「失われた宗教を生きる人々」ジェラード・ラッセル
「マイノリティの目からみると世界はより大きく見える」というのは、ユダヤ研究を始めた修士のときに思ったことだが、それに違わずこの本に出てくる諸宗教、諸民族から見た世界もまた、中東の異なる一面を描いている。大国に翻弄されやすいため、多様な民族や文化に触れざるをえないのは当たり前だが、彼らの習俗からの中東のかつての姿を思いかべることはまた現代を観察するためにも不可欠な視点であろう。作者はアラビア語とペルシャ語が堪能な元イギリスの外交官、各地に赴任した経験を生かし、直接このマイノリテ