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石読み日記番外編 私から石への言葉

やっと出来ました。
フローライト原石、そのまんまのペンダント。

パキスタン産フローライト


石と木と麻

私が使いたかった材料達

できる限り 山のまんま 

私が作りたいものは、できる限り自然に近いもの

最小限の人の手で
最小限の加工で
作り出したい

これは装飾品。腹の足しにはならないし、喉の乾きも潤せない。
もちろん、精緻な技術も素晴らしい。光輝く高価なジュエリーを見れば、その美しさに引き込まれる。

しかし、その光輝く数gの石のために何十kgもの石を割り、その何十kgかの石を掘り出すために何十トン分もの山を削り、日々それをひたすら続け、気づけば山がまるごと無くなっている…

そんなことを知ってしまってから、どんなに美しい宝石に見惚れてもいても、胸のどこかがチクチク痛い。

それでも石は好きだし、身に付ける楽しみも捨て難い。

だから、作ることにした。
技術は未熟でも良いことにした。
細かいことにこだわるよりも、まず形にしよう。

石は削らない。
木を削ろう。
釘や金属パーツは使わない。
でも接着剤は使おう。
紐は精麻で作ろう。

木は綠壇(パロサント)にした。
加工には向かない柔らかくて割れやすい木だけど、自分で作るなら大丈夫。
ほんのり良い薫りがするし、薫りが弱くなったら紙やすりで擦ればまた香る。

精麻は珈琲で染めた。珈琲稲荷さんから、倉庫の奥で眠っていた豆をいただいた。

初めての作業が多く、お世辞にも上手いとは言えないが、何とか出来上がった。


日頃、石読みをしていると、雑音のように人への文句が聞こえてくることがある。

解っているよ、それも聞こえているよ、無視していないよ。だから作るよ、これからも。

これは私から石への言葉。

新しい目標は、他店で購入されたブレスレットのメンテナンスもできる店になること。商売的には難しいことですが、それがちょっとでも「山を守る」ことになれば…