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棋士の世代交代(1)

 先週、仲間内で王将戦の話が出たときに、将棋ペンクラブ幹事の1人に「abemaで観られる」と言ってしまった。しかし王将戦は、abemaTVでは放送しない。
 悪いことを言ってしまったが、でも、そう勘違いするくらいabemaは数多く棋戦を生放送してくれている。
 
 将棋を観続けていた人たちからすれば、今の将棋閲覧環境はとても充実している。お金を払うか、放送機器を取り入れるかはともかく、観ようと思えば観られる環境にあるからだ。
 ネットのない時代は、いくら出費したって観られなかった。BSやCSもない時代など、NHK杯とテレビ東京の早指し棋戦のみ。あとはすべて、情報は文字から。現在は若手棋士の声を将棋ファンなら知っているが、当時はほとんど知られていなかった。映される機会がなかったからだ。
 
 今は、日々将棋番組に浸れるほど。
 充実しているのはいいのだけど、困るのは、以前より棋士の成績が早く下がることだ。好きな棋士、応援している棋士が、ひと時代前より、上位での活躍期間が短いのだ。
 
 長年の将棋ファンは、当然、応援してる棋士もそれ相応の年齢だ。現在急上昇している若手棋士は、往時は棋士になってなかったのだから、応援しようもないというもの。
 羽生世代や、それに対抗する少し下の年齢の棋士。彼らが、現在、若手実力者に圧されてずるずると下がっている。
 
 もちろん、若手が台頭して、上位棋士が年齢とともにクラスを下げていくのは、世の常だ。それは以前からそうなのだが、その下がるスピードが、ここのところとても速い。
  
 若手全員が、というわけでは、当然ない。しかし若手の中で、これは上位まで行くだろうと思われる「実力者」が、階段を踏みとどまらずにポンポンと駆け上がっていく。以前だと、棋界で「実力者」と見られる若手でも、けっこう途中で足踏みした。しかし最近は足踏みせず、タンタンと順調に上がっていく感じ。彼らがスムーズに上がるので、上位者がはじかれていく。
 
 世代の入れ替わりが激しい。それは、長い将棋ファンの多くが感じているのではないか。
 
(つづく)

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書き物が好きな人間なので、リアクションはどれも捻ったお礼文ですが、本心は素直にうれしいです。具体的に頂き物がある「サポート」だけは真面目に書こうと思いましたが、すみません、やはり捻ってあります。でも本心は、心から感謝しています。