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沢山と少し

余るほどに沢山あるものを
半分個にしようとして
わける
あなたに
あなたに
あなたに
あなたに
渡して溢れる

空の器は
ただの容れ物になる
その器には
空気がはいっている
見えないご馳走として

沢山と少しを
見比べては
足りないといい
多すぎるといい
自分以外の誰かを
羨ましいと俯く

そこへ誰かがやってきて
空の器の中にあるものを
吸い込んで
美味しかったという

わたしには
見えなくて
その人には見える
空の器の中身を
じっと眺めてみる

カランカランと
ビー玉のような音がして
泡が弾ける音がした







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