#7 1日1映画 『ソルト』 ロシアがアメリカに送った一人の兵器

今年観た映画が100を超えました。観るだけで終わるのはもったいなく感じてきたので自分自身で映画の内容を整理して、考察や感想をnoteに残して行こうと思います。第7回になります。

『ソルト』

2010年公開、近年では『マレフィセント』の出演で注目を集めたアンジェリーナ・ジョリー主演のサスペンス映画です。元々はトム・クルーズ主演で企画が進んでおりタイトルも『ソルト』ではなく「Edein.A Salt」だったようですが、断られ主演を変更したそうです。

あらすじ

アメリカのCIAで女性諜報員のイヴリン・ソルト。その正体は、ソ連(ロシア)で諜報活動のために育てられアメリカに潜伏し一斉に蜂起を行う「Xデー」を待つ二重スパイだった。だがロシアから亡命してきたオルロフはCIAに「Xデー」のこと、その内容がロシア大統領の殺害でありイヴリン・ソルトが実行予定であることをバラされてしまう。

仮面をかぶるということ

ここからかなりネタバレあります。
元々はロシアからアメリカに任務を隠し持つ冷酷なスパイとして送られたイヴリン。ですが任務の都合で結婚することとなったアメリカ人夫への愛情を感じさせる場面があります。また、飼い犬を見捨てず隣人に託すシーンが意図的に入っている場面にも彼女の人間らしさを感じます。夫を殺したロシア側の工作員を皆殺しにし、あまつさえ、ミッションも自らの手で防いでしまう。一見すると、ロシアのスパイにとっては無駄な感情のように見えますが、長い間のアメリカでの生活、仕事が徐々に彼女に人間味を与えていったといっても違和感はないでしょう。例えば心理学的にいえば、人は仮面の性格を演じているつもりが、続けているうちに仮面の方に寄ってしまうということがわかっています。またアンジェリーナ・ジョリーは博愛主義として知られています。動物を守る描写を入れているのにはそういった意味合いも含まれているのかもしれません。

迫力のアクションシーン

元々はトム・クルーズ主演で企画されていたこの映画。アンジーになってアクションはどうなの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが大丈夫です。動くトラックへのジャンプやガンアクションに格闘シーン。どんな苦境でも覆す姿は、最強の女性諜報員といって差し支えないほど。アンジーはスパイ映画に欠かせないアクションシーンも見事に演じきっています。

映画名の由来

ちなみにソルトとは1969年に開始された米国・ソ連間の戦略兵器制限交渉《Strategic Arms Limitation Talks》のことを指していると思われます。互いの軍備拡張を制限するための条約です。現在SALTは名前を変え戦略兵器削減交渉(STrategic Arms Reduction Talks, START)として第二次まで調印されたのち、2002年にモスクワ条約、2010年に新戦略兵器削減条約(NEW START)を調印しています。


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