卒業

僕達は深い海の底にいる。
僅かな光と何もかも押し潰す水圧の中でもがいている。
僕達は大海原へ浮上する。
確かな胎動の感覚、硬すぎた僕らの卵はもうすぐ突き破られる。

僕達は深い海の底にいる。
人生とは、何かを成すにはあまりに短く、ただ生きるにはあまりにも永い。

永遠を嫌った僕らの生命は何を遺す気なのだろうか。

知己が泣く息遣いさえ呑んで往く。
雪は枯れ、雨が萌える。

ここは海の底か?

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