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『ホテル経営企画室』 を立ち上げます

こんにちは。ホテルプロデューサーの龍崎翔子です。

受難の時代ですが、こんな世の中だからこそnoteマガジンを始めたいと思います。

本来はこのマガジンには「ホテル開業準備室」と名付けるつもりで、現在進行形で取り組んでいるプロジェクトの解禁前の情報や過去のホテルプロデュースの内情、いつかやりたいと思っているアイディアなどをのほほんと書こうかなと思っていたのですが、この危機的状況の中で、『家から出てはいけない時代』に適応したホテルとなっていくために、私たちが何を考えどこに向かうのかをリアルタイムで書こうと思います。(私たちって誰?という方はこちらをご覧ください)


マガジン『ホテル経営企画室』について

先日のこのツイートが思いの外多くの方に反応していただいており、実はとっても驚いています。軽い気持ちで呟いたものなので、多くの方に応援&期待していただけていることに心から感謝したいです、、、ありがとうございます🔥🔥🔥

「どういうことなんだろう?楽しみ」といった趣旨のメッセージを多くいただき、大変ありがたいです。色々予想してくれている方もいて、とても楽しく読ませていただきました、、、参考になるアイディアもとても多かったです!

実はこのアイディアはひとつだけではなく複合的なものになっています。今はまだバラバラのアイディアですが、時間を追うごとにパーツが増え整理され体系化されていくことになると思います。

このマガジン『ホテル経営企画室』では、本来ならば情報解禁されるまでSNSで話すことができないような、アイディアが生まれ、洗練され、実装されていくまでの過程をリアルタイムで発信していきます。上記のツイートで書かれているビジネスアイディアをまとめた企画書も存在しているのですが、次回公開する予定です。

価格ですが、まずは月額2980円で始めてみたいと思います。少なくとも月4本は公開します(本当は短くても毎日書きたい・・・)。今後の経営戦略や新規事業案などを率直に書いていくので、飲み会1回分の価格で、コロナショックが直撃している業界の経営者の脳内を覗けると思うと結構お得かもしれません。

今日は、今日までのあらすじと決意表明を全文無料で公開しているので、ぜひご覧ください。

⚠️『ホテル経営企画室』をお楽しみいただく前に⚠️

・現在私が取り組んでいる経営戦略、事業開発をリアルタイムで執筆していきます。目下、コロナ渦中故に、「宿泊」以外の形でどのようなビジネスモデルがありうるか模索する感じの内容になると思います。また、時勢に応じて方針や施策が二転三転することがあると思います。

・取引先に関わる部分や、経営機密に関わる部分以外はなるべく頭にあることを率直に書いていきます。情報公開前の新規事業のアイディアや展開の進捗なども書いていくので、本当にこの情報に興味のある方だけに届くよう原則有料マガジンとさせていただきます(無料公開する記事がある可能性もあります)。

・体系化されたノウハウ記事ではないですが、だらだらと続く日記というよりは読者の方にとってヒントやインスピレーションになるような有意義な記事になるようにしたいと思います。

・偽りのない情報発信をしたいと思っているので、記事の長さや投稿頻度にムラが出ると思います。あらかじめご了承いただけますと幸いでございます。


1〜3月までのあらすじ

実は、コロナショックが起きるずっと前、それこそ3年くらい前からホテルバブルが終焉するときに向けての準備をしていた。

私のスタンスとしては、オリンピック後もインバウンドは増えるし観光がGDPに占める割合は高まるという見方ではいたのだが、雨後の筍のようにホテルが乱立し値崩れも始まりつつあったこの数年のホテルシーンを見るに、いずれ大規模な淘汰が起きるだろうとは思っていた。

今から思えば、このときに先回りして取っていた対策に、今回命拾いさせてもらったと思う。

実は、HOTEL SHE, KYOTOを始めたばかりの頃、自分たちなりにコンセプトをもちこだわって作ったつもりでも、実際に予約してくださるのはOTA(じゃらんやexpediaなどのホテル予約サイト)などで見かけ、立地や価格に惹かれたインバウンドゲストがメインだった。

もちろんゲストとの素敵な思い出はたくさんあった・・・だけど、多くの場合、リピートされたり口コミでシェアされることなく、次の日には名前を忘れられるようなホテルとして、稼働が悪ければ値下げ値下げ、決して安くないOTA手数料を払いながら、どんどん開業する競合との価格競争に飲み込まれながら営業していた。

そんな状況に未来がないと感じ、大きな方向転換をした。

OTA経由で様々な選択肢の中から、価格や面積や口コミや駅からの距離などの定量的な指標から比較し選ばれるのではなく、「どうしてもHOTEL SHE,に行きたい」と思われるような『指名買い顧客』を増やそう、と。

ホテルの世界観を作り込み、ファン(=指名買い顧客)に選ばれ、コミュニティを広げ、SNSでフォローされ、関西でホテルを予約しようと思えば真っ先に思い浮かび、そしてHPから予約していただける、そして期待を上回る最高のサービスでおもてなしをして、ゲストの大切な方に語り継いでいただける、そんなホテルを作らないといけない。

その結果生まれたのがHOTEL SHE, OSAKAであり、

2019年春に、そもそも新築ホテルだったにも関わらず大規模なリニューアルをした、HOTEL SHE, KYOTOだった。(この話はこのマガジンで有料記事として色々詳細に書きたいと思っています。以前Forbesに取材していただいた記事はこちらから見れます)

その結果、客層がグッと変わり、トレンドに敏感で感度の高い国内のお客様がほとんどになった。今まで5%あるかないか(業界平均並)だった直接予約率は40%を超えることもざらになった。値段が高いか安いかに関わらず、「HOTEL SHE, に行きたい」と宿を選んでくださるゲストにホテルを支えていただけるようになった。

投資額も決して少なくなく、胃が痛くなるような決断だったが、ありがたいことに報われる形になった。

今回、この伝染病が高齢者が重篤化しやすいものだと当初報道されていたこと(スペイン風邪は若年層が重症化したため、もしそのような病原体だったらまた違ったかもしれない)や、感染拡大が広まり始めたのが若年層が動きやすい大学の春休みシーズンだったことなどの運がよかった部分もあり、1〜3月に関しては稼働もとれ、価格も下げることなく、前年とほとんど変わらない営業状況で、幸いにもあまり大きなダメージを受けずに済むことができた。

「寝床」というインフラとして消費されてしまうはずの市場に、時代の消費トレンドに合わせた(いわゆるD2C的な)商品開発やコミュニケーションを行うことなど『指名買い顧客』の獲得に力を入れたこと。

それに伴って新規開業を控え、既存施設の改修や改善に投資したこと。

リアルビジネスのみではなく、オンラインプラットフォームの開発に着手していたこと(ホテルのD2Cプラットフォーム『CHILLNN』についてはこちら)など、従前からホテルバブル崩壊を見越して仕込んでいた施策によって命拾いをすることができ、一発KOは免れることができた(タイミング的にもうコロナショックがもう1年早かったら間に合っていないので運の部分もあったと思う)。


3月4週目の心境

実は、4月の予約は前年の半分程度とはいえ、現状多少入ってはいる。5,6月もなんだかんだで数百万円単位で予約をいただいている(支援してくださっているゲストの皆様、本当にありがとうございます)。カフェも未だに、平日にも関わらずアイスやワッフルを楽しむゲストで賑わっている。

ただ、正直なところ、もうこれ以上新規プランを打ったり、SNSで告知をしたりして『ホテルに泊まりに来てください』とは到底言えないと思っている。遠い場所からやって来て夜を明かすゲストの寝床が安心安全であることを約束することがホテルに課せられた使命だと考えているし、大切なお客様に私たちが発信すべきメッセージはむしろ『#StayhomeStaysafe』であるべきだと思う・・・それがたとえ自分たちの首を締めるメッセージだったとしても。

いずれにせよ、今後の状況が今よりよくなることは到底ないだろうし、少なくとも2年くらいは観光業が停滞する状況が続くことになると思っている。それに下手をしたら今後数十年に渡ってウイルスと人類が共存しながら生活をしていくことになるかもしれない。ホテルに『旅の中継地』としての出番が回ってくるのは、残念ながらきっとそれなりに先になるだろう。

客が、ホテルという建築物の中の客室の一室を借りてベッドで寝る、という形でホテルビジネスを続けることはもう全く考えていない(もし状況が好転したら今まで通りの営業を再開すればいいだけの話なので)。改めて白紙の状態から、L&G(私たちの会社)の持っているリソース、そして世の中の宿泊業者が持っているリソースで、世の中に提供できるサービスを考え、この終わりの見えないトンネルのような受難の時代を走り抜けるしかない。

L&Gだけが生き延びようとするならば、業態を変えるなりなんなりしてやればもしかしたらなんとかやっていけるかもしれない。

でも欲を言うと、ホテル業全体で生き延びたい。

この数年、一気に豊かになったホテルシーン。私が勝手に『ビジネスホテル砂漠』と名付けている不毛な日本のホテル市場が嘘だったかのように、百花繚乱という言葉が似つかわしいほど尖ったコンセプトに個性的なサービスをもったホテルたちが続々と生まれて来た。

旅って、多くの場合大切な人と行くから、旅の思い出は自ずと大切な思い出になる。そんな大切な思い出の舞台となったいくつものホテルたち。いつか行こうと思い描いていた憧れのホテルたち。

開業したばかりでまだマネタイズされていないホテルもあるだろう。昔から続けていたために過当競争で巻き込まれていたホテルもあるだろう。

今ある素敵なホテルたちが直面している危機はあまりにも深刻で、そして最悪の結末が現実味を帯びて待ち構えている。大したことはできないかもしれない、本当に微力かもしれないけれど、このホテルシーンを守るためにL&Gができることを考えている。


ホテルとはメディアである

『ホテルとはメディアである』というのがL&Gが掲げているホテル観である。どのホテルも、皆この概念を咀嚼して、生まれ育てられている。

ホテルはただの寝る場所ではない。街、人、文化を繋げるメディアなのだと思う。ホテルは衣食住を全て包括した、半パブリック/半プライベートな空間で、本来自宅で過ごすはずの日常生活が部分的に切り出され、営まれる空間である。

壁紙や家具、ベッドにリネンにタオル、ガウンやスリッパ、朝食のパン、コーヒー、昼下がりのアフタヌーンティー、深夜のカクテル、客室に流れる音楽や壁に飾られたアート、枕元の雑誌。

ホテルという空間は、生活に関わるありとあらゆるものをゲストに提案することができる。雑誌やwebメディアではテキストと写真でしか伝えることができない情報を、五感を通して生活の中で伝えることができる。新しい概念や価値観、素敵な商品やサービス。人の生活に関わることならばなんでも、ライフスタイルに関わるありとあらゆることを包括的に提案し、体験してもらえる場がホテルなのだと思う。

だから、今こそ、ホテルは「ただの寝る場所」ではないことを証明する時なのかもしれない。


再び、マガジン『ホテル経営企画室』について

このマガジンでは、私たちのホテルが、これからの時代に適応した「メディアとしてのホテル」へとなっていく過程をお見せしたいと思います。

未曾有の経済危機と変わりゆく世界を前に、Twitterにはかけない、ビジネスアイディアや取り組み、巡らされた思いなどを経営者として綴っていきます。

次回は、このツイートの舞台裏をお見せしたいと思います。

よろしければ、ぜひ今のうちに購読者になっていただけましたら幸いです🙏

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最後に、心優しい方がいたら投げ銭していただけたらめちゃ嬉しいです、、、有料部分にホテルでバイトしてた18歳の龍崎の写真をおまけでつけておきます、、、

では、次回お楽しみに!!!(次回以降は定額マガジンになります!)


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