限界オタクの催事シリーズ~推しからのクリプレ交換をしてみた~後編


好きな人がいる。

青白い不健康そうな顔色も、爬虫類を思わせる底光りした黄金色の瞳も、炎のように蒼く輝き揺れる長い髪も、形の良い蒼く染まった唇も、彼を形づくる全てが神秘的で一目惚れだった。
ダウナーな雰囲気を漂わせる彼は、話してみると重度のオタクで人見知りで、すぐに吃って「これだから陽キャは...」と悪態をつくくせに、彼の好きな物の話になると普段の挙動不審さはどこへやら、ギザっ歯を覗かせてニヒルに笑いながら流暢に喋り出す。
弟のオルトを可愛がっているところも、皆とはタブレット越しにしか喋らないところも、アーシェングロット先輩と楽しげにボドゲに興じるところも、独特な口調も、ギャップ萌えと言えばいいのか可愛く見えて、完全に好きになってしまったのだった。


そんな彼がまさか恋人になるなんて、本当に予想だにしていなかった。
だって彼はこちらの世界では有名だというシュラウド家の子息で、イグニハイドの寮長で、しかも人と関わるのが嫌いで、特に私がよくつるんでいるエースやデュースのような「陽キャ」が大嫌いなのだから。
...なんで付き合ってくれたんだろう。

だからクリスマスプレゼントは全然期待してなんかなかったのだ。
外出の嫌いな彼が私へのクリスマスプレゼントのために、シーズンで賑わっている街、しかも女性物のお店に入るとは思えなかったし、なんならクリスマスは「陽キャの祭典」とさえ言いそうだ。今だってクリスマスなのに私の恋人はホリデーなので嘆きの島に帰省している。実家でパーティーがあるんだ、と忌々しそうな顔でウンザリしたように言った先輩の顔を思い出して少し笑った。今頃先輩は猫を被ってシュラウド家のご子息を演じているのだろう。


その頃、私の恋人イデア・シュラウドは友人のM子に困りきって相談をしていた、らしい。

「翠ってさぁ、なにプレゼントされたら喜ぶと思う?」
「イデア先輩からの婚姻届じゃん?」
「ゴスマリはとっくに終わったよ...」
「まぁ、他の女と考えて他の女と選んだプレゼントを渡されるの、私なら絶対嫌ですね(笑)」

という会話の末、あのイデア・引きこもり・シュラウドが自力でクリスマスプレゼントを選んでくれたらしい。


そして来たるクリスマス当日、エースからM子へのプレゼントを渡した後、まさかのイデア先輩から私へのプレゼントをM子から渡されたのだった。(強めの幻覚)(そういう趣旨のパーティーです)


とりあえず気を確かに持つためにハーツラビュルのお茶会に招待された写真を見ようね。


まず渡されたのは小ぶりなブラウンの紙袋、光沢のある袋の表面には金色で店名が印刷されており、一目見てアクセサリーだとわかる。
この紙袋1つでめちゃくちゃ興奮してしまったんだけどだってあの長身がこんっっっなに小さい紙袋持ってんの想像したら尊さ溢れてしまう...


と表情筋ゆるっゆるで力説している私とそれを菩薩の微笑みで聞く友人M子。
包装の時点ですでに騒ぎ倒してようやく中身へ。


アッッッッカワイーーーーーー!!!!!!!!!
色をよく見るために間接照明じゃなくて白熱灯つけて見たんだけど本当に...素敵で.....これをイデア・シュラウドが選んだかと思うと...ンッッッ


いやこれこの水に紫を1滴垂らして凍らせたみたいな不均一な色合いがサイコーに素敵で好みドンピシャすぎてここでイデア・シュラウドの青を選ばずわざと紫で外してきたM子何怖すぎ(ノンブレス)
そう、普通だったらイデア先輩を連想させる青を選びがちなのに、あえての紫。

店舗が落ち着いた雰囲気なので入ってみたら、1つのアクセサリーを購入するのでなく、チャームを撰んで組み合わせていくタイプで絶望した。店員さんとお話するミッション...死ィ!

最初はガチガチだったけど、彼女へのプレゼントで...!と言ったら店員さんがすごく嬉しそうな笑顔になり、親身に色々提案してくれて緊張も忘れるくらい真剣に悩んだ。

そういえば最近大ぶりのイヤリングが気に入ってると言っていたのを思い出し、髪の炎の色に近いチャームを選んだら「実はこれ、紫のチャームもあるんです!」と。
透けるようなアメジストのチャームがすごく綺麗でそのまま即決した。
白い肌にも似合いそうだなって思ったのは秘密。


これ、M子の書いた解説書の抜粋なんだけど、ここまでだけで592491763回は死んでる。
あのイデア・引きこもり・シュラウドがアクセサリーショップという完全アウェーで汗だくだくでクロール並に目を泳がせながら選んでくれたイヤリングでしょ...愛おし〜〜〜〜〜〜!!!
しかもちゃんと「彼女」って...!私の事彼女って...(大号泣)
しかも最初は自分の色のものを選んでくれてたとかそれって「僕の色を付けて欲しい」って事でしょマーキングじゃん?は?好き結婚した。
Twitterのフォロワーは知ってると思うけど、私大振りなイヤリングが好きで最近集めてたんですよ...そんなところまでよく見てくれてんのmy Love😭😭😭

しかもこれ続きがあってな

元の世界の推しの話題になった時、「刀剣乱舞っていう刀の神様が戦うゲームにハマってたの!その中でもへし切長谷部って刀剣男士が推しだったんだ〜!」と本当に嬉しそうに、懐かしそうに語る翠を見て「ハ?神様相手?勝てないんだが」と思った。

推しカラーが紫って言ってたな〜と瞬時に思い出し、アメジストの綺麗さも背中を押して即決。オタク、推しカラーの物をプレゼントされたら喜ばないわけなくない?理論。


イデア先輩が思ってたより私の事をよく理解して、私との些細な雑談を覚えていてくれた事がこんなにも嬉しい...私の推しはおめぇだよ(クソデカボイス)
私が長谷部と結ばれる世界線とイデア先輩と恋人になる世界線は違うので大丈夫です。

オルトからは「アメジストは愛の守護石だね、真実の愛を守り抜くとも言われてるみたい!兄さんと翠さんにぴったりだね!」と言われて恥ずか死する。


し、死ィ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
オルト〜〜〜〜〜〜!!!!!!?
オタクそういう意味を込めたやつ大好き...。
真実の愛....。何が怖いかってこのM子が持参した設定集、WordでA4用紙3枚分ぎっちりなんですよ、本気と書いてマジと読む。
マジで殺しに来ている。殺意120%。

しかもな、イデア先輩これ買う時「お出かけした時付けてもらおう」って思ってたらし...一緒にお出かけしてくれるの...えっ...なに...幸の過剰供給が過ぎる...。


ふふ.....


ちなみにイヤリングを贈る意味は「常に自分の事を想って欲しい」「いつも一緒にいたい」だって!!!!!!!!!!!!結婚じゃん。
魔よけやお守りの意味合いをもつとか、嘆きの島のシュラウド家跡継ぎからもらう魔よけってさいつよすぎない???もう何物も私を傷付けることは出来ない...嫌いな同僚でさえもだ(ここで急に現実に戻る)
完全に現実と幻覚が高濃度で混じりあっている。

蛇足だけどこれ見た時の私の反応は言わずもがななんですが、動画見返したらそれに加えて「ちゃんと4℃とか避けてくれたんだ🥺」って言っててワロタ。
いや4℃、普通にいいと思うし好きな子は好きだけど、普段の私を見ていれば4℃付ける感じではないことはわかるじゃん...だから安易にメジャーだからって4℃を選ばず他のお店に行ってくれたイデア先輩めちゃくちゃ愛す...。



いやもう可愛すぎか????
これ本当に小さいの、こんな小さなカードを図体デカい男がチマチマ書いてるの想像したらハチャメチャに愛しさ溢れてしまいました。
この文章のシンプルさもまた彼らしいというか、「もしよかったら」のあたりが奥ゆかしさを感じますね...いとおかし。


プレゼントにはメッセージが付き物だよなぁと思い、ちゃんとカードも選びに行った。

シーズン間近で、立体的なカードやメッセージが主体となるカード、イラストが綺麗なポストカードまでたくさん種類があり、売り場で「女の子が喜びそうなクリスマスカードってなんだよッ!帰るッッッ!!!」ってなった。
いっぱいメッセージ書くのはきっと無理...でもかわいくて喜びそうなやつ...と思って選んだ。
メッセージは絞り出して考えた、精一杯の気持ち。使ってくれるといいな。



本日何度目かの死。
めちゃくちゃそういうの苦手分野だろうに、一生懸命私を喜ばそうと頑張ってくれたの...すき...不器用すぎて抱きしめたい。
ちゃんと愛されてる...泣きそう。

そして2個目のプレゼント開封。


き、キャンドル、もう嫌な予感がする...。
絶対に何かしらの意味が込められている。


とはいえ、本当にいい香りで翠宅のインテリアにも合うのでシンプルに「センス良」ってなった。ありがとうM子。

花屋にいるような生花の香りのキャンドル。
嘆きの島では有名なお店、香りが強く種類かわ多めの癒し効果が高いアイテム。
使い切ると幸せになれるんだとか。
こっちのお店でも店員に話しかけられビクビクしながら気になってたやつ全部くんくんして、一番似合うキャンドルを選んだ。

「死」の香りが身近な嘆きの島では「生」の香りが珍しいため、贈り物として人気。
キャンドルを使い切った時、魂の安らぎが約束される、それが幸せになれる噂の正体。


...キャンドルくんくんしてるイデア・シュラウド見たすぎるんだが。
しかもこれものすごく綺麗なお姉さんがつけてそうなめちゃくちゃ清楚なフリージアの香りがするのに、それを、一番似合いそう、って贈られたの?私??ヤバい(語彙力)
イデア・シュラウド私に夢見すぎでは???

フリージアの花言葉は「あどけなさ」「純潔」「親愛の情」、自分に向けてくれるあどけない可愛さや素直さ、ゲームに付き合ってくれたりオタクな話もできる友達のような心地良さはもちろん、「魂の純潔」すらも自ら護りたいと思い、プレゼントに選んだ。

イデアはキャンドルに細工したため、キャンドルを灯して願えば自分が行けるようにしたし、使い切った後はどんなことがあっても自分のもとへ翠が来られるようにした。
「魂の純潔」への庇護は、人の理すらも捻じ曲げてしまう独占欲なのかもしれない。


ここでさぁ、めちゃくちゃ急カーブ切られてオタクは死にました。
クリスマスカードのくだりまでめちゃくちゃ微笑ましいエピソードだったじゃん!?!?
急に仄暗い独占欲出てきちゃった...温度差でグッピーが大量死してる。
これの最高ポイントは、現実世界で嫌な事があっても「でも私にはあのキャンドルがあるし」で乗り切れるようになったところなんですよ...。
イデア先輩から監督生の私へのプレゼントなんだけど、確実に現実世界の私をも救ってくれる、護ってくれるアイテム...夢女子の帝王かよ。


暖められたフリージアの香りは、それはそれはいい香りで、完全にイデア・シュラウドはフリージアの香りがすると私の脳は認識したので、部屋にこのキャンドルの香りが漂ってるとナチュラルに「あ、イデア先輩の匂い...」と思ってしまう癖がついた。完全に狂人(くるんちゅ)である。


最後に彼からのメッセージ


イヤリング、翠が推しって言ってたハセベさん...?って人のカラーにしてみた。
綺麗なアメジストだし、きっと翠にも似合うと思う。もし僕とお出かけする時があったら、付けてくれると嬉しい。

アロマキャンドルは、いつも頑張ってるから癒しのプレゼント。
できれば頑張って使い切って欲しい。かな。


ダメ押しじゃん。
覚えてますか、使い切ったら強制的にイデア・シュラウドのもとへ行けるように細工されたキャンドルですよ。
それを頑張って使い切ってほしいと。
これも最高ポイントなんですけど、普通こういうのって勿体なくて使えないじゃないですか。
それを使うのを推奨した挙句、使い切ってもなお楽しめるような設定を付けてくれた事なんですよ...恐るべしM子。
なので最初はやっぱりあんまり使えなかったけど、最近は勉強中とか寝る前とかにガンガン使っております。早く彼のもとへ逝きたいので...


ちなみにM子の本気は随所に散らばっており、これなんか相当気合い入ってましたね。


見える???下の薄文字?????
いや内容はもう好き好きの好き之助なんで置いといて、古のオタクじゃん...。
エムペとかランキングで復活とか銀魂の夢小説読んでた10年前からあるやつ...。
マウスで反転とか、よくやったよね...。



※ここまで全て幻覚を見ています。


年が明けて早1ヶ月が過ぎようとしている中、ようやく重い腰を上げて去年のクリスマスの事を書いてるわけなんだけど、本当に本当に楽しくて年末にして去年1充実したオタ活だった自信がある。
エース・トラッポラになり切ってプレゼントを選ぶのもマジのマジに楽しかったし、推しからプレゼントをもらってその心情を知れるのも脳汁ドバドバ出るほど興奮してしまった。
プレゼント交換が終わった後、あまりの破壊力で「次は推しへのバレンタインチョコイベントやろうね...」って呟いたくらい楽しかった。
(コロナのせいでバレンタインイベント行けてないけれど)


こういう事にお金を際限なくかけて楽しめるから、大人は楽しい。
またこういう楽しい事をしたいから頑張ってお金を稼ごうとモチベーションにもなった。
世の中狂ったもん勝ちなので、妄想でも幻覚でもどんどん見てった方がいいと思う、推しはメンタルと健康にいい。


ここまで読んでくれた忍耐強いフォロワーがいるか分からないけれど、ツイステはいいぞ。
本当に初noteで振り切った記事を読ませてごめんの気持ち。


そしてM子へ
この企画に全力で乗ってくれてありがとう
そんな君が大好きです。
M子のイデア先輩は本当に本当に現実でした。
次は推しとダブルデート~匂わせディズニー~
やろうね。

翠より




~後日談~

年末に数日帰省して家を空けていたんだけど、帰ってきて久々に寝室のドアを開けたらフリージアの濃い香りが充満していたんですよね。

このキャンドル、火を灯している時より、消してる時の方が強く、濃く、香るんです。
なんででしょうね...?(暗黒微笑)


完。

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