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次週への活力が終わってしまった

今私は落ち込んでいる。しかし高揚してもいる。毎週楽しみにしていたドラマの最終回が終わってしまった。続きが気になって早く観たいけれど終わってほしくない、という葛藤と共に過ごした3ヶ月だった。

以前、ドラマは1クールで1つしか観る体力がない、と書いた。なので毎回渾身の1本に絞るのだが、事前情報の時点では正直今回はピンと来る作品がなく、今期は観ないつもりでいた。しかしやっぱり何となく気になってTVerで1話を観てハマってしまい、結局見始めたドラマが『ブラッシュアップライフ』と『罠の戦争』である。いや2本観たんかい、は重く受け止めるとして、今回話したいのは前者だ。

バカリズムさんの作品が好きだ。コントは勿論、ドラマも本当に面白い。特に私は『架空OL日記』と『住住』が大好きだ。基本シュールな雑談で出来ているドラマが多い。その会話にクスクスしながら、たまに予想外のビッグウェーブがやってきて涙しながら笑っていると、日頃のストレスもウェーブが連れて行ってくれるのである。

安藤サクラさんと木南晴夏さんはバカリズムさんの世界に合いそうだな、と思った。夏帆さんは実証済みだし、最初3人がメインだと思われたので間違いないはずなのだけど、単純に個人の好みで、私がタイムリープ物を面白がれるかなぁ、という懸念があった。ちなみに東京リベンジャーズは大好きで読んでいる。ただ、タイムリープにも色々あって、好きなタイムリープと好きじゃないタイムリープがあるのだ。SFが少し苦手なので、SF要素が多かったら嫌だなという気持ちで、ブレーキがかかってしまったのだと思う。でもやはり、観ずに後悔したくないとギリギリ2話の直前に1話を観て面白さにぶっ飛び、ハマって行ったのだ。
※あまりしないつもりですが、以下少しネタバレを含むのでお気をつけ下さい。

話が進んでいくと、Twitter等で視聴者による考察が飛び交った。『あなたの番です』や『テセウスの船』などもそうだったが、考察が飛び交うということはそのドラマが盛り上がっている証拠である。

私の好きだったポイントをあげると、ドラマや音楽、時代時代の道具による懐かしさがクセになる。作中のカラオケやアイポッドで聴く音楽、毎週変わるエンディングも大きな楽しみの1つになっていた。
3人の子供麻美の可愛さ。分かっていても襲ってくる思春期の感情や、最後の保育園麻美のだるまさんがころんだの表情なんか最高だった。
2回目の前野朋哉さんの出現には「前野朋哉いるよ!気をつけて!…ほらぁ〜!!」などとテレビに話しかけてしまった。
木南晴夏さんと夏帆さんの女子トークの上手さったらなかった。あのトーン、あのテンポ。木南晴夏さんの初運転、女子会の時の髪を結んだり解いたりするさりげないお芝居は達人級である。成人式のあとの飲み会で女子が着物だけ脱いで髪の毛をそのままにしているのがあるあるすぎて大興奮した。
粉雪の挟み方。NANA。キレる女子。恋は盲目。冴えないけど優しいお父さんをやらせたらピカイチの田中さん。市役所の挨拶何にする問題に応えるバカリズムさん。そのままで大学生に見える松坂桃李の不思議。助けて貰ったあとにうざ絡みするミタコング。塚地さん。野呂さんの変わってしまった地元の友達感。葬式帰りの雨の中の麻美の表情。貰ったプレゼントの値段を調べてるのを見つかって「やだ~」でごまかすまりりん。塚地さん(夢)。雑に扱われる浅野忠信。

麻美プロデュースのドラマを観れなかった事は麻美と同じくらい悔しくなった。何度も繰り返す人生を見ていることで、私達もやり直しを疑似体験している。だからまりりんがこれまでの事を初めて麻美に語ったとき、視聴者もまりりんがどれだけ大変な思いをして来たかが分かる。これは脚本の妙である。

その思いを実感するからこそ、4人でただ食事しているだけのシーンで涙が出る。2人ずつのプリクラを合わせて1枚になったシーンは嗚咽ものだった。思えば「じゃあ一緒に忍たま乱太郎観れば良かったね」「一緒に(プリクラ)撮れば良かったね」と、なっちは何時でもふたりを受け入れていた。

色々予想しすぎて、なっちとみーぽんも実は人生やり直していて、麻美たちと仲良くならない事を選んでいるのでは…?なんて考えもよぎったが、ちゃんと仲良くなれてよかった。

超個人的にはうらじぬのさんと田村健太郎さんが出ていたのがアツかった。大好きな俳優さんである。

最終回のエンディングを楽しみにしていたけれど、ドラマを楽しんでいるうちにすっかり忘れていた。その油断したところに来たイントロで「うわぁ~!!」とまたもや声が出た。涙も出た。最後の最後まで最高でした。私はもう1度、1話から観ます。

最終回を前に、安藤サクラさんが『ある男』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞された。受賞スピーチで、「育児をしながらの撮影は本当に大変で、引退を考えていた」というような意味のことを言っていた。正に今私も実感していることで、何度聞いても涙してしまう。踏みとどまってくれて良かった、とも思うが、ということはその大変さとこれからも戦わなければいけないわけで。安藤サクラさんを応援しつつ、子育てしながら働ける業界になるように、自分事としても考えていきたい。

私達は人生をやり直す事はできない。だからといって後悔が無いように生きることも、中々出来ない。ドラマの中の麻美達だって、あんなに対策しても思う通りにならないのだ。だからせめて、楽しく過ごそう。その為にエンタメは必要不可欠である。月曜からの活力をくれた『ブラッシュアップライフ』、ありがとうございました。

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