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今週のハニー「240226-27」【池山】

2024.02.26

カルボナーラを食いながら、名古屋行き「ひのとり」の発車時刻まで時間を潰し、「今週のハニー」はどうすればいいのかなと考えている。歯もちょっと痛い。歯医者も行きたいけどいつ行けるかな。

今日は夜、火曜日のゲキジョウのpair200の勝山チームの最終稽古をみるはずで、明日はとうとうpair200の本番のはずだ。はずだった。私は全部参加できなくなった。
諸々の連絡は大体終わり、行けなくなったな〜迷惑やな〜あと今週のハニーどうしようかな〜歯が痛いな〜明日行けなくなったな〜と思いながら、ぼんやりカルボナーラを食っている。

祖父が亡くなった。
私にとって晩年の祖父は「わからない」人だった。わからない。わからなかった。どんな人かわからなかった。私の父親の父親になり、私の祖父になった。私が小さい頃、ピカチュウのぬいぐるみを買ってくれた。それぐらいだ。それぐらい話してこなかった。寂しがりのわりに捻くれ者で、なかなか部屋から出てこなかった。ただ、実家に戻って「帰ってきたよ」と会いに行くと、いつも泣いてた。その姿をみると、わからない人だけど私は紛れもなくこの人の孫なんだろうと思った。それで十分よな、と思った。頭がしっかりしすぎていて、いつも悲しいと寂しいを身体中に纏ったような人だった。

カルボナーラを3分の1ほど残し、すみません、と思いながら「ひのとり」に乗り込む。諸々の連絡は大体落ち着いた。みんな「明日のことは大丈夫よ〜」と連絡が返ってくる。優しい言葉も一緒に。照明のりおちゃんなんてわざわざ個人ラインをくれた。本当に優しい。優しい言葉をかけられる人はすごい。ありがたい。明日参加できないことは、本当に、本当にとても申し訳ないし、なにより、7年関わってきた中で、残念だ。

「ひのとり」が出発し、しばらくボーッと近鉄線沿いの風景を眺めていたら、私が持ってきたものは喪服だけで、下着とか歯ブラシとか、そうゆうものを持ってくるのを忘れたことに気がついた。
その時気持ちがどうしようもなくなってしまった。

いつもどんな死に出会っても、「そっか。」としか言葉が出てこない。死はそこにあるだけだ。私は、私が言葉を尽くしても尽くしても尽くし足りないと思う。本当に、優しい言葉をかけられる人は、すごい。言葉を重ねられる人は、つよい。私はやっぱり、死に対して言葉がでない。何も気がつかず喪服だけをカバンにいれた自分自身を享受するしか、ない。

突然だけれど私は最近MOTHER3をやっている。まだクリアしてない。しかも”超”ミーハー。ここからは少しネタバレ。ミーハーとネタバレ嫌な人ごめん。私はミーハーとわざわざネタバレしてくるやつは嫌いだ。

MOTHER3の登場人物にマジプシーという種族がいる。彼…彼女らは…島にある針を守る存在で、その針を抜かれると自分の存在が消滅してしまうという。彼…彼女らは、そのことについてこう言うのだ。

「ロマンチックなのよ わたしたち」

すごいな。つよいよな。本当に。
本当のつよさって、こうゆうことを言うんだよな。
だれも傷つけず、
自分も傷つけず、
自分がいなくなることを恐れず。
ダーリン、すごい言葉を書くなー。

こう思いながら名古屋に着くまで私は寝てしまう。言葉に救われながら、でもまだ私はロマンチックだねなんて言えなく、今からもっと死を実感してびーびー泣くしかない自分のために体力を温存するのだ。泣くのは体力がいる。でも誰のためでもなく自分のために泣くのだ。よくわからなかった寂しがり屋の祖父のことを思って泣くのだ。
私の悲しみとしっかり対峙するのだ。
そんなことを書いてしまう私も、とてもロマンチックじゃないですか。

(ぶん•いけやまゆらり)



追伸
こんばんは、池山ユラリです。
悲しい文ですみません。元気です。

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