水色のたぬき

毛色の違うたぬきがいました。

たぬきは、空の水色と雲の白色の

まさに、空でした。

他のたぬきは、

茶色、こげ茶色、少し白や黒。

水色のたぬきは、

他のたぬきと自分の毛色が違うことを悩みました。

みにくいアヒルの子というお話を

人間のお母さんが、子供に聞かせているのを

見たことがある。

あ〜、自分も白鳥さんになるのかな?

だったら、我慢できるかな。

と、毎日毎日思って、

まわりのたぬきの目を気にしながら、

少し小さくなってすごしていました。

たぬきの集団の中では、

小さくなっていた水色のたぬきは、

他の生き物にはとても好かれていました。

太陽さん、おはよう。

黄色いお花さん、今日もミツバチさんによろしくね。

カエルさん、まだ、水が冷たそう、お体大切に。

みんなが怖がる虎さんにも、

虎さん、ご機嫌いかがですか。

今日も、森を守ってね。

とあいさつしていました。

それを、見ていた自信家の

真っ黒なたぬきがおりました。

「水色め!なんて生意気。私の方がすぐれているわ」

ある日、水色のたぬきが、自分と同じ色の

お空に向かって、

「私は、一体何者でしょう。」

と話かけておりました。

そこに真っ黒たぬきがやってきて、

水色のたぬきに

泥をつかんでなげつけました。

水色のたぬきは、

とっさに目をぎゅっとつむり、

泥がとんできて、あたって、泥だらけに

されるのを想像しました。

でもいくら待っても

泥は、当たりません。

風が強く、吹いています。

何かが横を駆け抜けていく気配があったり、

ビチャビチャと音がしたり、

しました。

恐る恐る、目を開けると

真っ黒たぬきは、泥だらけで水溜りに転んでいました。

その上、鼻のアタマが真っ赤か。

ハチにさされたようでした。

真っ黒たぬきは、大泣き。

そして、水色のたぬきのまわりには、

虎や黄色の花やカエルがニコニコ笑っておりました。

水色の空から、

風に運ばれて、聞こえてきます。

自分の居場所は、自分が決める。

たぬきだから、たぬきの集団にいることは、ない。

さぁ、自分の居場所に早くお戻り。

そうして、たぬきは、

本物の孤高の水色のたぬきになったのでした。

おわり。

伝わるかな。