『ワカ姫の恋歌』
きしいこそ つまをみきわに
ことのねの とこにわきみを
まつそこいしき
紀志伊去年 夫を身際に
琴の音の とこに吾君を
待つぞ恋しき
【大意】
紀志伊で去年、ひと目お会いしたその日から貴方をお傍に感じています。貴方を想いながら弾く琴の音に、常しえに結ばれたいと想いは募るばかり、一人寝の床で貴方が次にお見えになる日はいつだろうかと心待ちにしております。恋しい人よ。
【解説】
上から読んでも、下から読んでも同じ読みになる廻り歌として有名なワカ姫の恋歌を翻訳しました。一途な恋心を叶えたい思いで詠まれたその歌は、和歌としてもまた秀逸です。
廻り歌に願いを託し、形式を整えながらも美しさを失わない、ワカ姫はまさに歌の名手でありました。
写真は、玉津島神社
天照大御神の妹神であり、日の神(ひのかみ)として知られる稚日女尊(わかひるめのみこと)、聖武天皇の勅命による明光浦霊(あかのうらのみたま)などが祭神。
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