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再エネで緩和されたバンク逆潮流の規制

2014年と既にかなり以前のこととなりますが、太陽光発電などの分散型電源が増加したことによって、配電用変電所の変圧器(バンク)での逆潮流についての見直しがなされました。

本記事では、バンク逆潮流について、その規制緩和の内容について、緩和するに際し、必要となった電圧調整対策について、まとめていきます。

バンク逆潮流とは

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出典:https://www.jema-net.or.jp/Japanese/res/dispersed/data/h02.pdf

バンクとは、配電用変電所にある変圧器を指します。発電所で発電された電気は、送電線を通って、配電用変電所に送られます。そして、バンクで配電用の電圧に変換されて、電気使用者により近い、配電線に送られます。

つまり、送電線が上流であり、配電線は下流です。バンク逆潮流は、これと反対の流れ、つまり、配電線から送電線に電気が流れることをいいます。このような状況は、太陽光発電のような再生可能エネルギーが、分散電源として巷に増えたことで起こりえるようになりました。

バンク逆潮流に対する規制緩和

配電用変電所のバンクで逆潮流が発生すると、系統側の電圧管理に支障が生じる恐れがあるため、原則として、分散電源によるバンク逆潮流を起こさないようにすることとされていました。

しかし、この原則を順守すると、再生可能エネルギーの系統連系可能量は、非常に低く抑えられてしまうこととなり、全エネルギーに対する再エネ比率を上げることができなくなります。こうした事情を受け、平成25年に電気設備の技術基準の解釈における逆潮流制限に関する規定が見直されました。

この規制緩和によって、しかるべき措置を取ることを条件にバンク逆潮流は認められることとなりました。

この規定の改正は、平成26年の追補版1で公表されました。

バンク逆潮流に必要な電圧調整対策

バンク逆潮流をするには、バンクを挟む形で送電側、配電側の双方に相応の措置を講じる必要があります。具体的には、以下のようになります。

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出典:https://jeea.or.jp/course/contents/03305/index_small.html

配電用変電所において、上位系統事故などを検出する保護装置を設置します。

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出典:https://jeea.or.jp/course/contents/03305/index_small.html

終わりに

地球温暖化防止において、再生可能エネルギーを増やすのは重要なことは間違いありませんが、電気の送配電において、その品質の維持には、様々な技術が必要であることは、一般人にはあまり知られていません。

バンク逆潮流もそんな技術の一つだと思います。

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