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ホームトレーニーのリングフィットアドベンチャーレビュー #5 スクワット

前回の記事では、リングフィットアドベンチャー(以下、RFA)でも難解なエクササイズのひとつである「腹筋ガード」を考察していったので、今回はとびきりわかりやすいやつをいってみよう。

みんな大好き、筋トレの王「スクワット」である。

RFAのスクワットとは

「スクワット」は、筋トレに興味の無い方でも1度は耳にしたことがあるであろう、超有名エクササイズだ。しゃがむ→立つ、の簡単な動作で大腿四頭筋をメインに、ハムストリングス(太ももの裏側)等も鍛えることができる。ウエイトを使用せずともそこそこの負荷をかけることができる上に、前述の通り動作が簡単でわかりやすいので非常に人気が……人気が……人気、、

人気が無い。

というのも、このエクササイズは単純に見える反面、クソキツイのである。実際にRFAを体験した方ならその異常なキツさを既に認知しているはずだ。「脚のトレーニングの日は憂鬱な気分になる」のは、珍しい話ではないらしい。

ところで。RFAのエクササイズは基本的に「リングコン」を用いることが個性の大部分を占める。「プランク」より「腹筋ガード」のほうが、より「RFAらしい」エクササイズだろう。

ではスクワットはというと、フォームは「リングコン」は身体の前方で構えるだけである。これなら、ゲーム外でやる自重のスクワットと何ら変わりはない。つまり、フォーム外の部分に「RFAならでは」の個性が存在するのではないだろうか。そう考えた筆者が注目した点は

○キープ

攻撃

の2点である。トレーニング史を遡っても、「スクワットで敵を攻撃する」ことができるのは「RFA」くらいなものだろう。ちょっとフザけたことを言っているようだが、実はこの「攻撃」には「スクワット」をより強化するための(MMRもびっくりの)深謀が隠されていたのである!

さて、日ごろからウエイトトレーニングに勤しんでいる筆者は、身長158cm・体重55kgで、スクワットは100kg3レップス(100kgが3回連続で挙がる)といったところで、小柄の割にまあまあな筋力だろうと思っているところだが、正直な話、そういった高重量低回数のスクワットより「RFA」の「スクワット」(以下、RFAスクワット)のほうがキツい。

まずはこれが何故なのか、解説していこう。

燃えよ大腿四頭筋

ハサミでたくさんの紙を切ったりしていくうちに、前腕あたりに焼けつくような痛みを感じたことはないだろうか。あるいは、ノコギリを動かしているときの腕、縄跳びしているときの脚など、恐らくは誰かしら日常生活のどこかで、筋肉の焼けつくような痛みを経験しているはずである。

これを、「バーンズ」という。

仕組みとしては、まずエクササイズによって筋肉が疲労してくると酸性の水素イオン(疲労物質)が発生する。この上、血管が筋肉によって圧迫されていると、疲労物質が蓄積していくことで「バーンズ」が起こるのだ。その性質上、先に挙げた例のように、軽い負荷の運動を繰り返すことで発生しやすい。

この「バーンズ」が「RFAスクワット」とどう結びつくのかというと、ピンときた方もいると思われるが「キープ」の効果である。やれ、「リングコン」が「RFA」の最も個性的なところなら、次点は間違いなく「キープ」だろう。「キープ」に関する解説はレビュー2弾を読んでいただきたい。

「スクワット」は本来「バーンズ」を得難い種目なのだが、「RFAスクワット」は「キープ」によって筋緊張時間(Time Under TensionすなわちTUT)を通常のスクワットより長くおくことになる。例えば、同じ「10回」の挙上なら、「スクワット」と「RFAスクワット」では後者のほうがより筋肉が働いている時間が長くなり、そのぶん「バーンズ」も起こしやすいということだ。

話を戻すと。筆者が行っているウエイトトレーニングのスクワットは「下げたらすぐ挙げる」ものであり、筋緊張時間は短く、疲労物質もあまり蓄積しない。一方で「RFAスクワット」は「下げて、キープして、挙げる」ものであるから筋緊張時間は長く、疲労物質もたまりやすく、積極的に「バーンズ」を起こす。よって、感覚としては「RFAスクワット」のほうが「キツい」のである。

脚部は筋肉が多い部位であるから、「バーンズ」の痛みもまた腕などに発生するものより大きくなる。故に、「バーンズさせるスクワット」は筋トレの中でも最もキツいエクササイズの一つと言っても良い。…と筆者は思う。

ちなみに、「バーンズ」は筋肉に化学的なストレスを与え、成長ホルモンの分泌を促進する。ただしんどいだけでなく、筋肉に良い影響もあるのだ。良かったな。

「ノンロック」で最強のRFAスクワットを目指そう

ここまで「RFAスクワット」がキツい理由しか書いてないので、ぼちぼちフォームに踏み込んでいこう。

文を無理矢理な流れにしたくないので正直に言うが、筆者は「RFAスクワット」の記事を書くにあたって、先ずは「戦闘で毎回『BEST』を出すための」フォームを試行錯誤していた。「RFA」の「アドベンチャーモード」では、敵を攻撃する際、攻撃エクササイズの完成度(正式名称ではないが、便宜上そう呼ばせてもらう)によってダメージや評価が変化する。その最高評価が「BEST」だ。完成度と呼ばせてもらったが、要は動作がきちんとできてるかどうかである。

さらに、筆者自身が下半身のトレーニングを普段から重視していることもあり、「スクワット」をより高負荷で行いたいという気持ちもあった。理想は、アドベンチャーモードを負荷Xで行っている人が、「スクワット」だけ負荷X+5のような感覚で行え、且つ「BEST」を連発できるフォームの発見である。

勿体ぶらずに結論から言ってしまうが、それは「挙げ切らない(ノンロック)スクワット」であった。「スクワット」では膝を伸ばしきった瞬間(直立した状態)は負荷が抜けてしまうので、伸ばしきらない位置までしか挙げない(ノンロック)スクワットが筋緊張時間を得るのに適しているというわけだ。

ここで「ノンロック」に至るまでの過程を話していきたい。筆者が最初に負荷向上のため挙げた案は次の3つである。

案1、ゆっくり下ろすことで伸展時の刺激を増やす

案2、収縮時にジャンプする

案3、下すときに伸展しきらず、挙げる一瞬で一気にボトムまで下して挙げる(SSCの活用)

実際にゲームで試したところ、これら3つはことごとくボツとなってしまった。

まず案1であるが、ゆっくり下ろしたのでは「BEST」が発生しない。どうも、下ろす~キープ終了までの間に主人公の髪が最大まで燃えている時間が長くないと「BEST」にはならないようだ。つまり、「下ろす」動作は素早く行う必要がある。

続いて案2。これは「BEST」を発生させることができ、負荷としても悪くはなかったのだが、建物の2階に住んでいる多くの方が不可とするところであり、スクワットのたびにドッタンバッタン大騒ぎしていたのでは社会的にアウトである。苦情が来ないような環境の人は試してもいいかもしれないが…

案3は、まず手順が難しい上に、「BEST」が発生しなかった。「BEST」を出すには「キープ」時にある程度の位置までしゃがんでおく必要があり、太ももが床と平行になるような位置あたりまでは下ろさなければならない。

やれ、ボツ連発とはいえ収穫はあった。つまり、「BEST」を出すには「素早くしゃがみ、太ももと床が平行な位置でキープする」と良いようだ。

この時点で、「BEST」の条件になっていないのは「挙上時の動作」である。ならばここに何か一手間を加えれば負荷の向上が実現するかも、と思って行ったのが「ノンロック」である。この「ノンロック」は、筆者がウエイトトレーニングでスクワットを行う際に取り入れているテクニックであり、発想は容易だったはずなのだが、「こういうライト層向けゲームでは膝を伸ばしきるフォームを推奨しているだろう」と全く根拠も無いのに思い込んでしまっていたため、試行錯誤を必要としてしまった。

ちなみに、以下の動画を見ていただければわかる通り、やはり「挙上時の動作」は「BEST」に関与していないよう(動画では別のモードなので点数表示になっているが、「100点」である)で、非常にゆっくりと挙げても大丈夫だった。

そして、この試行を繰り返すうちに、あることに気が付いてしまった。

RFAは優秀な「スクワットのトレーナー」である。

先に、「RFAスクワット」の個性として「攻撃」を挙げたのは、この発見による。まずは以下の動画を1度見ていただきたい。

「BEST」を出す条件に当てはまるよう、

○素早くしゃがむ

○太ももと床が平行の位置でキープする

を行い、さらに膝を伸ばしきらない「ノンロック」で行っている。ここで注目すべきなのは「BEST/ダメージ」のポップアップのタイミングである。このポップアップは膝を徐々に伸ばして一定の位置まで挙げると演出されるが、これが非常に役立っているのだ。

「ノンロック」で行う、というと簡単そうに聞こえるかもしれないが、このテクニックは膝を伸ばしきらないが、ある程度までは伸ばさなければ収縮~伸展の幅が狭くなり、負荷が減ってしまうという難点がある。簡単に言い直すと、「伸ばしきらないギリギリのところまでは伸ばす必要がある」ということだ。

これは通常、エクササイズを繰り返し練習して感覚を掴む必要がある。または、トレーナーなどに見てもらって、客観的に位置を分析してもらうというテもあるだろう。

それが「RFAスクワット」ではなんと、BEST/ダメージのポップアップがそのまま「伸ばしきらないギリギリのところまで伸ばした」ところで演出されるため、それを合図にしゃがむ動作へ移ることでいとも容易く正しい範囲のスクワットが可能となっているのだ!!!

恐るべしRFA。正直、この事実に気付いた時には鳥肌が立ったものである。ついでにクララも立つだろうし、なんならノンロックでスクワットし始めてもおかしくない。ヨーゼフ!クララがノンロックでスクワットしたのよ!いやはや、なんといっても、エクササイズの理想的な動作が、ゲーム内の演出と完全にベストマッチしているのである!ここまでやらせてくれるとは思っていなかっただけに衝撃的だ。

スクワット/しゃがんで平行/ノンロック(無季俳句)

最後におさらいしておこう。

○RFAスクワットがキツい秘密は「バーンズ」にある

○RFAスクワットで「BEST」を出すには、素早く、太ももと床が平行になるまでしゃがんでキープする

○RFAスクワットの負荷を高めたいなら膝を伸ばしきらない「ノンロック」で行う

○ダメージのポップアップが出現した時点で膝を伸ばすのをやめれば「ノンロック」で行える

以上だ。先ほどの動画では検証のために非常にゆっくり膝を伸ばしているが、その部分はあまり気にしないでいいだろう。「ノンロック」で行うことができれば負荷は充分である。

体力に余裕のある日は、見出しにあるように、スクワット/しゃがんで平行/ノンロックと唱えながらこれをやってみて、最高のバーンズを経験してほしい。

やれ、「RFAスクワット」はキツいエクササイズなので、はじめはゲームとしてやるぶんには完璧、書くことなしと思ってもいたのだが、いろいろやってみるとやはり発見があり、改めてRFAの奥深さを知ることとなった。恐るべし、恐るべしである。

今回はここまで。ありがとうございました。




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