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ハカセードライバー ガン太の日記 4

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『水道橋博士のメルマ旬報』過去の傑作選シリーズ 


芸人・水道橋博士が編集長を務める、たぶん日本最大のメールマガジン『水道橋博士のメルマ旬報』。
 過去の傑作選企画として、かつて水道橋博士の運転手も務め、現在、気鋭の芸人として活躍中のマッハスピード豪速球ガン太さんによる連載『ハカセードライバー』から、僕が大好きな原稿を無料公開でお届けします。是非、お手すきの時に一読ください。
                    (編集担当/原カントくん)

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 という記事を発掘してきた。読んでみたら爆笑した。
 いろんな文章家が『メルマ旬報』に集結しているが、ガン太の文体ほど誰にも似ていないものはない。日頃、文章に接していないのがよくわかる。
見た目がスッキリしているし賢そうなので油断するが、基本的に芸能偏差値も低い。というよりほとんど一般常識がない。
しかし、文章はとにかくポップで面白いのだ。
 今回は、ボクの同じ日の日記を併記して2重に楽しめる形式にしてみた。


このシリーズの4作目。

ガン太が事務所の先輩、
三又又三と出会い、俄然興味を持ち始めた頃の話。

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■2013年12月21日 


本日は、たけしさんの年末番組『ビートたけしのいかがなもの会』の収録。
テレビ朝日本社、車を駐車して楽屋に遅れていくと博士の楽屋には『マキタスポーツさん』と『三又又三さん』がいらっしゃった。
本番までの間3人で近況報告などをしているので、博士の腰をマッサージしながら盗み聞きをする。

博「年末カウントダウンジャパンでダンス踊ることになっちゃって練習してたら体中が痛いんだよ。」
三「なんで踊るんですかー、ダンスなんてー?」
博「イベントの罰ゲームで『DJダイノジ』のダンサーでやらなきゃいけないんだよ。」
三「良くやりますね・・」
博「もう三又ダンス全否定だったよ。」
三「ん?なにぃー誰がぁー?」
博「大谷君」
三「んんー・・」
自信の有る技を全否定されたと聞いて明らかに不快感をあらわにする三又さん・・
まあ無理もないこれでは博士の説明不足だ、ちゃんとイベントの中でイベントを盛り上げるための大谷さんの発言だったと説明をしなければ。
博士もそう思ったのか、ディティールを付け加える。


博「博士、三又ダンス踊ったってそれ自分のイベントの中じゃないか!あんたホームでしか踊ってないよ!!三又さん連れて三又ダンス踊ったって何も自意識破ってないよ!本当に自意識破りたいなら、俺のイベントの一万人のアウェーの前で踊ってみろよ!!って挑発されたんだよね。」
三「あん?ホームもアウェーも#&&$#」

 最後の方は聞き取れなかったが、なぜかまだ怒っている三又さん。この説明を聞いたら納得すると思ったのだけど・・博士もそう思ったのか。

博「イベントの中でだよ?」念のため付け加える・・

"ムスーッ"としたままの三又さん、何故か通じない・・
その後たけしさんが楽屋に入られるため、たけしさんを出演者総出でご挨拶をする。

オフィス北野の博士、三又さん、マキタさんは最後まで残りたけしさんの楽屋の扉を閉めて何やら中で話をしている様子。
中の会話をメチャメチャ聞きたいが・・扉の前で待つ。

10分ほどすると3人が出てきた・・明らかに三又さんの雰囲気がさっきまでと違う。

鼻息荒いというか、エンジンがかかったって感じだ。

3人の会話で楽屋の中での4人の会話内容を推測するところによると、どうやら三又さんがたけしさんに「殿ー、今日は殿と完全なクロストークをしますんで見ててくださいよー」みたいなことを言ったようだ。

ボクは素人臭くも、おお!出た!『三又節』と思った。
これが博士の良く語っている三又さんのどこから湧いてくるかわからない自信というやつだ。『すべらない話』などでも良く語られている・・。
確かに物凄い自信だ・・三又さんはとにかくこういう風に、自信のような物を周りにカマす事で自分を奮い立たせる方なのだなと感じる。

しかし、ボクが『すべらない話』や博士から良く聞く三又さんはこれでは終わらないはずだ。
ボクが聞いてきた三又さんはここから、良くその自信が持てるな!とツッコみたくなる。
自信とは真逆のとんでもないヘナチョコな方向に向かっていくはずなのだ。

しかし、この禍々しい自信のオーラを体全体に纏った姿を見ていると、ヘナチョコな方向に向かっていくとは思えない・・完全に強者の風格だ。

博士の楽屋で番組のスタッフと打ち合わせをする。
今回のこの番組は、世にはびこる「これはいかがなものなのかなー?」という不条理な事や納得いかない出来事などを各々発表して討論していく番組のようだ。
なんでも、その番組の流れで、たけしさんにまつわるいかがなものエピソードを博士、三又さん、マキタさんの『たけし軍団チーム』が暴露していってたけしさんを追い込むという流れがあるらしい。

打ち合わせが終わり、三又さんを楽屋に呼んできてくれという博士。
再びやってきた三又さん、依然体中から自信が溢れ出している。
 
「これさーこの殿の恥ずかしい事を暴露するって下り、これ三又がガンガン行くんだろ?」
確かに、この流れはまさにクロストークが出来る絶好の見せ所だ、そして最近のたけしさんのエピソードならご一緒する機会が多い三又さんの方がエピソードを持っているはずなのでここは三又さんに任せようと思ったようだ。
 
「はい?いや、ここは、全員で殿を攻めるみたいな・・」
 突然ゴニョゴニョ言葉に詰まる三又さん・・
「いや、俺全然エピソード考えてないよ!三又いっぱい持ってるだろ殿のエピソード?」
「え、まあ、皆でエピソードを・・」
メッチャゴニョゴニョしている三又さん。
「いいよ、いっぱいネタ持ってるじゃんお前、どんな話があるの?」
「えーあれですよー・・殿がーAVを『ririco』から・・」
「オッケそれ知ってる。他は?」
「・・あー、あとーこの前殿がーオロナイン買ってこいって言うから買ってきたら亀頭をー・・」
「オッケそれも知ってる・・他は?」

・・気が付くと三又さんの視線は定まらなくなり落ち着きが無くなっていた。
さっきまでの自信オーラは完全に消えさっている・・こんなにテンパっているのが分かりやすい人は中々いない・・。

「いや、いくつエピソードがあってどんな話を持ってるのか俺知っとかなきゃ話を振れないじゃん?話が四つしかないのに五回振っちゃったら変なことになるだろう?」と博士。

「ああー!!はいはい!!そういう事ですね!ハイハイ!!」
そういう意図ですか!それならどんなエピソードあるか話さなくちゃいけませんね!みたいなテンションで頷く三又さん。
「・・・」しかし、しばらく黙り込む三又さん。

「いくつあるの?」
「二つか三つ・・・くらいー・・」
「はは、まあいいや。」と博士。


そのタイミングで本番の時間に・・

たけしさんのタイトルコールで番組が軽快に始まりました。
怒涛のごとくタレントたちのトーク合戦が繰り広げられる中、黙って自分の責め時を鋭い目つきで待つ三又さん、ドシッと落ち着いている。

5分ほど経過・・

今だに一言も発さずに責め時を待つ三又さん、たけしさんとのクロストークのタイミングです相当難しいのだろう"ジッ"とその瞬間を待つ。

10分程経過・・

しゃべらない・・三又さんが一言も発さない・・番組収録が始まり20分程たった・・まだ三又さんは言葉を発さない、心なしか下唇は震えているような気がする・・そんな時話題はツイッターの成りすましの話に・・博士が三又さんにパスをだす。

「三又又三なんてツイッター内に偽物が6人くらいいるんですよ!!でも本人が普段たいした事つぶやかないから、大差ないんですよ!!」
博士の漫談に笑いが起きる。

そしてついにこのタイミングで三又さんが口を開いた!!

「俺の偽物が5人いたってどうにもならないですもん・・・」

・・・・
しばらくの沈黙の末、たけしさんが
「お前、楽屋で今日こそは俺に任せてくださいって言いに来たけど、面白くないじゃねえか!バカ野郎!!」
たけしさんのツッコミで会場は爆笑に包まれる!ここだ!!と三又さん思ったのか畳みかける!ついにクロストークの開始か!?

「本当ですよー、この前殿との収録で全然だめだったので今日こそはって言いに行ったんですよー・・」

・・・・

この調子で続けると思ったがそこからまたグッと黙り込む三又さん。
まだここでは本気を出さないとでもいうのか?たけしさんの恥ずかしエピソードまで待つという事なのか?
ボクの視線は三又さんにくぎ付けです!三又さんが何か博士に小声で話かけているように見えるが・・。

そしてついに、たけしさんの恥ずかしエピソードの下りになった!この時収録開始50分経過、三又さんが話し出す。

「あのー僕は、殿のAV調達係なんですよ・・」

先ほど言っていたAVの話を丁寧に話す三又さん、開場が笑いに包まれる。
しかし、エピソードを一つしゃべるとまた黙ってしまった。

 クロストーク・・
そして、収録は終了していった。
楽屋に戻ると、とても肩を落としている三又さん。
 博士が言うには、ツイッターの下りが終わったあたりから、ずっと何か三又さんが博士に話かけてる風に見えたのは、博士に小さい声で
「くそー、なんで偽物の方がフォロワー多いってあの時言えなかったんだー、言ってたら絶対ウケたのにー」とか「やっぱり、最初の方でしゃべっていかなきゃ途中から番組に入っていけないんだよなー松本さんにも言われてるんすよークソー。」

などと、まだ番組は1時間くらいあるのに反省をしだしていた姿だったらしく。

「番組まだ時間が残ってるんだから反省してないで取り返すこと考えればいいじゃん(笑)なんでお前は俺にしか聞こえない声で反省しだすんだよ!」と番組が終わった後博士にツッコまれていました。

という事で、まさかの番組途中反省をしてしまって闘争心がなくなるという事態で番組収録は終了した。
落ち込みまくっている三又さん・・
「今日はこの後用事ないんですか?」と博士を食事を誘います。
「うん、ないなー行こうか?」と食事に行くことに。
楽屋で着替えを済まして博士の楽屋に現れた三又さん。
「つうか、このお弁当メッチャ食べたかったーこれ俺大好きなんですよー。」
と博士の楽屋弁当を指さし、自分から食事を誘っておいて弁当を食べれなかった無念を語りだします。
「あそうなの?俺は食い飽きたけどなー。」
「いやー俺ここの、この弁当一番好きなんすよぉー」
ちなみに、博士の楽屋にあるお弁当は食べなければボクがいつも持ち帰っている。
貧乏若手芸人のボクからしたら楽屋弁当は大事な生命線と言える物なのだ。

「三又なんかおいしいお店知らないの?」
「いやー、知ってますけど今日は土曜日だからこの時間で探してもどこもいっぱいだよなー。」
「んーじゃあ俺んちじゃ嫌だ?」と自宅での食事を博士。
「・・んーいいんですけど、博士の家の子供たちに会うのがつらいんですよねー・・成長しすぎちゃって俺に冷たくなってるんですよー長男何てもう見向きもしてくれないというか・・」と何だか歯切れの悪い感じの三又さん。

「・・お前、ただ高円寺まで行くと家が遠くなって帰るのがメンドクサイだけだろ?近場がいいんだろ?」と博士からしたら本心が見え見えでツッコまれる三又さん。
「・・・はいー・・めんどくさいですねー」と否定もせずに正直に答えてしまう三又さん・・

そうなのだ!これなのだ・・今日三又さんを見ていてつくづく思ったのは、三又さんという方はとっても本心が見えやすい迂闊な方という事とやはり数々のバラエティー番組などで語られてきた通りの文句なしの失礼な方という事だ。

これが傍から見ていてものっすごく面白い!普通先輩に面倒くさい何て面と向かって言えないものだ。

本心がバレてしまい、博士の自宅に向かう事に話は進む・・すると三又さん

「あーじゃあ、これお弁当やっぱり持って帰ろう!博士これ貰っていいですかー?おー四種類全部あるじゃないですかー!」
と鼻歌交じりで弁当をカバンに詰め始める三又さん・・

その姿を見て、三又さん・・それ4つ全部持って帰るつもりか・・と心の中で思わず言ってしまうボク。
もう一度言いますが、博士の楽屋にあるお弁当は食べなければボクがいつも持ち帰っている。貧乏な若手芸人のボクからしたらとても大事な生命線と言える物なのだ。

「あー、でも四つは食いきれないかー、でも居候が食うかー!」などと言いながらいくつ持って行くかカバンに弁当を出し入れ出し入れして迷っている三又さん。

「一つ恵んでくださいよ!なんで無理して全部持って行くんだ!」と、のど元まで出かかるが結局4つともカバンに詰めてしまった・・とても悲しかった。

そして「あー、そう言えば『山下の本気うどん』って行ったことありますかー?吉本の『オモロー山下』のお店―!あそこなら顔効くし、席用意してもらえると思うなー。山下喜ぶだろうし!」と突然言い出す三又さん。

「ん?行ったことない、行ってみようか。」
「よし、じゃー行きましょう!山下、博士来たら喜ぶだろうなー。」
そんなこんなで結局行先は、『山下の本気うどん』に。

しかし・・ここに来てうどん屋とは何か匂うなー・・。
と思っていると、何の事はないお店についてみると『山下の本気うどん』は三又さんの家のとても近所だった。
しかも、道中「今日は行っても山下はいないんですけどねー。」と驚きの発言!さっき言っていた「博士来たら山下喜ぶわー!」っていうのはいったい何だったのか。

『山下の本気うどん』の食事にボクも同席させて頂いた。
この時ボク自身は、三又さんと初めてゆっくり面と向かって会話をさせていただいた。

三又さんは、しっかりボクの名前を憶えて下さり「ガン太は?」「ガン太も、」などとこっちも気遣って会話をしてくれ、すごく嬉しかった。

三又さんの本日の反省も交えながらボクに対するアドバイスなどもして下さり、色々なエピソードも聞けて非常に勉強になり楽しかった。
しかし、途中今日の反省から突然とてつもない落ち込みモードに陥る三又さん・・さっきまで笑っていたはずなのだが、本当に突然にだ・・。
「俺は、くずだ・・」「ゴミのような結果だった・・・」
と聞いているこっちも参ってしまうほどの落ち込みかたです。

すると、「博士ー・・ここは俺に払わせてください・・俺は自分への戒めの為にここのお代を払うことによって自分に傷をつけたいんですよ!」と言い出した。
「いいよ、いいって、俺が払うから!」
「お願いしますよー、自分に傷をつけたいんです!傷をつけさせてください!」
「いいよ、俺が払うっちゅうの。」
「僕に傷をー!!痛みをー!!」
何だかすごい会話だ・・結局博士が会計の4000円を支払い店を出る。
車で三又さんを家までお送りし三又さんが車を降りる。

「三又さんお弁当忘れてますよ!」お弁当が"ドデーン"と車内に置き去りだったので声をかけます。
「・・・ガン太、お前金無いだろ・・持って帰っていいぞ・・俺はもう、今日の収録の反省で喉も通らない。」
「・・・ありがとうございます・・。」

鼻歌交じりで弁当をカバンに詰めていた姿がちらつく・・。

三又さんにサヨナラをし博士と二人の車中しばらくの沈黙の末。
「あれ、腹いっぱいになって弁当がどうでも良くなったんだろうな・・。」
「はい、ボクもそう思います・・。」

一気に『三又又三』の虜になった日だった。

この日のボクの日記。

ガン太の日記に戻ります。

■2014年2月24日


YESTV収録後、帰りの車内。

博士「・・・"じゃあ"、走ろうか?」

最初のしゃべり出しなのに"じゃあ"と付いていたので一瞬何の事だか分からなかったけれども、すぐにジョギングの事だと理解した。

博士は昨日、東京マラソンに触発されて久々に少しだけジョギングをしてみたらしい。
そんな話を行きの車内で話していたから今日も走ろうという事になったのでしょう。

「ジョギングですか?」
「そう、走る?」
「はい!走りましょう!!」思わず即答したボク。
余りの即答に少し驚いたように「おお、いいねー!」と博士。

家に付き早速準備をする。

博士はジャージにキャップをかぶってヘッドホンをし、完全に自分の世界に入り込む。

外に出るとキーンと寒い・・でも今から走ると思うと心地よくも感じる。

博士が走り始める、ペースはスローペース。
ボクは博士の少し後ろを走ることにした。
時刻は23時位、人通りは少なくて静かだ。

外灯のぼんやりした灯り、走る博士の背中を見ながらここ数日の事を思い返す・・・

『メルマ旬報フェス』が終わった頃からここ3週間ほど博士の元気が無かった、口数はめっきり減り、質問をしても一言二言ポツリと話すだけ、時折何かじーっと考え込んだりしている。

最初はメルマフェスが終了したばかりだったので、燃え尽き症候群か?などと思っていたのだけども、どうも違う。

何か怒らせてしまったか・・知らない間にボクは何かやらかしてしまったか?とビクビクしていたが、どうもこれも違う。
「元気ないっすね!?何かあったんですか?」と聞ければ楽なのだけど、友達でもあるまいし中々そんな気軽な事は出来ない。

原因不明の元気の無さのシーンとした車中が一週間ほど続いた頃
ツイッターをイジッていると「文章を書くのに苦しんでいてスランプ状態だ」という内容の博士の呟きを見る。

なるほどそうだったのか・・スランプで思うように文章が書けないで苦しんでいたのですな博士。

プロでもいくらベテランでも能力が有っても、ふと上手く出来なくなる事がやっぱりあるんだなと思い、ここ数日の博士の考え込んでいる様な表情に納得がいった。

傍から見たら難無くやってのけているように見えてもそんな事は無い、毎回苦しんで作り出しているのだ。
ベテランでもアマチュアでも、本気で作り出そうとしている人にとって、物を生み出す辛さは平等なのだと学んだ。
 
そんな事を思い出していると、予定のジョギングコースの中間くらいに来ていた。
博士は依然一度も振り返らずに黙々と走っている。
・・まるで、悶々としている気持ちを振り払うように・・。

 そんな背中を見ていると居ても立っても居られない気持ちになる。
"ダッ"っと走り寄って行って肩を組み
「そんな時もあるよ!!元気出せよ!!大丈夫大丈夫!!ガハハハハ!!」
とやりたい衝動に駆られるが、友達でもあるまいしそんな事出来るはずがない。

「走る?」の問いに即答だったのは
3週間元気の無かった博士からの久しぶりのポジティブな誘いだったので思わずだったのです。

マラソンも佳境に、家まで近づいてきた。
残り300メートル位になった時、突然博士がピッチを上げ始めた。
今までスローな一定のペースを保っていたのに。

・・そうまるで、悶々とした気持ちを・・
"ダッダッ"!"ダッダッ"!"ダッダッ"!!
そうまるで、悶々とした気持ちを・・振り
"ダッダッ"!!"ダッダッ"!!"ダッダッ"!!!
はぁ、はぁ、 まるで、悶々とした気持ちを・・振り
"ダッダッ"!!!"ダッダッ"!!!"ダッダッ"!!!!
はぁ!はぁ!はぁ!まるで、悶々とした・・はあ、はあ・・気持ちを振り払うかの・・言ってる場合じゃない!!!

はっ早い!?もうこれはピッチを上げたどころの話じゃない、ほとんどダッシュだ!
どんどん早くなっていく!!家が近づき路地を曲がる数も増えていく!!全速力のままガンガン曲がっていく!?
人も自転車も車も通ってる道なのに危ないじゃないか!!

振り返らないし、ヘッドフォンで何か聞いているし、ボクが後ろで転んだり車に跳ねられたりしても、気が付かないでこのまま行っちゃっうんだろうな、家に着いて気が付くんだろうな、と妄想すると怖くなり最新の注意を払い必死でついていく!!

ラストのダッシュであっと言う間に家に到着した。

「はぁ、はぁ、このくらいのペースなら余裕だろ?」
「フー、フー、フー・・・はい!、、余裕です、、たまには走るのも気持ちいい、、ですね!」

そのままシャワーをお借りして、博士の家を後にした。

自分の家に帰りツイートを見ていると

『一ヶ月以上、目の前に乗り越えられない山に逡巡し悶々としていたが、もう大丈夫。霧は晴れた。俺は何度も山頂まで登る。窮地に手を差し伸べる親身な仲間や身内だってこんなにいるんだ。どんな時でも「でもやるんだよ!」今まで一度だった諦めたことはないんだから。』

との博士の呟きが!余りのタイミングに「おお。」と思わず声を出してしまった。

流石です、プロとそうでない人の違いは乗り越えられるか越えられないかだと思った。

*****

この日のボクの日記。
残念ながら、そんな熱いツィートは、
残していない模様。淡々と書いている。



そんなガン太が大活躍するのが、『藝人春秋2』の文庫版。

『2』でも『3』にも登場。
『3』では、あることで大きな役割を担います。乞うご期待。

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■水道橋博士のメルマ旬報
http://bookstand.webdoku.jp/melma_box
(記事提供:BOOK STAND)

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