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【京大吹零会 起業家インタビュー】株式会社DeMiA 梅木 優作さん 工学部電気電子工学科 2018年卒

「京大吹零会」とは、京大出身(在学中も含む)の起業家を集めた、起業家コミュニティです。京大には変人が集まると言われるように、京大出身の経営者も変わった人が多いので、周りに理解されず、孤独になってしまうこともあります。そんな「吹き零れ」たちが集まり、経験をシェアして切磋琢磨する、唯一無二の会です。メンバー同士の交流を促すため、また、これから起業したい方に吹零会メンバーを知ってもらうため、隔週で「京大吹零会 起業家インタビュー」をオンラインで放送中。このイベントで収録した起業家たちの講演内容を書き起こし記事としてお送りします



【要チェック!】

公開インタビューのスケジュールや、記事を見て「起業したい!」と思った方のための「京大・起業相談デスク」についてはコチラをご覧下さい。

学生時代のこと。

僕は浪人してまして。京都の洛南高校という進学校だったので同い年の友人が60人ほど現役で京大に行きました。知人がたくさんいた方がコネクションとかうまく使えるんじゃないかっていうちょっと功利的な考えで、東大ではなく京大に入りました。

入試に受かったと確信した日から、先に入学した友人をつかまえて、スタートダッシュを切るための準備を始めました。友人に比べて1年も遅れてるんで、先に行った人たちの情報を有効活用しようと。
ITが流行ってたんで工学部の情報学科を第一志望にしたんですけど落ちちゃって、それで第二志望の電気電子学科に入りました。もともとプログラミングをやっていたわけではないんです。ちょうどAIとかいろいろ騒がれてたんで、ITにできるだけ近いところが良いかなと。とにかく浪人したっていうその劣等感からダブルスクールも考えていましたね。大学と、プログラミングスクールと。共同創業者とも、同じ学科で知り合いました。

友人の評判を聞いてビジネスサークルとかにも入ったんですけどテンポが遅いなと感じてしまいました 笑 1年生にしては生意気だったでしょうね。先輩にいろいろあれしましょうこれしましょうと提案ばかりしていたので、先輩が「君はもう自分でやった方がいいよ」と愛想を尽かされまして、じゃあもう自分で作ろうかと。

起業のこと。

浪人の1年の間、エネルギーを貯めていたような状態で、やりたいことがいっぱいあったんです。もちろん本気で授業も取り組みましたし、成績も良かったんですが、それだけじゃ物足りなかったんです。何かやりたいっていうただその一心のかたまりでした。

自分で団体を立ち上げた当時の文章が残ってるんです。今となっては恥ずかしいですが……。集まってくれた メンバーに対して僕は考えていることはこうなんだっていうのを掲げるためのものですね。
 1年先に入った人たちを見てて、ゴールデンウィークを過ぎたら所属するコミュニティが決まるって言うことと、漠然と「ビジネスは人だ」ということだけは分かっていたので、早い段階で良い人をきちんと集めないといけないという思いだけは明確にあったんです。
学生団体ではありましたが社会に向けての活動をいろいろやっていました。会った大人すべてに「何でもできますよ」とITコンサルティングの真似事のようなことを伝えていました。アプリでも何でも作れますよ!と。今から思えば アプリとは言えないようなクオリティでした。初仕事で5万円ほどの報酬をもらいました。時給に換算すると50円ぐらいでしたが……笑

そんなことをコツコツ続けていたらなんと、1年生の冬ぐらいに1,000万円の事業を受託することができました。プログラミングの学習ツールの開発です。浮き立つ気持ちを抑えつつ、契約関係も万全に締結して何とかやりきりました。この案件を進めるにあたり、法人化する必要があったので2020年、2年生の8月に会社を作りました。当時はまだ20歳でした。

同じ年の冬にオフィスも作りました。 たまたま OB の先輩が コロナで会食がなくなったと言ってオフィスに寄ってくれました。 自分たちが考えていることを一方的に熱苦しく語っていたら君たち面白いねということになり、一緒に事業展開できないかという話まで膨らみました。そして2022年6月にその先輩の企業のグループの一員になりました。今では上場企業のグループ会社として、予算の達成に責任を感じながら、目の前の仕事を真剣に取り組んでいます。

20代ですべきこと。

右も左も分からずに学生時代に起業したわけですが、もちろん大人になってからの起業に比べたら遠回りな部分や泥臭い部分があったと思いますが、メリットもありました。何でも全部やらないといけないので、担当部署もないですし、分業もないですし、自分でなんとかやりきる力、総合的な力がつきました。

組織を大きくしていく上では仕事の仕組み化、分業体制を作ることはもちろん大事なんですが、経営陣が全体を理解していないと指示も出せないです。 最初から細かく分業してしまうと、それは自分の担当じゃないからとか それは自分の専門外だからとかって言い訳ができてしまうと思うんです。何から何まで 最初から自分で取り組んだことは良い経験だったと思います。
時には仕事を受注しすぎて納期に間に合わなくなりそうなことが何度もありました。そういう時は、知り合いの企業に頼んだり先輩の経営者に相談して回し方を教えてもらったりもしました。分からない時には分からないと正直に言ったことは大事だったかもしれません。お客さんには絶対に困ったそぶりは見せませんでしたが……笑 
幸いにしてITはネットにほとんどの情報が転がっている世界です。だからあまり困らなかったかもしれません。とにかく睡眠時間を削って乗り越えていった感じですね。1日20時間ぐらい働いたときもあったかもしれないです。今やよく覚えていないですが 笑

強いて言うならプログラミングとデザインとファイナンス。この3つのスキルはあっていいんじゃないかと思います。もちろんどれか1つだけでも。就活でもコミュニケーション力やマネジメント力・リーダーシップなどを問われる時代ですが、こういうものって学びにくいですよね。プログラミングとデザインとファイナンスは自習でも学べるものです。

僕自身は、学生起業はあまりおすすめしていないです。やっぱり大きな目的を見失うと思うんですよね。中途半端に稼ぎ始めて自由な世界を築いちゃうと、中途半端になりやすいというか。
学生の期間はプログラミングとデザインとファイナンスを本気でやって自分の力にしてしまうのが良いです。絶対損はないです。それで1回、社会で腕を磨いてみるのがいいかなと。
中途半端に稼いでダラダラと遊ぶなら思いっきり働いて思いっきり遊んだらいいんじゃないかなと思ってます。その方が経験が得られると思うので。新しい経験こそが最終的なその人の深みを作ると思ってるんで、僕自身も新しい経験を求めてますね。

プログラミングの塾をやってるんですけれども、基本的にはエンジニアがそもそも社会に足りていない。もっとエンジニアを育てなければならないと考えているからなんです。とにかく早くからやったほうがいいですし、スーパーエンジニアを1人生み出せれば、周りも育つんです。僕らのチームでもめちゃくちゃできる子が1人いたんでめっちゃレベルが上がったんですけど、多分レベル10の人が10人いてもあんま変わらなくてレベル100の人が1人いたらレベル1の人も20とか30まで引き上げられるんですよ。

大谷選手が活躍すれば野球の注目が上がって野球人口が増えてというサイクルに似ていますかね。

日本は、技術に対するリテラシーが低いせいで明らかに生産性が落ちていることを実感しています。国際競争力を失いつつある現状から、エンジニアを生み出すことで国力が高まり日本も再び繁栄することができるんじゃないかと思っています。

振り返ってみると浪人はしたものの、こうやって面白いことができてるので結果的によかったんですけど、ここでまた今の自分に満足すると成長が止まるので、野心も忘れずに社会貢献も忘れずにという感じです。
何でもチャンスすることが大事だと思ってるので海外に出かけたりして自分と向き合いたいなとも思う一方で、それにかまけて時間を浪費したくないなとも思いつつ、そこのバランスを取りながらやってますね。
別にこれは自分に自戒を込めてですけれどもライフワークバランスやなんやって言われてますけれども起業したいとかそういう野心があるならばそんなことは考えずに、頑張りたい体力があるうちにとにかくとにかく働きまくるのが、20代のうちは良いんじゃないかと。
若い頃に量を稼げば質もついてきますし何か見出せると思ってるんです。社会がライフワークバランスとか言ってるのであればそこを突破してやれば逆に差別化できるというか。社会が今ぬるま湯に浸かってる状態なのでチャンスと思ってそこでいっぱいもがけるかが重要だと僕自身は思ってます。


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