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そして私はママになった

授乳カフェ怪文書を理解することは
常人には不可能であると前書きしておく。

出会い

初心者さん案内人である私はいつものように
チュートリアルJPで案内をしていた。
案内の終わりに、イベントカレンダーの前でどのようなイベントが
あるかを紹介していると「授乳カフェ」という文字があった。

当然、初心者さんから「これは何ですか?」と聞かれるが
何も知らない私はただただ、苦笑するしかなかった。

心の中でこう思った
(きっといかがわしい店に違いない、初心者さんには闇が深すぎる)
他のイベントを薦めた。

追い込まれて2020

2020年が精神的に異常な年度であった人は多いのではないだろうか?
経済的・社会的なしんどさは精神を簡単に破壊させる。
今この記事を書いている瞬間にも、過去と比べ酷いペースで
自死を選ぶ人が増えているというニュースが流れている。

幸いにして私は宗教的な救いと精神的な状況理解、
ついでに仕事もやめたので精神的な破壊や崩壊は免れている。

それは辛くないという意味ではない
包丁で刺されたが致命傷ではないというだけだ。

赤ちゃん、生まれる

救いが必要だった。
気が付いた時には、授乳カフェに来ていた。

ママたちがいた。
恐怖を感じた。

実母から多少の虐待を受けていたので、勝手に脳が警報を発令したのだ。
緊張もあり何をしたらいいのか分からない。
そもそも母親とは何かが分からないのだ。
まさに何も知らない赤ちゃんだった。

「座りますか?」

確か、ウィッグママだったと記憶している。
言われるがまま座った。授乳を受ける。
すぐに思い出した言葉がある。

『授乳するときにスマホではなく、赤ちゃんの顔を見てあげましょう』
キリスト教シスターのメンタルヘルス本に書いてあった文言だ
かなり保守的な意見だなと当時は思ったが、現場は違った。

赤ちゃんは母の視線から愛情を受け取るのだ。
冷酷な暴力とは無縁の、静かな温かい空間がそこにはあった。

成長する赤ちゃんたち

かくしてVRC赤ちゃんとして誕生した私は
こうめちゃんアバターを導入し、授乳カフェで赤ちゃんを満喫していた。
恐怖感も消え、すっかり授乳されることに慣れていた。

緊急事態宣言や身の回りの騒々しいことなど
現実の環境は厳しさを増していたが
カフェのおかげもあり、何とか人間性を保ちながら生きていられた。

話が変わるが、メンタルヘルスの本をいろいろと読むと
次のようなことが人間には必需であると書いてあった。

・コミュニティに所属し貢献すること
・心身ともに安心できる環境を作ること

同じミルクを飲んでいた円角さんはいつの間にか
quest支店の店長になり、これらを成し遂げられた。
めちゃくちゃオギャってたヤチョウさんはいつの間にか
quest支店の愛されるママになっていた。

厳しい環境ながらなんとか生き残っている私は
初心者さん案内やコネクトステーションの駅員、バチャマガ執筆や
いろいろなアセットの頒布、など自分なりにコミュニティに
貢献を続け、一定の成果を得ていた。

他にコミュニティに貢献する方法がないか考えていたとき
『赤ちゃん上がりのママ、結構いらっしゃいますよ』
円角さんだっだろうか、その言葉を受けママになる決心をした。

すいかいママはじめました

私は形から入るパターンが多いので、コンセプトがあれば
やりやすいと思い学生服のアバターにした。別にJKに変な意味はない。
さぼてんや機械、カニや鳥など色々なママがいるので
JKとて不思議なことではないはずだ。

次に野良で授乳を何度かして、スタッフとして必要なことを勉強した。
前述したようにスタッフや初めての全く知らない人に話しかけることは
VRCでたくさん経験があるので、慣れれば難しいことでは無かった。

ママでいる時に大事にしていることが3つある。
・なるべく赤ちゃんの方を見る
・受け入れられてるという姿勢を明らかにする
・無理をしない

1つめは前述の通りだ。目線を合わせることが大切ということ。
2つめは他のママに「おいで~」と手を広げられたときに感動したので
これを大切にしている。

3つめは一般論だが、無理をすると辛いし続かないのが現実だ。
上2つを絶対しないといけないとなると包容力がいくらあっても
足りないだろう。セーフティーのようなものだ。

こうして赤ちゃんはママとして再出発したのであった。

おわりに

授乳カフェはいかがわしい店でもないし
100%ギャグな店でもなかった。

初心者さんに勧められるかというと、やはり厳しいが
しんどい人には来てほしいと願っている。

もちろん良いことばかりではない。
この店が嫌いな人もいらっしゃるし、望みが叶う場所とは限らない。
ママをやってるとはいえ、私も人間ゆえ好き嫌いをするので色々ある。

ある人は授乳カフェを『悟り』と言った。またある人は『慈愛』だという。
『福祉』という声も聞く。『救い』もあるかもしれない。
『業が深い』なんていう人もいる。

ひっくるめて私はこのカフェを、本当の意味で『宗教』だと思う。

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