夕空

夕空が美しいのは
どうしてだろう

誰かに教えたい空は
風に流れて雲は消えて

わたしの心にいつまでも消えない

流れる雲を
追いかけていたら

薄く溶けて
細く透けて
明日の方角に出掛けていく

遠く、遥か
未来の昔の今日へ
続く雲に
ありがとうを。言う

腕にとまった蝶々も
足元におちた紅葉も
帰り道の夕焼けも

君の仕業だと
わたしは知っている

空に書いた手紙は食べた
ことばの書いていない
手紙の文字は
懐かしい味もした

その手紙に
こう書いてある

今、目の前に座っているあなたに
お礼をいいます
それと、わたしが今まで
出会ってきた人や　
景色にも言葉にも
お礼をいいます

ただ
いつもそこにいてくれて
笑ったりも
泣いたりも
しましたね

ありがとうございます

この夕空が美しいのは
明日にみようとしても
明日には無く

後でみようとしても
カタチは崩れ

この空を説明することが　
きっとできないからです

と見えない文字で
書いてある
夕空は
ポストみたいに
口を開けて笑ったタ
タラッタ