PKC発症から現在までの20年間の記録

 私がPKCの症状が出始めたのが、10歳の時です。弟と追いかけごっこのような遊びをしている時に起きました。走ろうと思っても、なんだか力が抜けた感じがして、走れませんでした。そのことを母に言うと、小児科に連れて行ってもらいました。実は母もPKC患者ですが、当時はそのことを教えてくれませんでした。小児科では、血液検査をしましたが、何も異常はなく、分からないという診断でした。その後、母が近くの心療内科に行き、緊張を抑えるような薬をもらいました。もちろん、PKCの発作が治まることはありませんでした。

 さて、PKCとは何か知らない方のために、簡単に説明します。PKCは発作性運動誘発性舞踏アテトーゼとも言われている病気です。最近は、発作性運動誘発性ジスキネジアと言われることが多いようです。急に身体を動かしたときに、手足や首が自分の意志とは関係なく動く病気です。この病気のため、様々な苦労をしました。詳しくは、私のYouTubeチャンネルをご覧ください。↓


 この病気を発症してから、身体を動かすことが嫌いになりました。というのも、この病気は急に身体を動かすと、ほぼ必ず発作が起きます。皆さん、考えてみてください。スポーツというのは、急に身体を動かす必要のあるものばかりです。例えば、陸上競技は「位置について、よーい、ドン!!」からスタートしますよね。野球やソフトボールは、ボールを打ったら一塁まで全力疾走しますよね。その他のスポーツも大なり小なり、急に身体を動かす必要があります。小学校の昼休みもみんなが外で遊んでいる中、自分1人図書室に籠っていました。中学生になっても運動部を諦めて、美術部に入部しました。

 大学生になったある日、ネットでこの症状(PKCの発作)のことを調べていると、やっと病名を見つけました。自分の症状と100%合致していたので、間違いないと確信しました。しかし、病院にはいきませんでした。PKCの発作が起こるのも私の性格だと認識していたからです。それと大学生になり、急に身体を動かす機会が減ったからというのも理由の一つです。

 それから数年経ち、私は社会人になりました。市役所で窓口対応もしていたので、お客さんが来たら自席から窓口にすぐに行く必要があります。PKCを持っている私には、それができないので、お客さんが来てから数秒間自席でゴソゴソしてから(意味もなく書類を整えるなどして)ゆっくりと窓口に向かっていました。それでも発作が起きそうな時は、自席から少し大きな声で、来客対応していました。すると先輩から、これは失礼だよと注意を受けました。(※私がPKCであることを家族以外の誰にも言っていませんでした。)そこでようやく、病院に行こうと決意しました。そのことを母に言うと、私もPKCだったよと打ち明けてくれました。PKCは神経内科が専門ということは知っていましたが、近くに神経内科があるのを知らなかったので、脳神経外科に行きました。脳のMRIかCTを取りましたが、「分からない。大きい病院に行くのをおススメします。」と言われました。やはり、神経内科でないと、診断は出ないんだなと思いました。そして、ようやく大きい病院の神経内科に行きました。様々な検査をした結果、ようやくPKCという診断が出ました。なんだかホットしました。それが、2017年の2月か3月頃だったと記憶しています。PKCを発症したのが、2002年の春休みなので、約15年間もの間、PKCと闘い続けていたということになります。

 さて、その神経内科からテグレトールという薬を処方され、寝る前に飲みました。翌朝、試しに急に身体を動かしてみました。すると、発作は全く起きませんでした。15年間も闘い続けたPKCの発作から解放された瞬間でした。嬉しくなって、何度も全力疾走しました。PKCの発作が起きないとこんなに楽なのかと思いました。

 それから約1年後、私の地元にも神経内科があることを知り、そこに転院しました。当時は、寝る前に100mgのカルバマゼピン(テグレトールのジェネリック医薬品)を飲んでいましたが、薬の効きが悪くなったのか、たまに発作が起きてきました。そのことを神経内科の先生に相談すると、朝昼それぞれ25mgの薬を追加で飲むことになりました。それから現在(令和4年1月10日)まで、1度も発作が起きていません。

 令和2年の11月からは、主にPKCとうつ病の話題を発信する「うつ病&PKC経験者・すいきちチャンネル」を開設しました。私の発作が起きている様子をYouTubeに上げると、大きな反響がありました。その動画が、↓こちらです。

 個人差はありますが、PKCは薬を飲めば健常者と同じ生活が可能になります。病院に行くかどうか迷っている方は、是非、大きい病院の神経内科を受診してください!最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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