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三十路のラルクが幕張に虹をかけた日

30周年ライブまでの道のり

5月最後の週末は、L'Arc~en~Ciel1年3ヶ月振りのライブへ。

今回は難波ロケッツで初ライブを行った1991年5月30日から丸30年を迎えるのを記念した、幕張メッセ2デイズ。昨年のツアーはコロナの影響により数本が中止になってしまったため、行けなかった人にとっては久々の機会となった。(※自分は運良くツアー前半に行っていたので観る事ができた。当日のレポートは下記リンクに詳しい。)

今年になってもコロナは収束せず、今回も全国的な緊急事態宣言延長により一時は開催も危ぶまれた(現に2週間前に同会場で予定されていたももいろクローバーZのライブは延期となっている)が、千葉県は緊急事態宣言ではなくまん延防止措置の対象である事、ソーシャルディスタンスにより一席ずつ空けて1万人を収容する事で、公演は開催にこぎつけた。結果的にラルクの首都圏でのライブとしては少なめのキャパとなった。

入場方法

入場にあたっては14:00から15:30までの1時間半を15分ずつの6つに区分し、密を避けるためブロック毎に分散して行う事が推奨された。が、同様の対策を講じている他の公演同様、自分のブロックの指定時間を過ぎても入場自体は可能だった。

入場時の必要事項としては電子チケット(LIVE QRアプリ登録)、身分証明書による本人確認、荷物検査とここまではコロナ禍以前と同じだが、今回は手指の消毒に加えMySOSアプリへの登録が義務づけられた。これは参加する日の前3日間、自身の体温と体調についてアプリに記録しなければならないというもの。アプリをダウンロードしてこれらの記録がなされていない場合は入場をお断りすると開催数日前に急遽アナウンスされたため、戸惑いの声も当初多く聞かれた。また電子チケットは前日20時にならないとダウンロードできないなど、公演直前まで観客に求められる事項が多い公演であった。

会場に入ると座席はA~Hブロックまであり、Aブロックの前にステージがあるのみで花道やサブステージもない。幕張メッセはアリーナやドームのように段差になっていない会場のためメンバーとの距離が遠く、見にくさは否めない。ソーシャルディスタンスのおかげで客席のスペースに少しゆとりがあり、多少横に揺れる事ができたのはむしろ幸いだった。

ライブ前半~コロナで変わったこと、変わらないこと

開演予定の16時を8分ほど過ぎ、場内は暗転。ライブはバンドの歴史を辿るVTRからスタートし、そのまま1曲目の「XXX」へ突入した。タイトルにあるXをローマ数字の10と捉えると30と読める事が、30周年ライブのオープニングとなった要因と考えられる。 続く「Caress of Venus」で、イントロからhydeが観客のジャンプを煽る。 コロナ禍においてライブでできる事に制限がある現状だが、ジャンプは問題ない。 ここまではラルクのライブで序盤によく見られる光景そのものといった感じだ。

いつもならメンバーの一挙一動に大きな歓声があがるところだが、当然今回はそれができない。MCでもhydeの言葉に対してファンは拍手や持参したアイテムで音を出して応えていた。今回のライブでは鈴、カスタネット、マラカス、タンバリンといった鳴り物アイテムの持ち込みが許可されたほか、バットマラカスライトというグッズも発売されたため、これらを駆使して思いを伝えていた。現場感覚では鳴り物アイテムを使っていた人は半分以下だったが、事前の予想よりはライブの盛り上がりに一役買っていた印象がある。

hydeのブルースハープソロから「flower」に突入するとその後は「metropolis」「DAYBREAK'S BELL」といったライブでは久々の楽曲が続く。「REVELATION」でズシリと響く重低音にファンが呼応した後、「NEO UNIVERSE」ではステージに幻想的な世界が広がった。この曲に関しては、個人的には音源よりもキーを下げたライブでのアレンジの方が好きだ。

ライブ中盤~雨上がりの虹とハミング

こちらも久々となる「get out from the shell」は、中盤のハイライトとして挙げたい。インダストリアルなサウンドに合わせて激しく動く照明による視覚効果が非常にカッコ良く、BOOM BOOM SATELLITESあたりを思い出した。フジロックのホワイトステージあたりで観てみたいくらいだ。

「花葬」「EVERLASTING」と、儚げな楽曲が続く中盤ブロック。特に「EVERLASTING」はリリース前の国立競技場で演奏されたきりライブでは披露されておらず、意外とレアなナンバーだ。この曲では歌詞通りに雨音の演出があったが、そこから暖かな日差しを感じさせる「MY HEART DRAWS A DREAM」へと繋いだのはなるほどと思わされた。ちなみに当日は会場にいて一切知らなかったが、この日は夕方大雨が降り、その後で虹が出た地域があったらしい。 虹を意味するバンド名ともリンクする奇跡である。

「MY HEART DRAWS A DREAM」ではライブでファンの合唱が恒例となっているが、今回はあいにくのコロナ禍である。ファンの歌声が必要な曲をどうするか問題は他のバンドでも当然表出していて、 例えばDragon Ashはライブの定番曲でありオーディエンスの大合唱が欠かせない「Fantasista」を、暫くの間封印する決断をした。

さて、ラルクはどうしたか。 hydeが提案したのは、ハミングだ。鼻からフンフンフン~とメロディーを歌う。ちっぽけな事のようにも思えるが、これが1万人集まるとそれなりのものに聴こえるから不思議だ。 大合唱とはいかないまでも、一定のまとまりを持って響いていたのは確かだった。コロナ禍の今をそのまま刻む、今しかできないパフォーマンスだった。

ここで長めのMCへ。kenちゃんによる色当てクイズでは、メンバーの好きな○○の色についてのクイズを出題し、観客はペンライトの色を変えて答えていた。ゆるくシュールな光景を見たkenちゃんは、初期のラルクはMCをしても反応がなかったため、今回の声出しNGはある意味30周年に相応しいと話していた。なるほど。

ライブ後半~アンコール

ここからライブは終盤へ。「Driver's High」でも毎回観客に任せるパートが存在するが、ここではハミングが難しいと判断したのか「俺に任せろ! 」とhyde自ら歌う場面もあった。その後「HONEY」「READY STEADY GO」と定番曲を畳みかけて本編は終了。ここまで16曲だ。

各自思い思いの鳴り物や手拍子で観客がアンコールを伝えていると、「あなた」のイントロが聴こえてきた。ここでは 世界中のオーディエンスがこれまでこの曲を合唱してきた音源が流れ、そのまま曲に入っていった。この曲でもハミングを駆使し、恒例の合唱パートはコロナver.となって場内に響いた。続く新曲「ミライ」では手持ちのライトを光らせるよう求めるhyde。 持っていない人はスマホのライトをつけるよう推奨された。それぞれの光が重なって虹を作っていく、という楽曲のイメージを表現する演出だった。

ライブは新曲から一気にインディーズ時代の「Dune」へ。今回意外と初期の曲が少なかったため、個人的にはこれが一番嬉しかった。意外と久々の「GOOD LUCK MY WAY」を経て、周年には欠かせない「虹」へ。かつてバンドが活動休止を余儀なくされそこから立ち上がる時にリリースされた曲だが、今はコロナを経て再び未来へ歩き出すための楽曲のように響いた。ステージは虹のように7色に彩られ、アウトロからはそのまま♪Happy birthday to you~のメロディーに繋がり、バンドのアニバーサリーを祝福していた。

アンコールを全て終え、アナウンスされたのはデジタルファンクラブの始動、新曲の配信リリース(告知済み)、今回のライブの配信が8/22に決定したことの3点。次なるライブの発表はなかった。

直近2回のライブではレア曲多数のセットリストだったが、今回は30周年のお祝いという事もあって比較的オーソドックスで王道感の強い選曲になっていたと思う。 前回のライブと重複するのは5曲という配慮もファンには嬉しい。今回は限られたファンしか生で観られなかった事もあり、30周年イヤーを飾る大々的なライブも実現してほしいところ。ワクチンが行き渡って満員で大合唱までは無理としても、ドームかスタジアムで観れるといいなあ。

[セットリスト]

XXX
Caress of Venus
CHASE
winter fall
flower
metropolis
DAYBREAK’S BELL
REVELATION
NEO UNIVERSE
get out from the shell
花葬
EVERLASTING
MY HEART DRAWS A DREAM
Driver’s High
HONEY
READY STEADY GO
[EN]
あなた
ミライ
Dune
GOOD LUCK MY WAY

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