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氷点下15度の忘れられない体験|なくならないでほしいホテル Vol.1

「HOTEL SHE,」などを運営するL&G GLOBAL BUSINESSで働くスタッフや、いつも応援してくださる皆様と一緒に「なくならないでほしいホテル」という連載をはじめました。絶対になくなってほしくない推しのホテルを主観たっぷりでお届けします。


氷点下15度。真冬の北海道で忘れられない体験がある。

3年前の2月、結婚目前の僕は彼女と北海道を訪れていた。新千歳空港から電車に揺られてたどり着いた辺境の地は、しかし想像していたほど寒くはなかった。

トマムにある星野リゾート。ここへ来た理由は結婚式場の候補を見るためだ。それまで都内の式場やホテルなどをいろいろと見て回ってはいたのだけど、式を挙げられるかどうかは別として、どうしても見ておきたい場所があった。それが「水の教会」だ。

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安藤忠雄さんによる素晴らしい建築で、もしもこんな場所で結婚式があげられたらどんなに素敵だろうと、建築好きな僕たち二人は胸を踊らせた。担当の方にご案内いただきつつ、エントランスの建物を抜けて雪の上を歩き、たどり着いた教会は、それはそれは静謐な場所だった。

ただ、やはり遠すぎるし、教会までの足場が悪いということで、結局この場所を選ぶことはできなかった。が、はるばる来ることができただけでとっても嬉しかった。そこはコンクリートに囲まれた、恐ろしく優しい空間だった。

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ちなみに「水の教会」へ向かうときに通過するホテルレセプションがまた可愛い。なんともレトロ。この一帯はほんとうに巨大な観光地で、それぞれのホテルや観光地をつなぐ巡回バスがあるほど。真冬にこのバスを使わなければ、隣の建物への移動だけで雪上を10分くらい歩くことになってしまう。これはたしかレストラン棟のレセプションだったと思う。

そんなわけで、昼過ぎの教会ツアーを終え、そのままホテルで1泊することになっていた僕たちはいろんな棟をめぐることにした。スキー用品は何も持ってきていなかったので(最初からやるつもりはなかったが)2月のスキー場を私服で歩き回ってる僕たちはちょっと浮いていたかもしれない。レストランから見上げた空がなんとも綺麗で、北海道の空気だなあと感じたりした。深呼吸をいっぱいしておいた。

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そんなこんなで、ディナーを前に2時間ほど間が空いたので、離れにある屋内プールへ行くことにした。これがもう忘れられない体験なのである。スキーはしないのに、真冬の北海道で、水着をレンタルしてまでプールには入るんかいというツッコミはさておき、まずこのビーチがさすがとしかいいようのない空間だった。

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おお、波打っているではないか(素人・・・・)。その名も「ミナミナビーチ」。どれだけ広大なんだ北海道。そんな思いを抱きながら入ったプールは温水とはいえ、さすがに寒かった。人もまばら。だけど、ビーチ側のリクライニングなども使いながらゆったりとした時間を過ごすことができた。

ふと、(写真右手の方に)お風呂のマークがあることに気がついた。水着のまま温泉に入れるのか。これは行くしかないということで何気なくそれぞれの湯へ向かったのである。そこに待ち受けていたのはなんと、露天風呂・・・・!マイナス15度の世界へ裸で飛び込めというのか。ここまで来たら体験するしかない。そんな思いで、外へ飛び出した。

マイナス15度。白銀の世界・・・と思いきや、そこは降りしきる雪が温泉の蒸気で水蒸気となり、一面が真っ白に曇った世界だった。視界は数十センチ。他のお客さんがいるかどうかかろうじてわかる程度の不鮮明な世界。綾波レイが言った「どこまでが自分で、どこからが他人なのか分からない曖昧な世界」だなこれは。

すぐに湯へ浸かるも、もう暑いのか寒いのかわからない。現実なのかどうかもよくわからなくなりそうな空気だった。多分5分くらいしかいられなかったのだけど、無限に溶けていたような気分になった。上がってみると、サウナの交互浴を一度に味わったような幸福感を感じた。これはクセになるかもしれない。と思いながらも、食事のためにプールをあとにした。

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ちなみに、そのあとは夜の「水の教会」を再度訪れたり、その先にあった氷のテーマパークみたいなところでひとしきり遊んだ。さすがに夜は寒かった。夜は夜で幻想的な世界だった。そして、部屋へ戻ってすぐに眠った。疲れていた。今見返してもお部屋の写真が一切ない。そのくらい部屋にはいなかったのだと思う。

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翌朝はものすごくいい冬晴れだった。お部屋から見た外の景色は素晴らしいし、何より10分くらい迷路を歩いてたどり着いただだっ広い朝食会場が素晴らしすぎて、なにを食べたのかも思い出せないくらい(ビュッフェだったのだけれど)。

そんなわけで、結婚式場を見るという主たる目的とだだっ広い空間を遊びつくすという野心を両方満たすことができた僕たちは帰路へついた。帰りの電車は1時間に1本しかなくて、なぜか真冬の駅のホーム(もちろん外)で30分くらい待つ羽目になったことだけはやたらと覚えている。

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やっぱり寒かった。絶対にこの場所がなくなることはないと思うけれど、あの忘れられない寒さと暑さはまた体験しないといけないね。

文・写真:角田貴広(L&G GLOABL BUSINESS)


【👼HOTEL SOMEWHERE 編集部より】
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