支援級の先生の鏡です

@ちーたんさん 240211
「特別支援学級って、子どもが少ないから楽そうですね」

テストの採点に追われる若い先生が、支援学級の担任につぶやく。

『…まぁ、そうかもな』
と支援学級のベテランS先生は返した。

S先生は怒ってもいい場面だと思った。でも、笑顔で応えた。

僕は知っていた。S先生が他の人にはできない

丁寧な対応と、子どもへの熱い情熱を伝えていることを。

その子に合わせた教材を毎日、毎回準備していた。みんながいる教室では落ち着かないから、使わなくなったパソコン室を改装して、子どもと一緒に木材で家を作る。

近所のおばちゃんに頭を下げて、農園で野菜づくりを一緒にやらせてもらう。

「一輪車に乗れるようになりたい!」

支援学級の子が言うと、60歳を過ぎているS先生は、何度も転びながら一緒に練習に励む。

「S先生、危ないですよ。無理しないでください」

若手の教員が声をかけると、

『子どもらがどんだけ難しいことをやろうとしてるか、大人もやってみんとわからんやろ。あと、できた時の感動がハンパないんや』

だからだろうか。その年から
S先生の支援学級に在籍した2人の男の子は、
毎日学校に来るのが楽しそうだった。

今まで
教室から泣きわめく声
脱走して探しに行く先生が探す声

日常茶飯事だったけど、

S先生の取り組みで
学校は一気に落ち着き
過ごしやすい場所になった。

僕も支援学級の外国語の授業を担当して、

1年前までと2人の子どもの表情がまったく違うことに気づいた。

S先生と一緒に、インパクトドライバーを使って室内に小屋を作り

それを誇らしげに紹介してくれる。

小学4年生が、大人と同じインパクトドライバーを使いこなす。

”Door!” ”Window”
英語まで飛び出す。

これこそ生きた学びだと思った。

時々、僕の外国語の授業も
途中でイヤになっちゃって、トランプしながら遊んだこともあったけど、

それも全部S先生が

「困ったときはこの活動をやって」

と僕に教えてくれたことだった。右を向いてと言ったら向いてくれる30人の子どもと過ごすより、
その子の思いを汲みながらあれこれと策を練って準備するほうが

肉体的にも、精神的にも大変なことが多い。

「S先生、僕、失礼なこと言っちゃいました。ごめんなさい」

特別支援学級の子どもたちが
一輪車の発表をやり遂げた日、

若手の先生がS先生に告げたひと言だった。

「いいんや。教師も常に気づきやで。僕もいつも子どもから力もらってるよ」

この人、心底すげぇ。

僕は学校にはいないけれど、教育者としてこんな人になりたいと思った。一人ひとりに寄り添う教育の環境は、まだまだ不十分だと思います。場所も、人も。子どもと向き合う人や空間をもっと作り出して、子どもたちが力強く生きていけるサポートができたらと思っています。あなたも一緒に子育てについて考えていきませんか?

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