不在する

どうしても溶けて一緒になりたいんです。差異はかなしいから。きみの内側に入るのもいいし、きみがわたしの内側に入ってくれてもいいよ。そのまま同じ温度になって境界線を壊そう、曖昧になろう。きみが憐れむひとつになろう。いつか爪先ではじいた砂糖菓子に永遠は在って、それが僕らの代名詞。まぶた同士がつながるでしょう、爪がやわくなるでしょう。同じ世界で同じ崩壊を見ているあいだ、舌にすべり落ちた涙が少しだけ甘くて、それだけで、僕は救われてしまったんだ。

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