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とても嫌いな顔のこと

信じられないくらい嫌いな顔をした女がメインで使われている広告がある。

具体的にどこがどう嫌いで、とかが説明できない。例えば眉毛を鼻の下に七本描くのが意味不明で嫌い、とか15メートルの長さのまつ毛をさも美しいものであるかのように得意げにしているとか、そういう明確な理由があるならいい。おそらくそんな人間は誰だって嫌いだと思う。

僕はこの女の顔が死ぬほど嫌いでこの広告がある場所を歩くたびに最悪の気分にさせられる。こういう広告的暴力をたまに受けている。しかしこれは広告の意義としては非常に成功しているだろう。強烈に人の意識に介入してイメージを植え付けているわけなので。

反対に信じられないくらい好きな顔の女が使われている広告がある。あまりにも好きな顔なのでずっとその顔を見続けていて転んだことがある。人から嫌われることは間違いないのでしたくないがもしも何かの間違いでやってもいいよ、許すよ、と言われたら舐め回したりかじってみたりしたい。それで好きだという衝動がおさまったりなくなったりすることはないと思うしただやってみたいというだけのことだというのは一応ことわっておきたい。

勘違いしないでほしいが女だからとかで嫌っているのではない。ひたすらに嫌いな顔、頭がどうにかなるくらい好きな顔というだけで、男でも女でもそんな奴はいくらでもいる。たまたまよく見るところにいたのがそれぞれその性別だったというだけのことだ。性別がどうとかいうのは恐ろしくナンセンスだ。

男の俳優はそのほとんどが嫌いな顔をしている。

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