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素材を生かしたクイズ、技巧を凝らしたクイズ

はじめに

クイズやパズルを作ったり、そのイベントをすることを生業としているマサルさんです。こんにちは。
最近はZoomを使って、リモートでもクイズイベントを開いたりしています。(詳細はSNSなどで、ひらがなの「くいずーむ」で検索してみてください。最後にも触れますが、6月第2週の週末にも開催しますのでよろしくです。以上、宣伝でした)

そういう遊ぶ場に向けたクイズを作りながら思うのは、クイズというのは「料理」と同じで、素材を生かしたクイズもあれば、技巧を凝らしたクイズもあるんだなあということです。
ん、どういうことかわかりづらいかな?

漢字の読み方を問うクイズ

まず、一例として「漢字の読み方を問うクイズ」を考えてみます。

Q1:「免れる」
Q2:「鷺」
Q3:「留萌」

まあ、わかります。
ただ何というか、学校の漢字テスト感も少々否めない。

TPOにもよりますが、クイズを楽しんでもらうイベントとして出題する場合には、ちょっと楽しみに欠ける気がします。あと、解答者にとっても「読める・知ってたら嬉しいけど、読めない場合に何のヒントもなくALL or Nothingになる」というか、娯楽性が足りないというか。
(繰り返しになりますが、TPO・時と場所と場合によります。例えば『平成教育委員会』のように、学校の試験を模したクイズ番組で出題するというのが意図であれば、あえてそういう娯楽性を排除する演出が求められますからね)

ただ、やっぱり人と人とで遊ぶクイズにおいては、爽快感に乏しい感じもあり。
そこで、一つの方法としては「テーマを設ける」ということがあります。

例えば
Q1:「免れる」
Q2:「逸れる」
Q3:「洩れる」
のように、動詞で揃えてみる(しかも、送り仮名まで揃えられるとカッコイイ)。

Q1:「鷺」
Q2:「十姉妹」
Q3:「翡翠」
と表示して「実はこれは全部鳥の名前です」として出題してみる。
(その縛りが付くことで、Q2「じゅうしまい」とかQ3「ひすい」と読めたはずが一転して鳥の名前で考えなくてはならなくなる)

などなど。

こういうテーマが付くことで、まず興味を引くことができる。
そして実際に答える場合、このテーマが大きなヒントになりうる。仮にまったく答がわからないとしても「えーと「翡翠」がヒスイじゃなくて鳥の名前? ヒスイは青く光る宝石だよなあ。つまり青い鳥かなぁ?」など推測することができる。といったわけです。
(ちなみにヒスイと読んでもその鳥を指す別名として正解だったりもしますが、まあそれはそれで)

学生時代に感銘を受けた文章

ちょっと話題は、僕の学生時代に飛びます。
ゲームブックの雑誌(ウォーロック)を愛読してて、そこから自分でゲームや小説を書きたいというクリエイト欲が湧くのですが、雑誌記事の文章で、今でも感銘をうけた文章があります。

「メロンは、そのまま切って食べるのが一番おいしい」

いや、なんでこれで感銘受けるの? と思っちゃうかもしれません。
これ実は、創作行為を料理に例えた時の話です。

素材の味を最大に生かした料理を作る場合、食材によっては蒸したり焼いたり潰したりと、さまざまな手を加える必要がある。それは料理人の腕の見せ所。
ただ、ほとんど手を加えないほうがよい食材というのもある。メロンがその最たる例。
(いや、メロンジュースもメロンソフトクリームも美味しいけど、変に煮たりせずに、そのまま切るだけで十分でしょ?)

閑話休題、クイズの話

と、ここでクイズの話に戻ります。

クイズをつくろう!となった場合、いかに面白い情報や切り口がないかなーとクリエイターは頭をひねるのであります。料理人が、究極の食材を求めてるみたいにですね。

「漢字の読み」という食材については、そのままだとちょっと味気ないので、いろんな切り口・テーマで味付けをする感じです。

ただ、これも「その情報自体がもう面白いから、下手に演出を加えない方が面白い」というものもあったりします。

これが、素材探しからクイズ製作、そしてイベントでの出題などを一気通貫でやっているオイラならではの特権なのです。えっへん!(というとカッコいいけど、その実はお金が無いゆえのワンオペ(^^;))


素材を生かしたクイズの話

というわけで、冒頭でも触れた「くいずーむ」で実際に作って出題をしたクイズを例に、どういう素材を調理したかという話です。

5月下旬に行った同イベントで出したクイズの1つに「新しいご当地ナンバープレート17個を答えろ」という企画がありました。

実は、2020年5月11日から、国土交通省は新たにご当地ナンバープレートの交付を開始したそうなのです。

ふむふむ、このニュース自体が実に面白い!

そう思ってこれをクイズにすることにしました。
……まあ、食材は鮮度が大事で、このタイミングを逃して半年後に出すと「なんで今?」ってなっちゃいますからねえ。わはは。

ただ、ノーヒントで山手線ゲームのようにどんどんあげてって!というのは難しい。そういうわけで、「使われている漢字を表示する」としました。

結果、例えばこんな漢字の感じ。

スライド7

うふふ。
「新発行のご当地ナンバープレート」ということで、既に暗黙のヒントとして
・地名である
・新たにってことは人口も多いエリアだろう
・ただ、既にナンバープレートのあるエリアではない
というのがある状態です。
これら条件下で漢字を見ると、いくつか該当する地名も浮かぶのではないでしょうか?

例えば「鳥」で「鳥取」? いや、それは既にあるんじゃなかろうか。
「鳥羽」? うーん、三重県だともっと他の地名があるかもしれない。
などなど、発想も広がりそうです。

で、このご当地ナンバープレートなんですが、絵柄がついているものもあり、その絵柄もじつにユニーク
うわぁ、これも出したいなあ。

というわけで、山手線ゲームのように答えられなかったらアウト!というルールではなく、「誰かが間違えたら、その問題のヒントを開けることができる」というルールにしてみました。

こんな感じです。

スライド8

そのヒントを、使われている絵柄にしてみました。

例えば「勢」ですが、なにやら神社の鳥居が大きくあり、左上には輝く玉もある……これは真珠?
そうなると……あ、確かにあの地名は「勢」という字を含むかも!

みたいな感じで、場所によっては大きなヒントとなったりします。
(ただ、「高」はいわゆる景色だからちょっとつらいかなあ)

そして何より、
「出」に描かれた複数のドラゴンっぽいイラストはカッコイイ!
「鳥」に描かれたフェニックスっぽいイラストもカッコイイ!
など、見とれてしまうじゃありませんか。ねえ(笑)。

(ちなみにヒント2は、管轄している運輸局。
これが組み合わさると、選択肢が多くて悩ましかった「高」や「川」がわかるかな?)

03_17_国土交通省


あらためてクイズを作る楽しさ

クイズを作る、それも試験問題的にではなく、みんなが楽しむイベントとしてのクイズを作ると場合、どうしたら盛り上がるかなぁというのは色々と考えてしまいます。

場合によっては、手元の素材を使って調理法や切り口にこだわることもあります(さらに毎回新しいのにしたいという気持ちと、定番の料理は残したいという気持ちの葛藤もあります)。

ただ、折角ならば新しい料理を作りたい、となった場合、素材探しの旅が始まります。新規の題材を見つけるために、本を読んだり、辞書を調べたり、ネットサーフィンの波にのまれたりなど色々。

そして、見つけても今度はどういうシチュエーションで出そうか、という悩みが尽きまじ。料理に例えると、忙しい朝にすぐ食べられるようにするか、みんなでワイワイ食べるディナーパーティー用にするか、あるいは保存食の中にフリーズドライとして入れるかなどなど。同じ素材であっても、用途次第でその手の入れ方は全然違ってきます。

そんな中でも、今回のご当地ナンバープレートクイズのように「それ自体が素敵!」という素材を見つけると、ウキウキしちゃうのでありました。

……というわけで、このクイズの面白さはアピールしたかったので、こうやって文章で残してみた次第(笑)。

で、最後にいま一度宣伝。
こんな新作料理フルコースっぽい(?)クイズをZoomで楽しめるイベントですが、6月中旬にも開催します。ご興味ありましたらチケットをご入手いただけると幸いです。

#くいずーむ  Zoomでクイズして遊ぼう
2020/6/13 土曜 21時~
2020/6/14 日曜 14時~



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