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suisuibooksの本棚

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suisuibooksささ(本当に書店員)が厳選した本をご紹介する本棚です。 あなたの心の底にそっと貯まっていく本たちです📚️
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記事一覧

白尾悠『隣人のうたはうるさくて、ときどきやさしい』2024年11月発売です!

白尾悠さんの新刊ですって?それは読むしかない!お先に双葉社さんに頂いたプルーフを拝読しま…

佐々涼子さん『エンド・オブ・ライフ』。どう生きるか、どう死ぬか。

鴨長明『方丈記』の冒頭、みなさんだいたいの意味を把握されていると思います。この『エンド・…

「ここはすべての夜明けまえ」永遠の少女の罪とささやかな願い。

早川書房の大得意ジャンルのひとつがSF。あまり読まないジャンルなのですが、SF食わず嫌いも手…

言葉の盾を身につける。『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない…

「自分の言葉をつくる」「自分の言葉をつくる」 読み返した時、冒頭とラストに同一のこの言葉…

「婚活マエストロ」宮島未奈さんの新作を先に読みました!

永遠のモラトリアム男が主人公 『成瀬は天下を取りにいく』で各賞総なめ、2024年の本屋大賞も…

『ショートケーキは背中から』平野紗季子さんの世界の理解の方法

2024年8月29日、新潮社さんから平野紗季子さん『ショートケーキは背中から』が発売になりまし…

『タラント』角田光代氏。思いを受け継いで自分の”使命”を生きること。

「タラント」とは「使命」という意味だそうです。角田光代さんが描くこの”使命”とはなんなのか。主人公みのりは回り道と停滞を繰り返します。祖父の人生が明らかになるにつれて、見えてくるもの。全てが見通せたときに私たち読者は主人公と共に一歩踏み出せるでしょう。 ☆とうとう文庫が発売となりました!紙の本屋がある限り永遠に中公文庫棚に差すべき1冊、それが「タラント」です!(書店員向けに言いました😂) 『タラント』角田光代 中央公論新社『タラント』はまず、読売新聞朝刊の新聞小説として2

夏葉社・島田潤一郎氏の瑞々しさの一端にふれる。

2009年夏葉社という出版社をひとりで立ち上げ、現在も美しい書籍を発刊されている島田潤一郎氏…

「いなくなくならなくならないで」向坂くじら。身に覚えのある残酷さ。血の味がします…

「いなくなくならなくならないで」 向坂くじら 著。 2024年7月中旬、河出書房新社より発売予定…

「あいにくあんたのためじゃない」ほんとそうよ。

柚木麻子さん「あいにくあんたのためじゃない」新潮社 2024年3月21日発売。 6つの短編はそれ…

「生殖記」朝井リョウ氏の新刊を先に読む。

朝井リョウ氏がこの秋、世に放つ新刊を読んだ。 私たちは「正欲」で七転八倒したではないか。…

千種創一さん「砂丘律」。覚悟を決めて短歌を読む。

できればなんの注釈もなくこの本を手に取って欲しい。そして静かに読んで欲しい。夢の断片のよ…

「成瀬は天下を取りにいく」本屋大賞2024大賞!おめでとうございます。

半信半疑で成瀬と出会った書店員S 私は書店員をしております。 『成瀬は天下を取りにいく』、…

『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』スズキナオ氏。日常を楽しむのにお金はかからないんだ。

「自分の近くにあるものにじっくりと目を向ければ見出せる楽しみがある。」 と著者スズキナオさん。『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』のまえがきの一文です。 コロナ禍を経験して改めて視界に入ってきた「近場での楽しみ方」。 遠出はおろか、海外なんてとんでもない!なんて日々でしたね。 スズキナオさんは呑んだり食べたりしながらのご近所散歩でも、こんなに奥深いんだと教えてくれるのです。 そして人と正面から向き合うことの意義深さ。いろんな切り口でゆるゆると楽しむ術を伝授して