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ワンオペ事業主、初めて契約書を作る

足つぼと天然石の店を始めて8年経ちます。全て一人でやってるので、自称ワンオペ事業主です。

今は無難にやっています。が、8年あまりの間には、まぁ~色々あったもので、契約書や書類はきっちり目を通すようになりました。面倒だから~難しいから~云々より、知らない方がよっぽど怖いわ、と解ったもので。

とは言っても、自分で作る状況になったことはなく、私にとっての契約書とは、頑張って読むもの。サインしたりハンコを押すもの。

それが今、なんと作ってます。

パソコンの横にはタブレットを置き、知らない用語を一つ一つ検索、意味を確かめます。老眼鏡も必須。普段やらない長時間のパソコン作業せいか、目がシバシバ、ドライアイ用の目薬も購入しました。

…ここでちょっと時間を遡ります。

そもそも、なぜ契約書なんぞを作ることになったのか?どんな契約書を作るつもりなのか?の話です。

作ろうとしているのは「レンタル契約書」。私の店には人気の足湯器がありまして、それを目当てにわざわざネットで探してくるお客様もいらっしゃいます。
でもって、なんだかんだのコロナ色々~な事がありまして(すみません、細かく書けません)、その機器を増やして他の店へ貸し出すことに。
つまり「機器レンタル、始めます」ってことになったんです。

貸し出す相手は、何年も付き合いのある人で信用関係は◎
でもって、所詮は個人のちっちゃい商売。「冷やし中華始めました」の貼り紙的感覚で、ペラ一枚の覚書で済ませて大丈夫なのかもしれません。

ですが、私の8年間の経験からすると、やはり交わすべきもの=契約書は必要だな、と。
商売上、良い関係を長く続けるためには、小さなことでもキチンとしておくことが大切。それがお互いのためです。

そんなこんながありまして…

パソコン&タブレット&老眼鏡の三種の神器?を駆使して、生まれて初めての契約書作りを始めました。

そして~ あっという間に予想された状況に陥る…
そんな文書をイチから作る能力、やっぱり無かった。今まで何十枚と契約書にサインしてきたのに、いざとなると一言も出てこない。一行も書けない…

うん、やっぱりこんなモンだよね。

早々に休憩モードへ突入。珈琲を飲みながら、さてどうしたものか?と自分に問う。どうすれば作れる?私に出来る方法は?

うん、やっぱりネットに頼るべきだよね。

結論はあっさり出ました。こだわる余地、いや、こだわれる余地すら無いと早い早い。
ネットでレンタル契約書のひな型を探すと、簡単に幾つかの「リース契約」と「レンタル契約」のひな型が出てきました。

ひな型を載せているサイトには、解説も一緒に載っているので、合わせて良い勉強にもなりました。レンタルとリースのザックリとした違いも解説されてまして、なんとなく知っていたことが、ちゃんと整理されました。
でもって、やっぱり一番大切なのは「契約の内容」。幾つかのひな型と解説を読んだおかげで、契約書の重要性を再認識することになりました。

よし、頑張って作らなきゃ!

この段階で、すでに私の脳はかなり疲労を感じている…が!
ここで甘やかしてはいけない、これは脳トレだ!脳のアンチエイジングだ!と自分に喝を入れます。
しかし…脳持久力の限界も見えている…

うん、無理はやめよう。
欲を出すといつ完成するか分からないぞ。
最大限ひな型を活用しよう(丸写しだっていいじゃないか)
明らかに必要ないものは削除、これは入れたいという条項は足す。
それでいいじゃないか。

気合いを入れて頑張ってはみたものの、ゴールにたどり着けず…そんな経験は数知れず。欲を出してはいけない。まず一度はゴールへたどり着こう。それから手直しすればいいんだから。
それが年の功ってもんだろう。

あれやこれや自分を客観視しながら、契約書のひな型を丸写しでサクサク打ち込んだ。だが、コピペはしなかった。

「それをやっちゃ~、お仕舞いよ」
自分にとっての最後の一線?昭和世代が背負ってる自負?なんだか分からないけど、急に寅さんのフレーズが思い出されて、丸写しとはいえ、文章は全て自分でちゃんと入力した。分からない言葉はきちんと調べた。
自分で理解できない文章は書きたくなかった。

第1条目的から始まり、当たり前のことを当たり前にキッチリ書き記していく。レンタル料金や支払い方法など、一番気になる部分は事細かいので別紙記載と分けながら、契約の本筋を見失わないように気をつける。
機器性能の保証や管理、故障修理については、お互いの責任の範囲と費用の支払いについてハッキリさせる。天災地変や盗難にあった場合も想定する。

書きながら
「契約って、いかに不利益を被らないかを想定しながら作るんだな」
そう思った。と同時に
「なるほど~、とことん自分が損しないように作ることもできるなぁ」
世の中には不当な契約を結んで苦労する人達がいる。それって、こうやって契約書を作る側の方が状況を設定できて、圧倒的に有利だから起こることなんだ。
自分で書いてみて解った。

次々と条項を書いていて、自分自身のビジネス的良心を問われてる気がした。

書き上げて、何度も読み返し、足したり引いたり何度も手直しをした。
いつの間にか、面倒だとかたいへんだとかという気持ちは無くなっていた。

この契約書を作りあげたら、そこから良い仕事・商売を生もう。そんな気分になっている事に気付いた。

丸写しから始まった契約書作り。佳境に入ってこんな感覚になるとは想像もしていなかった…

なんでもやってみるもんだ。
ワンオペ事業主の醍醐味なのかもしれない。

あとは甲乙の所在地や名を記入するだけになった。士業の人達が見れば陳腐な契約書だろう。でも、私には清々しい達成感と、この契約書に記入してくれる人達との新しい関係が楽しみが生まれた。




新しい目標は、他店で購入されたブレスレットのメンテナンスもできる店になること。商売的には難しいことですが、それがちょっとでも「山を守る」ことになれば…