【『藝人春秋』①書評】「ビートたけしと松本人志を言い当てた一節に感心」BY田原総一朗
2013/4/12『週刊読書人』 田原総一朗の取材ノートより
今、水道橋博士のおかげで、私はテレビのバラエティ番組に出演するようになった。
それまで全く縁がなかったバラエティ番組に、私をいささかならず強引に引っぱり込んだのである。
博士は、何と私を"日本で最初のポルノ男優だ"と決めつけたのだ。自分でも驚いたが、私はこういうきめつけがそれほど嫌いではない。
その後、番組で何度か共演した。
そして博士が驚くほど沢山の本を読んでいることを知った。
博識の持主である。
だが、そのようなことは一切ひけらかさない。
お笑い芸人に徹している。
その博士が『藝人春秋』(文藝春秋)という本を書いた。
そのまんま東、古舘伊知郎、堀江貴文、テリー伊藤、ポール牧、爆笑問題など話題の芸能人が次々に登場するが、北野武と松本人志について書いた章がとび抜けて面白い。
また博士の力の入れ方が他と違う。
ビートたけしは博士の師匠である。
ビートたけしに惚れ込んで大学を中退し、彼の元に飛び込んだのである。
"ビートたけしの風貌を見ているだけでボクは今でも吸い込まれるように魅入ってしまう。この感触は弟子であるボクだけではないだろう"
博士はビートたけしを"テレビ界の『殿様』として永久政権の如く君臨し続けている"と書いているが、私もビートたけしを戦後最大の芸能人だと捉えている。
だが、博士は"芸能界のもう一人の天才"として松本人志を登場させている。
そして二人の共通点を「二人共に、自分の才能以外には誰の影響も受けていないことだ」といい切る。
博士は、ビートたけしに忠義を立てるために、ダウンタウンとは共演しないと決めていたそうだ。
雑誌で、松本人志はビートたけしと比較されたとき、「僕が一番だ」と答えた。
そして六本木のクラブでビートたけしを囲んだ酒席がひらかれたとき、松本人志のことがいろいろ話題になった。
誰もが松本人志が新しいライバルだと意識しているのである。
ビートたけしは、ずっと黙っていたが、最後に
"でも、俺のほうがより●●で、俺のほうがより●●●●"
と呟いたという。
博士は、ビートたけしと松本人志の関係を見事にいい当てている。
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