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担降りしてみた。すごかった。

この1年色々ありすぎて溜まりに溜まった下書き記事の8割がボツになっています。たすけて。

……そんな色々あった今日この頃、ドルオタ人生15年目にして、ついにやりました。

担降り。そう、それは推しとの決別。過去との決別。「推しってのはなァ……変わるもんじゃねェ、増えていくもんなんだよッ!!!!!」と常日頃より極太ゴシック体で豪語していた私にとってこれはもう黒船襲来。いや、むしろ黒船色々と不平等条約かましてとっくに帰国。帰るなマジで。それくらい自分でも信じられない出来事でした。

さて、そのアイドルを仮にAとしよう。

……とは言っても、Aとはせいぜい数年の付き合いで、まあ言ってしまえばゴリゴリのド新規。それでもそれまでのウン年のまだ知らぬ時間を追いつくべく、インターネット集合知を読み漁り、雑誌を買い漁り、Aの出る映像作品を全て見た。

レギュラー番組を見、最新作の出演映画を見に映画館へ赴き、Aが出ているCMの商品を愛用するようになった。Aのブログに悶え転げ、電車広告を見てマスクの下でニチャついた笑顔を漏らしていた。この時ばかりはコロナ禍でよかったと思う。

自称かなりの出不精人間が推しのためにここまで行動できるのは奇跡に等しかった。そしてAの人間性やアイドルへの意識を知れば知るほど「カァ………これぁとんでもねぇアイドルを知ってしまった……こんなん一生推せるやつ……」と思いまくってた。ほんとうに思いまくってたのだ。

ほんとうに、お互い老いぼれるまで応援できると思っていたのだ。

Aは所属グループが終わるまで、いや、終わったとてアイドルとして生きていくのだと信じていたのだ。

Aはとんでもない方向にすっ飛んでしまったのだ。しかも、正直納得もできる方向に。

私は箱推し人格だろうがオンリー人格だろうが「所属グループはしんでも離すな。離したければしんでしまえ」という過激極右思想ドルオタなので、なんかもう、アレだった。

理解できないことを理解しようと必死に頭をこねくり回しても「どうして」と「どうにもならない」しか出てこない。

そして怒りも悲しみもなくなって、真っ白な頭でこう思った。「あ、担降りしよう」と。

Aに関連するSNSのフォローを全て外した。買ったものもほとんど売った。見るつもりだったドラマも見るのをやめた。商品の愛用もやめてしまった。完全にAを推す前のフラットな私に戻った。「なんやこいつ……おもしれ〜……」とふわふわ思っていた数年前の私に、怖いほどにするっと戻っていた。一生推せると思っていたのに、こんなにもあっさりと。「本当はそこまでじゃなかったんじゃないか?」と自分で自分を疑いたくなるレベルだった。

そして、驚くほどにAの情報は私の元まで届かなくなった。それにも驚いた。Aは決してマイナーなアイドルではない。担降りしても、お互い生きていれば自然と情報は入ってくると思っていた。この間の新規CMの情報なんて「おっ、新しいCM来るんか〜」と知った時には解禁から既に1週間経ってた。うせやろ。前は1時間後には把握できていたのに。

こんなにも離れられるのか、アイドルとファンは。こんなにも儚いのだ、我々の勝手な関係は。

それから数ヶ月経った。Aの動向はほぼ把握していない。Aがいない私の生活はなんの問題もなく稼動している。他のたくさんの好きなものに囲まれて、ほどほどに、悠々自適に生きている。そういう生き方が結局一番なんだ。嘘じゃないぞ。アイドルは私の人生に責任は取ってくれないからな。

ただ、最寄りの駅の改札階に上った瞬間、Aの広告ポスターが壁一面にビッシリ貼られていて「ヒィィィィヤァァァァァアァァァァァァア!!!?!?!?!?!アッアッアッ………カ゛ワイイ゛ッ!!!!!!!!」と心の中で叫んでしまったのはここだけの話だ。ほんとうにここだけの話だ。

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