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マイルス・デイビス「BITCHES BREW」
1969年に、この2枚組アルバムが録音されていたことに驚きを禁じ得ない。
ジャズ&ロックの革命は半世紀も前に起きていたのだった。
このジャケットデザインの圧倒的な生命力とともに、シャワーのように襲いくるエレクトリックサウンドには度肝抜かれた。
若手の気鋭のサックス奏者ウェイン・ショーター、エレクトリックギターのジョー・マクラフリン、キーボードにチック・コリア、ジョー・ザヴィヌル、それに複数のドラムスを従えたマイルス軍団のサウンドは圧倒的だった。
エレキというおもちゃを手に入れてまだ間がなかったマイルスと、彼の存在感に遠慮がちに絡んでくるミュージシャンたちの手探りの演奏が生む緊張感は、いつまでたっても新鮮だ。
ジャズの帝王にして、斯界のメインストリームをわがもの顔に歩んでいたマイルスが、このアルバムでロックへの参入を高らかに宣言した。
その交差点で、ロックからジャズへ腰を引きながら歩み寄っていたぼくは、リアルタイムでその時に出会えたのだった。
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