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CYNHNと"空気とインク"について



はじめに

2024年6月、僕はCYNHNに救われました。
もう二度と歌われないと思っていた"空気とインク"が歌唱されたのです。

アーカイブ配信を見るつもりで呑気に構えていた僕は衝撃を受けました。そして配信を見るのが少し怖くもなりました。どのようなパフォーマンスになるのか、僕はそれを見てどんな気持ちになるのか様々な想像が駆け巡ったからです。
結果として最高のパフォーマンスを見られてとても感動しましたが、
それだけでは気が済まないので僕にとってCYNHNの大切な曲、
"空気とインク"をCYNHNの歴史と共に振り返ろうと思います。

CYNHNについて

メンバーの変遷 : CYNHN(スウィーニー)は、日本の女性ヴォーカルユニット。所属はディアステージ。レーベルはI BLUE

2024年6月現在、綾瀬志希、月雲ねる、青柳透、広瀬みのりの4名で活動中です。

2016年末にJOYSOUNDとディアステージの共同オーディションで選ばれたメンバー(綾瀬、月雲、青柳に加えて崎乃奏音、桜坂真愛、百瀬怜の6名)により、2017年6月25日の『DEARSTAGE SHOWCASE 2017』でグループ結成を発表。
同年11月1日に、テイチクとスマイルカンパニーによる合同レーベルのI BLUEから、シングル「FINALegend」でメジャーデビューしました。

その後コンスタントにシングル、アルバムをリリースしますがが2019年12月に桜坂が卒業。メンバーは5人に。

その後もコンスタントにリリースは続きますが2021年1月に崎乃が卒業。メンバーは4人に。

2022年6月、『2022春ディアステージ・パーフェクトミュージック合同VOCALIST AUDITION』で合格した広瀬が加入。メンバーは5人に。

その後も精力的な活動は続きますが、2023年9月、百瀬が卒業。メンバーは現在の4人に。

音楽性について:メインの作詞作曲を、"魔法少女まどか☆マギカ"のOP曲、ClariSの"コネクト"等アニソンやアイドル界隈での功績の高い渡辺翔さんが担当。
オルタナティブロックを軸としながらギター、ベースの手数の多い所謂"邦ロック"色の強い楽曲が多い印象です。
渡辺翔さん以外にも草野華余子、蒼山幸子(ex.ねごと)、Kan Sano、mol-74等、実力派のミュージャンに曲提供を受けることもよくあります。
広瀬みのりさん参加以降は邦ロックを軸にしつつもラテンのリズムやハイパーポップ的なアプローチを見せる曲もあり音楽的な広がりも面白いグループです。
綾瀬志希さん、青柳透さんの切なくもパワフルな歌声と月雲ねるさん、広瀬みのりさんの可愛さと儚さを兼ね備えた歌声のバランスが好きで、前述した楽曲群とのシナジーが非常に高いと感じています。
またアイドルファン界隈では"楽曲派アイドル"という認知があり、SNSでは"曲が強い"など楽曲に好感を持っているポストをよく目にします。
毎年行われている"アイドル楽曲大賞"では2022年に"キリグニア"、2023年に"楽の上塗り"がメジャーアイドル部門で投票数1位を獲得。
一般の投票で決められるランキングで1位を獲得したことは"楽曲派"のイメージを浸透させる要因の一つになったのかもしれません。

アイドル楽曲大賞公式HP


空気とインクについて

空気とインクは2019年3月に"空気とインク/wire"の両A面シングルとして発売。
当時のCYNHNはメンバー6人それぞれが1曲ずつメインボーカルを務めるシングルを発表していて、
この"空気とインク" は桜坂真愛さんをメインボーカルに据えた楽曲です。
曲調はネオアコ調のミドルテンポ曲でディレイのかかったギターに音響派ポストロックな印象も感じられる内容となっています。
歌メロはサビでロングトーンのファルセットを多用する内容でメインボーカルの真愛さんの歌声を遺憾なく発揮できる印象です。
僕は2ndシングルの"はりぼて"からCYNHNのファンなのですが、
当時から真愛さんが好きで正確なピッチコントロールと少しハスキーなファルセットがめちゃくちゃ好みなんです。
プロフェッショナルさと儚さの一見矛盾しそうな要素を持っている歌声。いろんなアイドルを見てきましたがこんなに歌の力がある人に出会ったのは初めてでした。この人には希望しかない、絶対に売れる。そう確信していました。
しかし真愛さんは"空気とインク"リリースから9ヶ月後グループを卒業しました。
メンタルからくる体調不良によるものということでした。現在、真愛さんがどう過ごしてるのかわからないのですがただただ思うことは心身ともに健やかで、できるなら歌うことが好きでいてほしいなと思っています。
そして自然消滅的に"空気とインク"はCYNHNのセットリストから消えることとなります。
そして僕は2年くらい亡霊オタクに成り果てながらも引き続きCYNHNの活動を見守っていくこととなります。


"Blue Rainbow"でのセットリスト復活

そして来る2024年6月、CYNHN 7th Anniversary Live "Blue Rainbow"で空気とインクは現在のメンバー4人でパフォーマンスされました。
感想としては

"救われた……ありがとう(成仏)"

成仏は言い過ぎなんですが…
本当にずっと心の中にあったモヤモヤが取れていく感覚がして感動しました。
何度も何度も見返してしまいました。
真愛さん卒業以降、過去のコンテンツが見られないくらいの心持ちだったのですが
Blue Rainbow以降は見返せるようになったし、新しい歌割りの分析ができるくらいに回復しました。
まずは前半部分、

リリース当時の歌割り
2024年の歌割り

1コーラス目、オリジナルは真愛さんの独壇場。サビの相方は百瀬さん。
そして現在は4人で分け合っての歌唱でした。
歌い出しの青柳さんはマイクを両手に持ってすごく丁寧に歌っていて、もうそこでグッと心を掴まれました。
そしてBメロは綾瀬さん。パワフルな歌唱が特徴ですがここでは抑えめで丁寧な歌唱。昔はやや苦手にしてた(?)抑えめな歌い方も今ではお手の物。究極完全体な歌い人です。
サビは広瀬さんと相方に月雲さん。
広瀬さん、振り返り配信で"過去曲コーナーはめっちゃ緊張した"と言っていましたがそれを感じさせない凛とした歌声。今のCYNHNには欠かせない存在です。
そして月雲さん。実はここ最近で一番歌が伸びてるのはねるちゃんだと思っていて。今までのウィスパーボイスでの高音パートやハモりに加えて声を張った歌唱もできていてバランスが良くなったと感じました。

そして2コーラス目。

リリース当時の歌割り


2024年の歌割り

実は2コーラス目以降はオリジナルメンバー3人(綾瀬、月雲、青柳)の歌割りはほぼ変わらず、崎乃さんの部分を広瀬さん、百瀬さんの部分を青柳さん、広瀬さんで歌う認識でしょうか。
崎乃さんと広瀬さん、どちらも凛として華のある歌声ですが、ちゃんと個性があってどちらのバージョンも良い…。
そしてこの曲最難関の高音ファルセットがあるCメロ、オリジナルは桜坂さん、現在は綾瀬さん。
ここの高音ファルセットこそ桜坂さんの見せ場。しかし前述の通り完全体になったしきちゃん、きっちり歌い上げるのは流石です。
そしてラスサビは4人でリレーして最後は青柳さん締め。
桜坂さんの低音と青柳さんの低音は近い部分があると感じていたので思い出も感じつつ今のCYNHNが感じられる良い締めでした。

最後に

ここまでCYNHNの歴史とともに"空気とインク"について書きました。

↑のような気持ちでした。
自然消滅的に歌われなくなってしまった"空気とインク"。
当たり前だけど桜坂真愛さんの影がちらつく曲です。現在のメンバーで歌唱することで当時との比較や、もしかしたから思い出を壊さないでほしいといった声も出てきてしまうリスクも考えられるので
選曲するのが慎重になってしまう、それ故に歌われなくなるというのは自然な判断なのかもしれません。(どの口が言うとんねん)
しかしCYNHNは歌ってくれた。振り返り配信ではほとんど触れられてませんでしたが、綾瀬さんと月雲さんがセトリに入れたいと言っていたという話が聞けただけでも充分です。
少なくとも僕は救われた気持ちになりました。
3年半ぐらいモヤモヤしていたものが消えていったような感覚がしています。
CYNHNってすごいグループだと感嘆する瞬間でした。
今年発表の"いいおくり"の歌詞は大切に思ってくれている人への感謝がテーマになっています。
仮に「大切に思ってくれている人=ファン」とするならば、
今回の周年ライブは"7年間応援してくれてありがとう"という気持ちが存分に伝わったライブだったなと思います。

綾瀬さんはSNSやMCで"呪い"や"傷"という言葉を使っているイメージを受けます。
最近のCYNHNの歌詞のテーマでもある、自己肯定感にも繋がるのですが、

強くなくても、傷ついていても、考えが曖昧でも、それでいい。その傷や呪いさえも自分として抱きしめて生きていてもいいんだ。

こんな認識でCYNHNからのメッセージを捉えています。ここまでの道のりが決して順風満帆とは言えなかったCYNHNだからこその説得力を感じました。
そして今回の"空気とインク"のパフォーマンスで僕の中にあった膿が溜まったような傷口はようやく塞がるような気がしてます。
最後に、というかここまでの読まれている方はほとんどいらっしゃらないとは思いますが…
僕はどの時代のCYNHNも好きだ、好きになれたということだけ記しておきます。
決して昔のほうがよかったとかそういう意図でこの記事を作成しようとは思っていません。
CYNHNは過去と向き合いつつも現在を歩いています。僕も同じ気持ちでこれからのCYNHNの活動を応援し続けていこうと思います。
長い文章になっていまいましたがこんなどうしようもない気持ちを1つのライブで掬い上げてくれるCYNHNってほんとすごいグループになったなと思うし、ほんとに尊敬します。

CYNHNありがとう。
おもしれー女達。

いいおくり/CYNHN

参照

"空気とインク"歌詞参照


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