インターネットとリアル📴
絶対に手に入れたい。小説を読んで強い女になれたと思い込み、裏垢で、会ったらちゅーしたいと、可愛子ぶった呟きを、ツイートボタンを真顔で押して2人の世界に送り出す。私が思い焦がれている間に彼は爆睡しているかと思うと、勝手に苛立ち、ツイートを下書きに入れて、消した。
久しぶりに会えた彼女は前よりずっと嬉しくて、ずっと愛おしい。手を差し出されて、冷えきった私の手と合わせてはいけない、彼女の手を冷たくしてはいけないと思いながらも、彼女に触れたくて手を合わせる。彼女の心地よいいい香りが私の鼻の奥に広がる。斜め後ろに座っていても香ってきそうな強い香り。顔が見えない暗がりの中でも彼女が笑顔になってるのが分かる。また手を差し出されて、手汗のかいてる手と合わせたらいけない、汚してはいけないと思い、手を裏返して手を2度、3度合わす。カーテンの隙間から、スマホの明かりが見えて、こそっと盗み見る。そして安心する。
バスが時間通りに到着しないことだけを1番に気にしていた。
彼女は諦めたと言っていたけど、恋はそう簡単に諦められない。私は知っている。彼女の目線や行動で彼への気持ちは分かる。彼女がよく彼を見ている賜物がそこにはあった。ああ、よく気づくな。そう思った。
彼女の言う「彼の話をする時だけ目つきが変わる」という言葉。
彼女のために、彼と近づくように仕向けた私の行動に彼女は気づいているのか。きっと気づいてないだろうな。そんなもんだよな。
彼に1万円だけ渡して1回だけキスをした。これでいいの。上書きされてとても安心したし、身体が綺麗になった気がした。もう1万円は帰ってこない。私の気持ちも取り返しがつかない。好きな女と会うお金になるのだろう。
離れようとすればするほど近づいてしまう。
私はノンアルコールで酔ってしまっていたみたいだ。
彼に愛されていたという過去では満足出来ないのが乙女。
大人の汚さを身に染みて感じた2日間だった。いい経験になった。
リピートされる音楽だけは、終わりがないから私を深く安心させる。終わってもまた始まる。
私は京都に着いて、京都タワーを見上げ、また絶望するのだろうか…
京都に着いて意外と朝の寒さ、薄暗さが心地よかった。バスで寝れた気はしなかったけれど。
オフ会が終わってからは、ずっと崩壊の道を辿っている気がして、精神がぐらりと崩れそうになるのを、弱々しい体幹でなんとか崩れないようにとたもっている。
(メモに残っていた文章です)
11月の東京
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