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「14才」〜甲本ヒロトの想い出ノート〜

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ボクは甲本ヒロトと中学時代の同級生だ。


この事実はボクに他人に誇る持ちネタを得た優越感と、永久に彼には敵わない軽い劣等感を同時に抱かせる。

 なぜならヒロトは確実にロックンロールの生まれ変わりなのだから。

ボクが著した『藝人春秋』のなかでもヒロトだけは2章に渡って登場する。

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◯ラジオで共演した時、中学時代の想い出話。
 ◯ヒロトが我が家にやってきた時の話。

毎回、話の幹になるのは、我々が同じ時代を同じ校舎で過ごした「14才」の頃だ。
「14才」のタイトルはヒロトが在籍したTHE HIGH-LOWSの名曲にもある。
ヒロトがロックの啓示を受けた瞬間を捉えた歌詞とそれを彩るギター音。正真正銘、ロック史に永久に残る名作だ。

長男が14才の時、この「14才」をモチーフにレコードのジャケットをデザインしたTシャツを思わず買ってあげた。
彼が、このTシャツを着てくれるだけで父のボクは悦に入った。
この自分から長男とボクは体格が同じくなり洋服を共有できるようになっていた。

しかし、この頃から、何時も個室に籠もりっきりで、ラジオの深夜放送に夢中になり、徐々にボクとロクに口を聞いてくれることもなくなった。

昨日、珍しく高2の長男から「あの店行こうよ」と誘われた。
あの店とは、中野にある『謎の店』だ。
元々、ボクの行きつけの店で、高円寺に『はかせのみせ』というボクが雑貨店を開いていた時期には提携していた。
そして、あの「14才」のTシャツを見つけた店だ。

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ふたりで中野まで歩いていった。
お店に入ると品揃えが豊富で、息子はあきらかに興奮して次々と試着した。
その横で「可愛い!」「似合う!」「いいじゃん!」と褒め囃すボクは、
まるで「親ばか」というよりも、在りし日の沖雅也と日景忠男のようだった。

やがて「14才」のTシャツと同じデザインのブルゾンを発見。
なかなかに高価だ。それでも、ふたりで着回す。
買ってあげたいが、事前に妻に言われていた上限の予算オーバーだ。
「半々、お金を出してお互いで一緒に共有しよう」との提案に条件を飲む。

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帰りに、ボクが長く通っている、老舗のつけ麺屋へ行く。
この店との付き合いは長い。
果たしてジロリアンの長男の口に合うかしら?

「旨いわ!!また此処来るわ!!」と長男。

復路、中野の高層ビル風に体が凍りついたが、買ったばかりのブルゾンを互いに廻し着して帰った。

今日は息子の反抗期の終わりの始まりだな、と思った。

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