三相交流の要点をまとめてみた
世の中の電力インフラのほとんどは交流で送配電されています。そして、そのほとんどは三相交流という仕組みのものとなっています。
それだけ身近に普及していながら、私を含めた素人はほとんど実態を知らないので、本記事で、基本的なことをまとめてみました。
3つの交流の重ね合わせ
交流の電圧というのは、正弦波のような規則的な波形を取ることはよく知られています。この1種類の波形の交流を単相交流といいます。三相交流は、位相の異なる3つの波形を重ね合わせたもので、通常、波形の位相が120度ずつずれているものを指します。波形は下図のようなイメージです。
三相交流の波形
(出典:Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E7%9B%B8%E4%BA%A4%E6%B5%81))
三相交流は電動機の電源として用いられることが多く、動力と呼ばれることもあります。これに対し、しばしば単相交流は電灯と呼ばれます。
三相交流の利点
三相交流が電力の送配電で用いられるのは、以下のような利点があるためです。
1.電線一本辺りの送電電力が大きい
2.同じ送電電力なら、電線の質量を低減できる
3.単相交流が必要な時も三相交流から容易に取り出せる
4.回転磁界を容易に得られる
「回転磁界」とは・・・?という方もいるかもしれません。これは文字通り回転する磁界で、その中にしかるべき回転できる仕組みを持った磁石を入れれば、回転させることができます。要はモーターということで、回転磁界を容易に得られるということは、モーターの動力として容易に使えるということを意味します。
三相交流の結線
三相交流の結線にはいくつか種類があります。ここでは主要な2種類を紹介します。以下、図が出ますが、波型曲線を丸で囲んだものが交流電源(単相)を示します。電源が電線の場合(通常はそうなるはず)は、電線の断面となっているイメージです。
いずれの図もWikipediaから引用しております。
Y結線(ワイけっせん、スターけっせん)
点Nを中心に三相各相を結ぶ結線です。Nを中性点と呼びます。Y結線では、線間電圧は相電圧の√3倍となり、線電流と相電流は等しくなります。
Δ結線(デルタけっせん、さんかくけっせん)
Δ結線は、三相各相を、相電圧が加わる向きに接続し、閉回路とする結線です。この場合、線間電圧は相電圧と等しくなり、線電流は相電流の√3倍になります。
その他用語の補足
結線のところでいくつか専門用語が出たので、いかに補足します。
相電圧
各相と大地の間の電位差を指します。
線間電圧
各相間の電位差を指します。
相電流
結線内の各相を流れる電流です。
線電流
結線外の各相を流れる電流です。
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