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旅先は、物語の世界。 「泊まれる演劇」による新しい空間活用法
みなさん、こんにちは。ホテルプロデューサーの龍崎です。
毎月続けさせていただいている「ホテル経営企画室」ですが、先月よりいつもと少し違う形で記事をお届けさせていただいております。具体的には、会社全体の事業計画書をベースに、事業ごとの責任者とともに今やっていること、これから考えていることなどをリアルな声でお届けしてゆきます。
本日は、「泊まれる演劇」というエンタメ事業を展開している花岡さんが登場します。ホテル空間を使って体験型(没入型)の演劇をスタートし、今年何度も話題を生み出して来た花岡さんに、ホテル空間とエンタメビジネスの可能性についてお話を聞きました。
「泊まれる演劇」とは?
龍崎:実はこれまであまり「泊まれる演劇」についてSOMEWHEREで紹介したことがなかったんですよね。
花岡:「泊まれる演劇」というのは、ホテルを舞台に繰り広げられる演劇をHOTEL SHE,がプロデュースするエンターテイメント事業です。通常の演劇は、ステージと客席とが分かれていて、役者と観客との間にも完全に境界みたいなものがある。「泊まれる演劇」は、そういった通常の演劇ではなく、「イマージブシアター(没入型演劇)」という手法を用いて作品を作っています。
イマーシブシアターは、ロンドンやニューヨークで最近流行っているものなんですけど、ステージと客席との境界がなく、建物全体を舞台と見立てて繰り広げられます。物語を「鑑賞する」というより「体験する」に近いですね。「泊まれる演劇」の作品は、映画やドラマのような一方向的な作品ではなくて、お客様にも物語の中での役があって、登場人物の一人として物語に参加してもらいます。
龍崎:本当は、今年の6月に初の作品を上演する予定が、コロナの影響でリアルで上演することができない状況になったので、zoomを使ってオンラインで上演する形にシフトして5月から作品を公開しているんですよね。
花岡:ちょうど今、オンラインでは3作品を上演し終わっていて、8月にはリアルでもHOTEL SHE, KYOTOで上演することができました。現時点では合計4作品公演を終えていることになります。今のところサスペンス系の作品が多いですね。
龍崎:イマーシブシアターって、日本ではまだほとんど普及していなくて、大半の方はきっとイメージが湧かないんじゃないかと思います。
花岡:そうなんです。言葉で説明するのはなかなか難しいのですが…。わかりやすく例えると、建物全体を舞台にしているという点では、お化け屋敷が近い形態ではあると思います。ただ、お化け屋敷はホラー演出で繰り広げられると思うんですけど、イマージブシアターは完全に物語になっていて、起承転結もあるし、登場人物のキャラクラー設定もしっかり作られている。もちろん舞台の美術担当とか音響とか照明の人もいて。まるで映画の中に自分が登場人物として入り込んだような感覚と感動を得られる、新感覚のエンターテイメントの一つとして、近年話題になってきています。
龍崎:映画や通常の演劇では、役者はセリフや動きなどをしっかり覚えて演じますよね。「泊まれる演劇」の作品にいわば「出演する」お客様にも、物語の鍵を握る人物として役割がある。
花岡:お客様の脚本はありませんが、物語の中の登場人物になります。もちろんホテル側・役者にはあって、動きも含めてちゃんと定まっています。ただ、通常の舞台とかって、全てのシーンにおいて、立ち位置、セリフ、視線まで、かなりぎちぎちに決まっていて、お客さんは完成系のものを鑑賞するのが一般的だと思います。一方、イマーシブシアターは、
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