畑の向こう

夕暮れに、広がる畑の真ん中の道を、

そろばん塾に通う。

小さな私には遠い距離。

もう少し遊んでいたいのに、

嫌だな。

ぶらぶらカバンを大きく振って、

足は、ゆっくりしか前に進まない。

ずいぶん離れた山の上に沈む太陽がきれい。

昔の私に会いにいく。

畑は、今は家が建っている。

こんなに近い距離だったのか。

同じ夕暮れ時だけど、

畑の向こうの景色は、もう見えない。