水切(すいぎり)と申します。
前回、前々回に続いて「戉」「戊」「戌」「戍」の4つの漢字について調べていきます。
今回は「戌」です。
※すぐ始まるので、①と②を見てからの閲覧を推奨します。
③戌
まずはzdic.netで「戌」を検索してみます。
②の最後に出典をzdic.netから移すかもしれないと書いたのですが、今(2024/1/6 12:00)確認したところ、ページを開くことができたので、zdic.netのまま続けていきます。
DeepL翻訳で日本語に翻訳してみると、
・・・②でもあった誤訳をしていますね。
それではここからは意味を調べていきます。
③-1 基本解释
まず1つ目の意味です。
②でもあったように、「地支」は「十二支」を指すので、「十二支の11番目。犬。」という意味でしょう。
十二支は馴染みがありますね。子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12個の名称です。
日本では年の数え方として現在も使われており、今年(2024年)は辰年です。
次の意味です。
十二支は「○の刻」といったように時間の数え方として使われることもあります。「丑三つ時」は有名ですね。
その「○の刻」のうち「戌の刻」は、「19時〜21時」を表すそうです。
・・・物足りないので、今まではzdic.netの「基本解释」を載せていましたが「详细解释」も載せたいと思います。
DeepLで翻訳してみると、
・・・長いですね。
まず(1)から調べていきましょう。
③-2 指事
これはDeepLのまま受け取っていいのではないでしょうか。
日本語で言う「もの」とか「こと」みたいな立ち位置だと思います。
「戊」は②で取り扱いましたね。
「地支的第十一位」とは「十二支の11番目」という意味ですね。
③-3 腊日
「本义」は③-2の説明に出てきていましたね。
②でも言った通り、年や日付を十干と十二支で表すことがあるので、それについて説明しています。
腊日(旧暦で12月8日を表す)は戌日である、という文例だと思います。
③-4 三国志演義
これは③-1で説明しましたね。19時〜21時のことを「戌の刻」と言います。
「大利」というのをDeepLは「大安」だと訳していると思われるんですが、「大利」が「大安」を指すという情報が出てこないんですよね。また「戌亥时」(「戌亥時」)に関してもなぜか戌亥とこ(VTuber)の情報しか出てこないんですよね。(おそらく誤字だと思われてる)
「三国演义」とは「三国志演義」のことなので、この文がどこから引用されてきたのか調べてみようと思います。
見つかりました。
DeepL翻訳に入れてみると、
・・・中国の歴史について全くと言っていいほど知らないので、セリフや人名の正確性は分かりませんが、文の意味は分かりましたね。「大利」は「好都合」、「戌亥时」はおそらく「戌の日の亥の時」という意味ではないでしょうか。
これだけでDeepLに入れてみると、
誤訳でしょうか?二重かぎかっこ(『』←これの名称)がついているので、何かの本の作品名にも思えます。
一応ChatGPTでも訳してみます。
????
とりあえず、「Hundred Days and Hundred Days」をgoogleで調べてみます。
・・・Googleに煽られました。
・・・というか、出てこないですね。DeepLはたまに存在しない単語を作ることがあるので、それが起きてしまったのかもしれません。
「戌时与亥时」という部分が気になったので、DeepL翻訳で「A与B」と入れてみました。すると、
つまり「戌时与亥时」とは「戌の刻と亥の刻」という意味です。ということは「戌亥时」とは、「19時〜23時までの時間」という意味なのではないでしょうか。
詳しい方がいらっしゃいましたらコメントで補足してくださるとありがたいです。
③-5 三正、晋書
これ、DeepL翻訳が機能してないんですよね。
一旦「夏正建寅,九月为戌」のみをDeepL翻訳に入れてみます。
???
慣用句のようなものなのでしょうか?
Googleで調べてみます。
「夏正建寅」についてはWikipediaが出てきました。
DeepL翻訳に、「九月为戌」だけを入れてみると、
あー、なんとなく理解できました。
つまり、「夏正の暦で建寅月から9ヶ月後は「戌」番目の月、すなわち11番目の月である」という意味なのではないでしょうか。多分。
間違っている可能性はかなり高いと思います。詳しい方、正しい意味をコメントにお願いします。
これは文例ですが、「晋书」とは「晋書」という西暦265〜420年に存在した「晋」という王朝の歴史書らしいので、おそらく引用元があるものと見られます。探してみましょう。
ありました。
DeepLで翻訳してみると、(長文注意)
原文を眺めてみると、おそらく「何月を何と呼ぶか」について書いてあると思われます。9月の部分だけをDeepL翻訳で翻訳してみると、
うーん。あまりよくわかりません。中国にそのような言い伝えがあるのでしょうか。再三になりますが詳しい方はコメントに情報をくださるとありがたいです。
③-6 戌腿
「十二支の11番目が戌」という話ですね。また、「戌」とは犬を指している、ということを言っているのだと思います。
文例ですね。この部分だけをDeepLに入れてみましょう。
・・・百十一脚って、どうやって進むんでしょうか。
ChatGPTで翻訳してみます。
「戌生命」はChatGPTの翻訳通りで理解できますね。
「戌腿」は、「浙江金華地域」「火腿」「腌制」あたりの単語が分かりません。調べていきましょう。
「浙江金華地域」は浙江省に位置する金華市のことで、上海市より少し南に位置しているそうです。
「火腿」は日本語訳すると「ハム」で、金華市で生産される「金華火腿」(「金華ハム」)は金華市の名産となっています。
「腌制」は中国語で「漬ける」という意味だそうです。
つまり、「金華市でハムを漬ける際、犬の脚を加えて香りを出すことから、戌腿という名前がついた。」ということでしょう。
③-7 屈戌儿
やっと最後の意味です。
実は「戌」には中国語で2つの読みがあります。
「xū」と「qu」です。
今までは「xū」の意味を取り扱っていたのですが、「qu」も見てみます。
DeepLにかけると、
xūは今まで既に見てきたので、「屈戌儿」を調べてみましょう。
出てきました。
DeepLにかけると、
つまり、「ドアに南京錠をかけるためにドアノブに設置する道具」のことを指すみたいですね。この単語、普通に日常生活でも使えるのでは?
甲骨文字です。
斧というか旗というか・・・。よく分からない見た目です。
次回は「戍」です。乞うご期待。