのですから、問題の入口でゴタゴタやっているわけで、いつまでも学習能力がない球団といいますか、わたは「興行失格球団」と断じてますが、あまり賛同は得られていないようですね。(笑)

それにしても、なぜにカープ球団のみ、プロ野球12球団でこれほどみっともない事態が性懲りもなく繰り返されるのか。

「そりゃー人気球団なんじゃけえ、しょーがなかろう」
そう答えた貴方には、謹んで「ブー」を差し上げましょう。

人気をいうならタイガースやホークスの方が、たぶんスケールでは上でしょうし、このところのベイスターズの人気ぶりも侮れません。
そうそう、ジャイアンツだって、たぶんまだ相当の人気があるはず。

ところが、これら他球団でカープのような混乱を招いているって話、聞きませんよね。

それはなぜか…?

その答えは、下の図で理解できると思います。
これは去年の各球団のチケット販売方法をざっくりとまとめたものです。

今年の案内は、まだ発表されてはいないと思いますが、たぶん基本的にはそれほど変わるところはないはずです。

これをご欄になればおわかりのように、他球団はチケットを時節ごとに何回かに分割して販売しているのですね。
だから混乱することがない。(ちなみにタイガースのみ、カープと同様に一括販売ですが、なぜ同球団は混乱しないかなど、詳しくはお約束の拙著「ズムスタ、本日も満員御礼!」でお読みください)

販売システム一覧

これだけ転売が横行して、各球団が対応を検討し対策を打ち出しているなか、カープ球団のみが、「まだまだ転売が足らんで!」といわんばかりに不法販売を煽るようなことをするのは企業倫理としてどうなんでしょうか。

きっと、エゴイスティクな販売方法によって結果がどうなるか、どれだけのファンに行き渡るかとかには球団は興味がないのでしょう。
前掲書にも詳しく書きましたが、カープ球団のモットーは「わが身第一」。去年は2100人だった抽選券当選者を、増やすどころか今年は1200人と半分ほどに減らしているのにも、その姿勢は鮮明にあらわれています。

「より多くのファンの方にチケットをおわけしたい」ではなく、「去年は
販売で往生したけえ、今年は人数減らしとけーや」ということのようです。
選手や首脳陣の奮闘努力の甲斐もなく、残念ながらチームはなかなか日本一になれませんが、球団のご都合主義だけは鉄板の日本一といえるかもしれません。

年間チケットを短期間に一括販売しながら、その入口を制限しているのですから、多くのファンにチケットが行き渡るはずがありませんし、混乱するのは当たり前。そんなことはリトルリーグの補欠にでもわかること。
チケットが手に入らなければ転売チケットに手を出さざるを得ないのは自明の理で、それがわかっていてやっているのですから、もう確信犯といえるでしょう。

「20億円あれば運営はできますよ」

かつてカープOBの衣笠祥雄氏は、酒席のテーブルを挟んでそういって球団経営に意欲を見せたことがありました。

いま思えば、衣笠さんはもしかして監督よりGMか、オーナーになりたかったのかもしれません。
監督なんて5年やれればいいところ。そんな短期間に衣笠さんが思い描く球団(もちろん「ファン第一の球団)に改革はできなかったでしょうから。

衣笠さんがいっていた20億円を一桁超えて、いま200億円以上もポッポに入れながら、ファン目線でチケットを提供しようという発想もノウハウも持ち得ない“貧乏ったらしい”球団…。

衣笠さんがご存命のうちに、「衣笠祥雄はなぜ監督になれないのか?」ではなくて、「衣笠祥雄をなぜ経営者にしないのか?」を書くべきだったのかもしれません。


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