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ホームトレーニーのリングフィットアドベンチャーレビュー #6 エンドレス広背筋

リングフィットアドベンチャー(以下、RFA)のレビューもはや6回目である。レビューなんだか攻略なんだか筆者自身よくわからなくなってきたがよくわからないなりに続けていこうと思う次第である。が、switchの話題は今まさにポケモンが席巻しており、RFAブームはいささか落ち着いたようだ。

そういうわけで、ここいらでひとつ人気のメニューから外れて筆者の好む部位のエクササイズをさせてほしい。その部位とは、広背筋である。今回は、その「広背筋」をターゲットとした個別メニュー「エンドレス広背筋」について考察していこう。また、「エンドレス広背筋」は「広背筋チャレンジ」「リングコン引っ張り」と動作が共通しているので、エクササイズについての意見も一部共通すると思っていただきたい。

今「広背筋」って言ったよね?

「広背筋」は、読んで字のごとく背中の筋肉だが、ここだとパッと指し示すことができるだろうか。この筋肉は上腕、背骨、骨盤をつないでおり、「上腕を背骨に近づける」働きがある。大きな筋肉なのだが、特によく目立つのは、わきの下、身体の真横よりちょっと背中側あたりだ。ブルース・リーの広背筋はよく発達しており、正面から脇を広げたときにまるでムササビのように広背筋が広がっているのが見える。気になったら画像検索でもしてみてほしい。

最も身近な(?)例として、鉄棒で懸垂などをした翌日にわきの下あたりが筋肉痛になった経験はないだろうか。そのあたりが広背筋である(余談だが、懸垂は広背筋のトレーニングの中でも特に優秀な種目だ)。

さて、例によって前置きが長くなってしまったが、今回はこの広背筋を「エンドレス広背筋」で刺激していく。このエクササイズは「リングコンを外側に引っ張る」という至極単純な動作を行う。大胸筋のエクササイズが「リングコンを中央に向かって押し込む」動作だったが、その真反対だ。背中と胸の位置関係と一致しており(ダジャレじゃないぞ)、まあ胸トレの反対の動きをすれば背トレの動きになるのかなと思う方もいるだろう。ところがどっこい、実際にやってみるとそう簡単にはいかなかったのである…

「エンドレス広背筋」エクササイズの流れを詳しく説明していこう。まず、動作は先ほど述べたように「リングコンを外側に引っ張る」、これだけである。ただし、引っ張る→閉じるの繰り返しではなく、一度引っ張ったらその場で「キープ」を行い、「キープ」している時間そのものが評価になるのだ。このnoteを続けてご覧の方はもうお分かりだと思うが、つまりこのエクササイズは「アイソメトリクス」「筋トレ」である。

「アイソメトリクス」であることは大きな問題ではないのだが、簡単にいかないという部分は「フォーム」だ。

やれ、筆者の記事では1回目からとにかくフォームにイチャモンをつけてきたものだが、今回も例によってその話になってしまった。前回の「RFAスクワット」ではむしろ「RFA」側が適切なフォームの指標を持っていたものだが、制作側としてはきっと「リングコン」の動かし方は極力シンプルな説明に留めておきたい意図もあるのだろう。ところがやはり、「筋肉に効かせたい」という欲望を果たすには、ミブリさんの真似では不十分と言わざるを得ない。

広背筋の機能の話をする前に、ゲーム側の指示(ミブリさんのフォーム)の欠点を述べておこう。それはズバリ、「肩に効いてしまう」その一点である。

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ミブリさん(画像左上ののっぺら太郎のこと)のフォームを見ると、脇を広げ、身体の前に構えたリングコンを真横に引っ張っている。断言してしまうが、これは三角筋(肩の筋肉)側部を刺激する動きそのもので、けっこうな方が「背中より肩が先に疲れてきた」のではないだろうか。

いつぞやの記事にも書いたことをなぞって言うと、「広背筋」をターゲットとしたエクササイズは「広背筋の動き」に沿ったものでなければ意味が無い。それで言うなら、ミブリさんの真似をして「エンドレス広背筋」を肩に効かせているようでは、「広背筋のトレーニング」としては0点である。肩トレじゃねーか!

エンドレス広背筋大研究

「エンドレス広背筋」をミブッていては肩に効いてしまう問題の解決のために、例によって「広背筋」の機能を知っておこう。やれ、いつ何時であっても、正しいフォームの発見は筋肉の機能が教えてくれるのだ。

まず簡単に言ってしまうが、「広背筋」は「上腕を背骨に近づけるときに使われる筋肉」である。この時点でミブリさんのフォームが真逆を行っているのだが、もう少し噛み砕いて説明すると、

「身体の横を通りながら腕が上から下に引き下ろされる動作(上から引っ張る)」

「身体の前から後ろへ腕を引きつける動作(前から引っ張る)」

この2つの動作が主となる。前者の例は、先ほども挙げたが「懸垂」のような動きで、後者の例を挙げるなら「ボート漕ぎ」なんかがそれに当たるだろう。また、「広背筋」3つ目の機能として「腕を内側に捻る」というものもある。

ここから、「リングコンを左右に引っ張る」という動きをどうにかしてこの3つのどれか、或はいくつかに落とし込まなければならない。そんなわけで今回も筆者が身体を張って研究を行った。まず重要だと考えたのは「身体の前から後ろへ腕を引きつける動作」である。「リングコン」の構えからして、「上から引っ張る」でないことは容易に想像がつくからだ。

では、「アイソメトリクス」である「エンドレス広背筋」では、どの位置で「キープ」を行うのがベストなのだろうか。「ワキの開き具合(閉じる・開く)」「肘の位置(体幹より前・後ろ)」を組み合わせ、4通りを実際にやってみた。やれ、研究というと聞こえはいいが、筋トレの話となると結局は力技である。ちなみに、写真はいずれも「リングコン」を引っ張っている状態だ。

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まず初めは「ワキを開いて」「肘を(体幹より)前に出す」のフォーム。光の具合が良くないので、右半分あたりに注目してもらいたい。肩の下あたりに丸く盛り上がっているのが「大円筋」で、その下あたりが「広背筋」である。「広背筋」は筆者の筋肉が不足していることもあり、ちょっとわかりづらいだろうが位置と身体のシルエットを覚えておいてほしい。

このフォームはミブリさんのものと同じであるが、前述の通り三角筋(肩の筋肉)に収縮が起こっている。良くないフォームだ。なお、「大円筋」も「広背筋」とほぼ同じような働きをする筋肉なので、「広背筋」に収縮が起こっていればこちらもよりくっきりと盛り上がるはずである。

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2番目は、「ワキを閉じて」「肘を前に出す」のフォーム。こちらは背中全体が強くストレッチされているのがわかる。これは「広背筋」の機能である「身体の前から後ろへ腕を引きつける」動作の初動になる姿勢と一致するので、さもありなんといったとことだ。

一見良さそうに思えるが、(これは筆者の感覚の問題もあるかもしれないが)この姿勢のまま「リングコン」を開く動作を行うとどうもまだ肩に刺激が入ってくるようだった。恐らく、腕(肘)が体幹の前にあるというのが問題なのだろう。では、肘をぐっと後ろへ引いた状態ではどうか。

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3番目は、「ワキを開いて」「肘を(体幹より)後ろに引く」のフォーム。肘を体幹より後ろにもってきたことで、背中全体が前2つより収縮している感じがあるが、特筆すべきなのは三角筋(肩の筋肉)のリラックス具合である。1番目の画像と比べて盛り上がりが落ち着いており、それほど収縮していないのがわかるだろうか。

こうしてみると、「ワキを開くか閉じるか」は特に関係ないのではと思ってしまうが、次の4枚目を見てほしい。

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4枚目は「ワキを閉じて」「肘を後ろに引く」のフォームである。全然ミブッていないのだが、これはもうバッチリ「広背筋」「大円筋」「僧帽筋(中部)」あたりがきつく収縮している。「広背筋」の機能である「身体の前から後ろへ腕を引きつける」動作のフィニッシュの姿勢と一致するのだ。

1枚目の写真とシルエットを見比べると、バストからウエストへ向かう線が1枚目では直線のようだったのに対し、こちらは収縮によって線が中央に歪められているほどだ。また、肩もきちんとリラックスできており、後部は若干の盛り上がりを見せているが、側部に至っては殆ど収縮していない。

このフォームでは、やってみるとおわかりいただけると思うがワキを閉じる効果で腕の構えを非常に固定しやすい。腕・肩の力を使わず、「広背筋」を主力にしたい場合はこれがベストなフォームだと言えるだろう。実際は本当に腕・肩の力を発揮しづらいので、「リングコン」は「肩甲骨を寄せる」ことで開いていくことになる。

コツとしては、しっかり「肘を体幹より後ろ」の状態をキープすること。これができていれば、「肩甲骨を寄せる」感覚を掴みやすいだろう。

今一度まとめて言い直すが、「エンドレス広背筋」のフォームは「ワキを閉じて」「肘を引く」と覚えていただきたい。

文の流れを乱してしまうようで悪いのだが、今回は肘の位置に関して前後だけしか行っておらず、その中間位置でのフォームを試していなかった。恐らくではあるが、「後ろに引く」より強い収縮は得られないと思うので、敢えて再検証は行わないことを許してほしい。

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そのお手本じゃたどり着けんよ…ミブリさん。

もっともっと広背筋を刺激したい!!!

筋肉大好き!筋トレ大好き!!RFA最高!!!(ポケモン起動)な皆さんであろうから、「エンドレス広背筋」をもっと極めたいと思っていることは筆者もよく知っている。ポケモンに特に恨みはない。

「ワキを閉じて」「肘を引く」のフォームだけでも充分に広背筋を刺激していけると思うが、ここからは更に、「広背筋」の第3の機能である「腕を内側に捻る」動きを取り入れていくとしよう。

ここでは「リングコン」の持ち方に工夫を加えることになる。

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まず、このように「リングコン」の持ち手の最上部を持つようにする。ピントが合っておらず申し訳ない。

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そこから、親指・人差し指・中指だけに力を入れた状態で引っ張ることで、若干ではあるが腕が内側を向き、「広背筋」へ更に刺激を与えることができる。その刺激は大きいものではないが、「エンドレス広背筋」が「キープ」を行う「アイソメトリクス」であり、比較的長時間の緊張になるからこそ、こういう微妙な負荷をかけた者とかけなかった者の差が出てくるというものだろう。まあ、このあたりは+αなことで、今できることのMAXに挑みたい方向けの話だ。ピントが合っておらず申し訳ない。

エンドレス広背筋をやることの意義

「エンドレス広背筋」は適切なフォームで行えば、きちんと「広背筋」を刺激でき、副次的に「大円筋」「僧帽筋」も刺激できるため、「RFA」で背中のトレーニングをしたいときは、是非取り入れてほしい。また、「ワキを閉じて」「肘を引く」のフォームは「アドベンチャーモード」で「吸い込み」を行う時にも、「広背筋チャレンジ」でも使える。「広背筋」はそう簡単に機敏に収縮→伸展を繰り替えせない筋肉なので、「広背筋チャレンジ」の記録は伸び悩むだろうが、肩の筋肉を使ってしまうよりはマジメだろう。

最後となってしまったが、このエクササイズの最も大きなメリットは「安全性」である。「アイソメトリクス」自体が関節を固定して行うため安全性の高い手段なのだが、「リングコン」を扱う都合上、負荷の発生源が「リングコン」の収縮力であることも大きい。

というのも、ウエイトトレーニングで「前から後ろに引く」エクササイズを行う場合、どうしても「身体が前に引っ張られる」ため、腹圧(腹筋にぐっと力を入れて圧力をかけ、体幹の剛性を高める)をしっかりかけていないとどうにも腰をやってしまうのである。「RFA」では「身体が前に引っ張られる」状況などまず起こらないので、「エンドレス広背筋」は腰痛持ちの人でも比較的安全に背中のトレーニングが行えるユニークなメリットを持つと言える(腰痛持ちでも「懸垂」で広背筋を鍛えることはできるが、「前から後ろに引く」エクササイズをウエイトトレーニングで実践するのはかなり難しい)。

さて、今回も「RFA」のエクササイズを「RFAならでは」の筋トレとして紹介でき、満足である。背中は自分では見えない部位ということもあり、軽視されることもあるが、大きな筋肉が多く存在しているだけに鍛えることのメリットも大きい。特に身体のライン、シルエットが気になる方は、積極的に鍛えていってほしい。

今回はここまで。ありがとうございました。

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